平野啓一郎原作の映画『マチネの終わりに』を観ました。
福山雅治がクラシックギター奏者、石田ゆり子が在仏のジャーナリスト、
この二人が出会って、それから先も含めて3回会っただけなのにお互いをかけがいのない存在として想い続ける。
会った回数は少ないけど、現代なのでメールや動画で連絡は取り合い続けていて、
それでここぞ!というときに会うわけです。
お洒落なレストラン、パリ、ニューヨークと舞台は移り変わって、
映像も音楽もとても美しい映画でした。
ラストシーンも「これからどうなるかな?」って終わり方は小説と同じだけど、
小説よりも明るい終わり方だなと思いました。
同じマチネでもどの季節かでその終わりのあとの日の長さが違うから、その程度のことではありますが。
原作がそうなんだけど、みんな言葉と話し方が美しいんだよね。
ぐっと堪えるってこと、いったん飲み込むとか、そういうことを心得てる人たちが登場人物なので、
しっとりと穏やかな気持ちで観ていられる映画でした。
そしてラブストーリーではありますが、
映画の中に出てくるセリフは「こういう風にものごとを考えて生きてみてはどうでしょう?」という、
映画の場面の中では思い合う男女のセリフだけど、
悲しかったりつらかったりした過去との向き合い方を考えさせてくれる言葉がいくつも出てきます。
この映画のラストでは、これからこの二人がどうなるかわかりませんが、
二人ともじわっと来るいい笑顔を見せるので、
どういう展開になるにせよ、大丈夫なんだ、幸せの方向へ行くんだと思えて、
安心して映画館を出られるのでした。
私が小説で持っていた二人のイメージと、福山・石田はちょっと違ってたのだけど、
アップになったそれぞれの静かで穏やかな笑顔にホッとしたとき、
ああ、この二人でよかったなと思いました。
劇中の挿話に「幸福のコインをもらったら何を買う?」というのがありました。
ちょっと幸せになるために、たとえば甘いお菓子とか、それくらいは買えるコインらしいです。
私は何を買うだろうかと考えているのだけど、決まりません。
ただ「ちょっと幸せになるために何を買う?」って考える時間は楽しいなと思います。
だから決められないのかもね。