『住めば都』は永久に来ず | 『住めば都』は永久に来ず。

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

5th[小さき赤毛、瞳は翡翠]

拝啓、父上殿。
貴方が残したこのアパート、まともな住人はいないのですか?

僕が会ったこのお姉さん。
とてつもなくインパクトが強い人で正直困っています。
っていうより、ほんとなんでレイ君巻き込まれたんだろう……。

「あの、倫音さん」
「なあに?あ、アタシの事は、気兼ねなく倫って呼んでちょうだい!」

ははは、倫音さん。さっきあったことを見たばかりではとても恐ろしくてそんなこと言えませんよ。
とりあえず、小麦粉まみれになった階段の惨事を見て、再びため息が出たのは言うまでもないだろう。

「それじゃあ、倫さん、何でOLなのに学生寮にいるんですか?」

…………。
ち、沈黙が重いよ!!
何か聞いたらいけないことだったのかな?

「あはは、そこはまあ乙女の事情ということで」
「あはははは、そうですよねー」

とりあえず、色々と突っ込みたいところは有るけど、突っ込まないことにした。
例えば、乙女とまだ言ってもいい年なのか。とか、理由になってないだとか……。
うん、気にしたら負けだと信じている。
(というよりも気にする程の体力気力が僕にはもう残ってません)

「あの、倫さん。白銀さんと仲が悪いんですか?」

僕は後ろで倒れている二人をちらりと見て、倫さんに聞いた。
倫さんは、ああとか言いながら、肩をすくめておどけたようなため息をついた。

「ええ、そうなのよねぇ。まったく何故かしら?白銀とはソリが合わないのよねぇ」
「そうなんですかー」

あははうふふ、と続く会話で僕は半分以上は苦笑いでした。
これから上手くやっていく自身がないんですけど。

とりあえず、今気になっているどうしてレイ君が打たれたのかということを聞こうと思った。

「ちなみに、何でレイ君はえっと……『ロングヘアーアタック』でしたっけ?ど……」
「ああん、もぅ!やっぱかわいい!!何、今の必死で思い出してる姿!もーカワイイ!!」
「うわああぁぁ!!」

皆さん、今の状態がどれかわかりますか?
 1:倫さんが発狂した
 2:僕の息が止まりそう
 3:目の前に呆れた顔の少年がいる
さあ、どれだと思います?

……まあ、見当はつくと思いますが1~3全てが答えです。

僕は倫さんにいきなり抱きしめられて体制を崩してしまって、地面にうつぶせの状態で倒れた。
(ちなみに倫さんは僕に抱きついたまま)
すると、誰かの靴が見えた。その人物はしゃがみ込んで、僕と目線が合うようにまで顔を下げて近づけてきた。

その顔立ちはまだ幼く、僕よりも年下に見える。
きっと、今年僕も編入する予定の『龍ノ宮学園』に入学する子だろう。
しゃがんでいるから解りにくいが、身長は小さい。
……僕の従兄弟も同じ年だけど、もしかしたらそれよりも小さいかもしれない。

その幼い顔つきに、誰からもわかる位に呆れと哀れみの色が表れていた。
そして、僕の顔を見ると、ため息をついて立ち上がり倫さんの頭を叩いた。

「倫!お前どこの中学生をさらってきやがった!」

ええ!?ちゅ、中学生って僕のこと!?
確かに僕は同世代の子よりも背が低いし、顔つきも幼いって言われるけど、中学生はないよ。

「あら、失礼ね!彼はいまそこで拾ったのよ!!」
「いや、違いますから!それに、僕は高校生です!高校2年!」

ある意味怒涛の勢いで突っ込んで、しまった。
すると、目の前の少年は笑いながら言った。

「なんだ、俺といっこ違うだけかよ。ん?ってことはお前が今日来るとか言ってた管理人か」
「あ、はいよろしくお願いします。来島草太郎といます!それで君は?」
「お。俺か?俺は日比谷亮[ひびやりょう]。まあよろしく頼むぜ、管理人さんよ」

そう言って亮君はレイ君に何か声をかけていると、レイ君ががばっと起きて二三回頷いていた。
僕は、レイ君の面倒を見ている亮くんを見て思った。どっちが年上かわからないと。
ちなみに、僕と亮くんが話している間ずっと、きゃーショタが二人で絡んでるー!とか倫さんがいっていた気がしたのは僕の空耳だろう。

「よろしくおねがいします。亮君」

そう言ったとたんくるりと首を回してとても嫌そうな顔をしていた。

「おい、草太郎。俺様の事は亮『大先輩様』と呼びやがれ」

あー、そうですねー。
先輩ですねー。先輩ですかー。
先輩……えええぇぇぇ!!?

「りょ、亮く、いや亮さんってもしかして……」
「龍ノ宮学園3-D、日比谷亮!お前より一つ年上だ!!」
「す、すいませんでした!亮先輩!」

うっし、とかいってそのまま亮先輩はレイ君と一緒に階段を下りていった。
……あれ?レイ君って部屋に帰るんじゃなかったんだっけ?
そう思って倫さんに訊ねると「ああ、レイもあなたと同じように先週引っ越してきたばっかだからきっと、荷物とか届いたんじゃないの?」って教えてくれた。

そうか、レイ君はどうやら別の学校から引っ越してきたようだ。
だから同じ学年の亮先輩が面倒を見ていたのか。と一人納得してしまった。

「あー!!ってもうこんな時間じゃない!」

倫さんは唐突に、腕時計を見てあわてだした。

「あ、用事があったんですか?」
「そうなのよ、同僚に呼ばれてるんだったわ。いってくるわね!」

そう言うが速いか、階段を駆け下りて行った。

「うぐはっ!!」

……気のせいじゃあないと思うけど、どうやら倫さんは白銀さんを丁寧にも踏んでいったようだ。
さあ、これで空き部屋はもうないかな?と思って地図を広げていると、後ろからある意味恐怖の声が聞こえてきた。
そう、真後ろの耳元から。

「置いていかないで……くださいよ」

ひぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!
また出た――!!しかも耳元で息がかかったああ!

next…

結城