東京国立博物館 『名作誕生 つながる日本美術展』とおまけ | mayaのブログ

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ほとんど観た歌舞伎の話

ユリノキの花咲く東博に『名作誕生 つながる日本美術』展を観に行きました。

どういうことかというと

#作品どうしの影響関係や共通する背景に着目して(中略)地域、時代を超えた名作の数々を12のテーマで紹介いたします。#

だそうです。
その12のテーマは

第一章 祈りをつなぐ
 (1)一木の祈り
 (2)祈る普賢
 (3)祖師に祈る

第二章 巨匠のつながり
 (4)雪舟と中国
 ・風景をつなぐ
 ・玉㵎をつなぐ
 ・本場の水墨をつなぐ
 ・「和」「漢」をつなぐ
 (5)宗達と古典
 (6)若冲と模倣
 ・鶴の変容
 ・若冲の鶏

第三章 古典文学につながる
 (7)伊勢物語
 (8)源氏物語

第四章 つながるモチーフ/イメージ
 (9)山水をつなぐ
 ・松林
 ・富士三保松原
 ・吉野山

 (10)花鳥をつなぐ
 ・蓮
 ・雀

 (11)人物をつなぐ
 ・戸をたたく男
 ・縁先の美人
 ・交わされる視線、注がれる視線

(12)古今をつなぐ
 ・江戸の坂、東京の坂
 ・寒山としての麗子

となっています。会期中作品入れ替えがあるので、目録の展示物全部は観られません。
それにしてもある意味バラバラなものを一つの視点でまとめて「つなぐ・つながり・つながる」というテーマで展示する。
学芸員たちの技を見せてもらう感じ(誉めてます)。
近年、どこでも見せ方に工夫して、ただ「勉強してくださいね」ではなく、
「こういう楽しみ方なんかいかが?」と来館者にアプローチしてくれるので、
あの有名作品が!という展覧会でなくてもけっこう美味しい。

さすがに全部に同じように興味がわくかっていうと、スルーな場所もあるけど、
改めて、自分ってこういうのが好きなんだなってのもわかる。

特に気に入った作品は

・兵庫 成相寺の薬師如来立像

 薬師如来が8~10世紀にかけてのもの6体並んでいて、
 ヒーリング作用がありそうなコーナーがあったのですが、
 この中で、この薬師如来の衣のドレープがとても綺麗だったのです。
 手のひらと薬壺のバランスもいい感じで。
 一体ずつだったら気にならないと思うんだけど、並んでるとそういうことも気になるんだな、と。

・普賢菩薩に従う十羅刹女像

 象さんに乗った普賢菩薩は大陸風の衣装なのに、十羅刹女のほうは日本に来て平安貴族の女たちみたいな装束になった。
 と言いながら、同じ12世紀のもので厳島の平家納経のものは和風、蘆山寺のは唐風。
 ここの境目というのはどういうことなのかな~?
 蘆山寺の施主は女性だったらしいので、舶来のほうがオシャレと思ったのかもしれない。

・真言八祖行状図

 うう、目が悪くて暗いトーンの中に書かれているらしい空海がよくわからなかった。
 染谷くんの空海映画をまだ覚えているので、空海と恵果がともに描かれているのに興味が。
 八祖の最後が空海ですが、前半はみなインドの人なんですね。
 三国一という言葉の三国がインド・中国・日本なのはこのルートの国ってことなのね。
 (昔の人がそれ以外を知らなかったのだろうけど)

・狩野元信 四季花鳥図

 他にも似た構図の絵がありましたが、この絵の鴛鴦がすごく綺麗。
 銀杏羽と呼ばれる羽がホントに銀杏の葉っぱみたい。
 全体の色合い、色調が好きです。

・俵屋宗達が平時物語絵巻から作った扇面屏風

 絵巻物の場面、場面を扇面型に描き写し、それを好きな順番に並べて屏風に仕立てる。
 切り貼りコラージュみたいなものか。
 本歌取りという言葉がありますが、日本人はあらゆるジャンルでこれが好きなんじゃないかと思えてくる。
 ただ扇面ってカーブしているので、首をかしげて観ることになるので、ちとしんどい。
 普通に絵巻物で観るほうがやっぱりいいかも。
 
・長谷川等伯 松林図屏風

 さすが国宝。
 等伯って金箔の地に幹の太い松や咲き乱れる桜のような絢爛豪華な絵も描くし、
 こんなどこか心もとない雰囲気の水墨画も描くんですね。
 松=立派みたいなイメージが揺らぎますが、
 風が吹いて靄が流れて、木々の間にサラサラシューシューと音が聴こえそうです。
 閑とはこういうことかも。

・雛雀図

 この絵の前には蓮と水鳥の絵が何作か展示されていました。
 私、蓮池で水鳥観たことがないんですよ。
 蓮を密集させてるから、鳥を放つゆとりがないのかな。
 水鳥が泳ぐ蓮池もよさそうと思いつつ、雀。
 この雛雀は南宋のものらしいですが、巣の中で何羽かがピーピー、
 巣のへりに留まって、その結果巣を揺らすことになってる雛が二羽ピーピー。
 親は留守のようです。巣立ちが近そうです。
 とにかくかわゆいです。

他の作品も美しいもの、素晴らしいもの、難しそうなものたくさん。
見ごたえのある展示でした。
そうそう、若冲の仙人掌群鶏図襖も会期通して出ています。
蹴爪の迫力とひよこの可愛さのギャップがたまりません。

そしてこの展覧会(平成館)を出ても東博はまだまだすごいぞ。

年間を通して展示の入れ替えをしている東博なので、
初めて観たように思うのですが、
本館にて。

・長谷川久蔵 大原御幸図屏風

 平家物語の終盤、後白河法皇が大原に安徳天皇の母・建礼門院を尋ねる場面です。
 この二人、歌舞伎で直接は出てきませんがゆかりの人は多いです。
 そしてこの長谷川久蔵、前述の長谷川等伯の息子ですが若くして父より先に逝去。
 等伯の松林図は久蔵の死後描かれたものなので、ああいう筆致になったのかなとか、
 いろいろ思うこと多い屏風でした。

・狩野伯円 藤棚図屏風

 GW前に藤の花のシーズンが終わってしまった今年。
 名残りの白藤を博物館で楽しむ、なGW。

そしてさらにおまけ。

6日で終わってしまったのですが、本館の2室を使って
平成30年新指定国宝・重要文化財の展示がされていました。
今までこういうことをしてるとは知らなかったのですが、
持ってこれないもの(今年だとキトラ古墳壁画とか)以外は、いったんここでお披露目するらしいです。
縄文・弥生・古墳時代の出土品から、昭和の機関車(写真)まで!
これもジャンルはバラバラですがおもしろいです。

私にとって嬉しいおまけは有形文化財から重要文化財に昇格(?)したそうで
伊藤若冲の「紙本墨画 果蔬涅槃図」を観ることができたこと!
これ、ホントにしみじみ味わい深い絵だなあと思います。

この「果蔬涅槃図」は福島と都美の若冲展で観ているのですが、
展示される場所、その時の隣り合わせの作品との関係で大きさの感じ方とか違うなあと思いました。
今回は「こんなに大きかったっけ!?」でした。

昼過ぎから出かけて、日暮れまでゆるゆる鑑賞してました。
夜間拝観もなかなかいいものですね。

暗くなり始めた博物館前の噴水のところに若い人が集まり始めて、
何やら群舞してそれを撮影しようとしているようでした。