『住めば都』は永久に来ず | 『住めば都』は永久に来ず。

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

11th[禁句]

なんだかんだ言って少しずつこの寮に馴染みはじめているのかも知れない。

腰のあたりにへばりついている白銀さんも前よりは鬱陶しくない気がする(あくまで前よりだが。)

「おはよー、朝からアツいね~。お二人さん☆」

「おごっ!」




…説明します。


部屋から出てきた波華さんが僕らを発見。

見当違いな野次を飛ばし、

自然な動きで僕にくっ付いていた白銀さんに回し蹴りをお見舞いしたのだ。

(この二人は仲がいいのか悪いのか…。)

「なに、ぼけーっと突っ立ってんの。挨拶は?あ・い・さ・つ!」

波華さんの言葉で我にかえると僕は慌てて、挨拶した。

「おはようございます。波華さん。
早いんですね。」

「うん、7時に間に合わなきゃだし、ってか波華さんってやめてよ。薄ら寒い。
ボクのことは波、またはなっちゃん。分かった?」

ビシッと音がなりそうな勢いで僕の鼻先に指を突き出して波華さんもとい、波さんが言った。

(…あれ?)

朝7時って何かあったっけ?
学校には8時半に出れば間に合うと思ったのだが…

「あっはい、波さん。
あの、ちょっと気になったんですが7時に何「くぅおらー、テメーら朝っぱらからうるせーぞ!」…。」

ドタンガタンと騒々しく階段を下りる音がしたと思うと寝間着の亮先輩が青筋立ててやって来た。

「さっきから俺様の安眠邪魔してたのはテメーか波!」

寝ていた所を邪魔されたらしい亮先輩は僕や白銀さんもいるのに波さんだけを名指しで呼んだ。

「だったらどうだって言うんだよ。
7時前に起こしてやったんだから感謝したっておかしくないじゃん。」

「んだとー!前々からテメーは先輩に対する尊敬ってのが欠けてんだよ!」

波さんは波さんで亮先輩に油を注ぐような真似するから更に言い合いは激しくなる。

この二人もしかして仲悪い?

てかどれだけ人間関係悪いんだよこの寮!

「もうすぐ出ますよ。
あれが、ハニー少し下がった方がいいですよ。」

今まで黙っていた白銀さんが面白そうにそう言いながら何のことか分からない僕を二人から少しずつ遠ざけながら言った。

あれの答えはすぐに分かった。

「尊敬して欲しけりゃ少しは身長伸ばせよ。このチビ男!」

ピキイィイィィン!

波さんがそう言った瞬間、部屋の空気が凍る音が僕には確かに聞こえた。

「……波。今、何って言った。」

心なしか亮先輩の目が据わってるような…

「何遍だって言ってやるチビ男、チビ男、チビ男!」

「チビ、チビ言うんじゃねー、このバカ女ー!」

そのまま亮先輩は波さんに向けて右ストレートを放つ。

「言われたくなきゃ、ボクよりデカくなりなよこのミニマム!」

波さんは亮先輩の拳をかわし、その体制から蹴りを繰り出す。



首から上は小学生レベルの言い争い、首から下は手もでれば足も出る大乱闘。

そんな二人を見つめながら、僕はまだまだこの寮に馴染むには時間がかかりそうだと思うしかなかった。

next…
名城 蘭