mayaのブログ -11ページ目

mayaのブログ

ほとんど観た歌舞伎の話

映画『ジョジョ・ラビット』を観ました。

以下、ネタバレな説明と感想。

ジョジョという愛称の少年は10歳になったのでヒットラーユーゲントのキャンプに参加します。
ここまでどんな風に育てられたのかは描かれていませんが、
部屋の壁にナチスやヒットラーのポスターを貼り、友だちとキャンプに出かけるジョジョは、
多分この時代のドイツ人家庭の普通の少年なのでしょう。
四人家族だったようだけど、お父さんは出征中、お姉さんは若くして亡くなった様子。
お母さんのロージーとの二人暮らしで、日中は一人のことが多いジョジョ。
いつの間にか脳内にアドルフ・ヒットラーを友人として持っています。
このアドルフに話しかけ、話しかけられ、ジョジョはキャンプに行きますが、
いきなりウサギを殺せと言われてもできずに逃げられてしまい「ジョジョ・ラビット」とあだ名されてしまいます。
名誉挽回を図るも手りゅう弾の扱いにしくじってケガして、キャンプは脱落。
事務所の手伝いに回ることになりました。

みんなと一緒、ができないかわりにジョジョは街中の様子を知ったり、
お母さんと一緒にいる時間が増えたりします。
ママ・ロージーはユーモアがあり強くてオシャレ。
ときには不在のお父さんも演じて見せてくれたりします。

ドイツ敗戦までの半年間の話ですが、この間にジョジョは姉の部屋の奥の隠し部屋にユダヤ人の少女エルザが潜んでいることを知る。
匿ったのはもちろんロージーですが、ジョジョはロージーには「お化けが出る」と言って、
個人的にエルザと交流を始めます。
自覚はなかったかもしれないけど、どんどんエルザに惹かれるジョジョが可愛いです。
10歳と17歳なので、エルザはそんなジョジョをからかったり見守ったりするお姉さんのようです。

ユダヤ人探索の手はここにも伸びますが、切り抜けられた二人。
ホッとして嬉しい気持ちで外に出て蝶を追うジョジョ。
けれども反ナチ印刷物をこっそり撒く活動をしていたロージーは処刑されていました。
以前にロージーとジョジョは同じように処刑されてる(街中の横木に吊るされる)人たちを見たことがあります。
「ドイツに自由を」というビラを身体に貼り付けられて。
ロージーもこのビラをそっと街のあちこちに置いて歩いていたのでした。

10歳なのに靴ひもを結べないジョジョに根気よく、教えてくれてたママ。
おそろいのパジャマだったママ。
食べるものが少なくなってたのでしょう、パンを全部ジョジョに食べさせて、
自分はブドウにすると楽しそうにワインを飲んでたママ、
一番強いものは愛、戦争が終わったらすることはダンスと言ってたママ。
荷台に負傷兵たちを乗せて走るトラックのうしろを自転車で颯爽と走り、
兵士たちに「おかえりなさい!」と声をかけるママ。
この場面から、その前のロージーの姿を思い返すとなんて素敵なママだったんだと泣けてくる。
ジョジョはあまりのショックでか、膝を抱えて座り込んでいました。

やがてジョジョの街にも連合軍が迫ってきているのが伝わり、
ジョジョの親友のヨーキーからヒットラーが自殺したことを聞く。
ジョジョとヨーキーが「なにか間違ってたんじゃないかな」って話す場面、
可愛い少年(年齢の割に幼い雰囲気のお坊ちゃん風)二人の会話なので微笑ましいですが、
この先ずっと「ああ、間違ってたんんだ」って生きるんだなって思うと重いです。

いよいよ連合軍に制圧されて、軍人たちは収容所に入れられた街。
エルザは異変を感じていますがジョジョはなかなかホントのことを伝えません。
エルザが出て行っちゃったら…なんかわかるよね。
葛藤を経て、やっとジョジョはエルザを家の外に連れて行きます。
エルザはそのまま出て行っちゃうかなあ?

空をシミジミ見上げるエルザ。
エルザを見上げるジョジョ。
ジョジョを見て微笑むエルザ。

そして音楽。そしてロージーが言ってたしたいこと。

このちょっとした静謐で幸せな時間のために、どれだけの悲惨があったことか。
それでもこの若い二人が戦後まで生き延びられたことをホッとしました。

子どもは生まれた世の中で観たもの聴いたものを「ふつう」と思って育つ。
はじめ敗戦濃厚な時期のドイツにしてはいろいろ綺麗すぎないか?と思いましたが、
それは私が戦争でない時期はもっと綺麗って思うからかも。
ジョジョと同じころに満州で生まれた叔母の記憶では、そこは自然が豊かで広々としたコーリャン畑の綺麗だったところ、なのですが、それみたいな感じ?
亡母はジョジョとエルザの間の年齢ですが、
戦時中に祖父が出征していた不安の話とか聞いたことがないです。
戦後になっても帰ってこなかったのが不安だったと。
「みんなそうだと思ってた」「そういう風に教わった」をよく聞かされました。
母と私では義務教育年齢が戦前と戦後に分かれるので、母はそれは大きな違いだと言ってたけど、
子どものころ私はどれだけその意味がわかってたのかなあ。

「ジョジョ・ラビット」、ジョジョやエルザ、ママや教官たちの話から、
親たちがどんな少年少女時代を過ごした人だったのかなあとか、
今、こういう状況にいる子どもたちに自分のいる世界はどう見えるんだろうとか、
いろいろ想いが広がっていく映画でした。

スカーレット・ヨハンソンのママ、ロージーと、
サム・ロックウェルのユーゲントのキャプテン・Kことクレンツェンドルフ大尉の在り様が素晴らしかったです。

で、シリアスな内容だけど表現はけっこうファンタジックでコミカルで重くないのです。
うっそー!とか、ほんまかいな!?な場面も多く、
こういう映画が作れるっていいなって思いました。