歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎 昼の部(2018) | mayaのブログ

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ほとんど観た歌舞伎の話

『雷神不動北山櫻』と『女伊達』。
前者が海老蔵シェフのコース料理で、後者が時蔵パティシェのデザートみたいな感じ。
重めのコースとさっぱりデザートでよろしゅうございました。

時蔵の女伊達がカッコよく爽やかなのは期待通り、
からむ種之助&橋之助がカワイイからカッコいいに進化しつつあって、それは期待以上^^
ただ團菊祭ってとても江戸っぽい行事だと思うのですが、
なにゆえこの演目を大阪のものにしちゃったのか?
実在の奴の小万とよばれた大阪の女がモデルとのことですが、
フィクションとして江戸が舞台でもいいんじゃないのか?
その辺がよくわかんない。
観ている間、江戸が舞台だとも思ってて、あとで気がついてあれれ?です^^;

さて今年は成田山開基1080年、その成田山のご利益で生まれたと言われる二代目團十郎の生誕330年なのだそうです。
まず口上で海老蔵がそういうことも含めて、演目をささっと解説。
舞台にこれから演じる五役の写真を掲げてくれるので、親切。

さてこのお話は平安時代の天皇家の御家騒動。
早雲王子(海老蔵)が帝位につけば世が乱れるとの陰陽師・安倍清行(海老蔵)の予言を受けて、
朝廷は鳴神上人(海老蔵)に次に生まれる御子が胎児の時点で女の子なのを呪法で男子に変成させ、
この男子を陽成帝として即位させました。
早雲王子、これを不満に思い、クーデター計画を立てまして…という流れになります。

都は雨が降らず日照りで困っています。
雨が降らないのは男子変成を成功させたら、ご褒美に戒壇を築かせてもらう約束だったのに、
それを反故にされた鳴神上人が怒って北山に龍神を閉じ込めてしまったからです。
なんで約束を反故にされたのかはこの話ではよくわからないのですが、
「戒壇を築く」というのは仏教界ではたいそうなことらしいので、
もともと朝廷が勝手に許可していいものではなかったのかもしれないし、
お話し的には早雲王子が裏で何かしてたかもしれないですね。

とにかく民百姓は困窮を訴え、早雲王子はその苦境に同情しているふりをする。

雨を降らせる方策としては

1.小野家に伝わる「ことわりや~」の短冊で雨降りの呪法を行う。
2.鳴神上人が閉じ込めてる龍神を解放する。

なのですが、小野家の「ことわりや」の短冊は腰元・小磯が届けに来る途中に襲われ奪われてしまいました。
小磯を口説こうとしていた見かけは青年、中身はじいさんな清行も早雲一派に埋められてしまいます。
早雲王子はさらに小野家にダメージを与えようと、手下に悪知恵を授ける。

そして「毛抜」の話になります。
朝廷側のメンバー、文屋豊秀(松也)の婚約者の小野家の息女・錦の前は梅丸くん!
彼はチラシに名前が出ないので、いるとすごくラッキーな気分になる^^
この可愛い錦の前の髪の毛が逆立つ奇病のことと、
小野家の短冊紛失問題を解決する豊秀の家来・粂寺弾正も海老蔵。
團十郎や左団次の弾正が醸し出すおおらかで頼もしい雰囲気にはまだまだですが、
小鼻に紅を入れて「赤ら顔でスケベで空とぼけた感じだけど実は鋭い」はなかなかおもしろかったです。
市蔵の小磯の兄と弾正のやりとり、とても楽しかった。


さて短冊を取り戻して雨ごいをする朝廷チームですが、うまくいかない。
そこに清行がまた現れて、鳴神上人を陥れるために自分の弟子の雲の絶間(菊之助)をやろう、と提案します。

ここから「鳴神」。
将来の團菊、海老蔵と菊之助が共演する昼の部の目玉です。
菊之助の雲の絶間は花道を鐘を鳴らしてやってくるときから、
「私失敗しないので」な雰囲気が漂っています。
そしてキッチリ鳴神上人を落として、しめ縄を切って、龍神たちを解放して去っていきました。
海老菊の二人は毎回思わず「ほーっ」とため息をつきたくなる綺麗さ。
そしてやはり相手って大事だなと思うのは、二人の声がつり合いがいいので聴きやすい。
声の質もあるし、声の若さみたいなのもあるかもしれません。
やりとりがとてもスムーズで自然に聴こえるのです。
鳴神と雲の絶間のやりとりは、スリリングであり、ユーモラスでもあり。
あっという間に終わってしまった気がします。

はめられた!と気が付いた時にはもう遅い。
怒りまくる鳴神上人ですが、早変わりの都合上、通常の「鳴神」ほど憤怒の化粧にはなりません。
そこかちょっと残念。

さて雨が降って朝廷も民草も一安心。
あとは一連の黒幕の早雲王子を捕まえるだけ。
朱雀門上で早雲王子は大勢の捕り手を相手に大立ち回り。
ついに悪運尽きて門から落ちていきました。
早雲王子の衣装はけっこう重厚で、悶えた末に、その衣を翻して落ちるところはカッコよかったです。
なので、私としては、この話はここで終わっていいなと思いました。

だけどそれではお不動様のありがたい話にならないんですよねー。
最後は暗い赤が広がる舞台の中央に海老蔵の不動明王が浮遊。
早雲王子も鳴神も、成仏できずに地獄を彷徨っている、というようなことを言います。
権力欲とか、色欲とか、悪心を諫めて終わり。

せっかくの海老蔵奮闘五役なのですが、十八番をやりたいなら粂寺弾正と鳴神上人だけでもいいのにな。
五役の中では早雲王子が一番カッコよくて海老蔵に似合ってる気がしますが、
團菊祭なのでひとりでここまで出ずっぱりにならなくてもいいし、
そうなるとやはり弾正と鳴神が優先かなと思う。

清行は、これも早がわりの都合があるからそうなるのでしょう、衣装が変。
背中がぱかっと割れるようになってるんだなってわかる平安装束って悲しい。
初期のウルトラマンスーツみたいなんだもん。

今月の座組だったら坂東亀蔵の清行、彦三郎の早雲王子などよいのではないかなあと思います。


「鳴神」の未来の團菊で思い出したこと。
「未来の」というとちょっと遠い感じがしますが、もう「つぎの」くらいの近さになってきたと思います。
菊五郎にはまだまだやってほしいですけど、幸四郎家のように名前を譲ってもいいかなあって。
そして昔、團菊祭を観たときの筋書に15歳くらいのこの「未来の團菊」の(当時の)近況が載ってたのですが、
二人は学校の同学年で、体育の授業(だったと思う)で一緒にラグビーボールを追いかけている、という話でした。
あれからもう四半世紀過ぎたんだなと。
今の菊五郎と團十郎の俳優祭での掛け合いは、どっちもおおらかですっとぼけててすごくおもしろかった。
この二人はあんまりすっとぼけた感じはしないですが、いいコンビな気がします。
菊之助が実にいろいろやるので、海老蔵の相手ばかりはできないでしょうけど、
海老菊、もっと観たいなあと思った今月でした。