近鉄1620系リニューアル車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


近鉄では一般型車両の更新を進めていますが、大阪線の1620系は、これまでとは異なるデザインの更新内容で登場しています。

前面では、前照灯と標識灯が入れ替わりLED灯化されていますが、LED灯も技術の進化で小型化された(細くなった)ため、目つきが悪くなりましたね。またJR西日本よろしく前面に転落防止幌が設置されました。これ、前面に出た時に折り畳めるような形状にならんもんでしょうか…。JR車とは異なりほぼ切妻ですから、物理的にはその気になれば頑張れそうですが…。

方向幕はフルカラータイプのLED表示機となっています。

英語表記と交互に表示されまして、英語には駅ナンバリングも表示されます。

車内です。このリニューアルでは雪月花や銀河をデザインした株式会社イチバンセンがデザインしたものになっており、なるほど弧が多いのはそういうことかと納得した次第です。またこれまでモノトーンな更新が続いていただけに、大幅な進路変更でやや戸惑いを覚えたものです。

ドアです。窓が大きい両開き式は健在ですが、化粧板の貼り替えやイエローラインの追加が実施されています。ドア上が大きく張り出していますが、LCDなどの旅客案内表示の設置は見送られているようです。奈良線系統ではLCDを設置した車両もいた中で、なぜ今回の大胆なリニューアルで設置がされなかったのかが謎です。

で、代わりと言いますか、防犯カメラが設置された箇所があります。昨今は鉄道車内の凶行が増えていますので、抑止力になるといいですね。そうそう、ドア横の握り棒は縦方向に長いものになっています。

車端部です。仕切り扉の窓の大きさは従来の大きさで変わりませんが、持ち手は縦方向に長くアシストレバー付きのものに交換されています。仕切り扉もそれなりの重さですので、容易に開けるのはありがたいですね。右側には非常通話装置が設置されています。

両側が優先座席となった車端部です。カラーコード的に、更新前もモノトーンな更新車もオレンジ系でまとめられているんですよね。

フリースペースを有する車端部です。非常通話装置がフリースペース側の側面へ移動しています。

最前面です。大阪上本町側も反対側も同じ仕様で、左側がフリースペースになっています。これ、何気にこの編成が初めてなんですよね。

非常通話装置と、温度計。温度計はデジタル式ながら、デザインは古めですね。

天井です。ここは大きく変わっており、かつて近鉄伝統だった三角形の照明カバーは廃止され、反射式のLED灯になりました。寒色系更新では照明カバーはそのままだっただけに、大きな変化になりました。反射させるカバーの面積は良好で「座ったら光直撃」みたいなポカは無いのですが、天井側がLED特有の光のつぶつぶを拾って反射させてしまっているのが欠点です。ここは反射部分をギザギザにするなどの工夫があってもよかったかもしれません。吊革は丸形を基調としながらも、機能としては五角形のものと変わらない、握るのに重点を置いた形状になっています。

荷棚はリニューアル前の網棚をそのまま使っています。一部にはドーンと機器が載ってる残念仕様、荷棚って何のためにあるのか考えてほしいものです(ここはデザイナー側というより近鉄側ですね)。

窓です。やや色味がかったガラスに日除けの組み合わせ、通勤電車では100点の組み合わせですね。日除けの生地は近年下部をビニールにしたタイプが増えていましたが、一般的な生地を使用しています。

優先座席区画の窓ですが…何やら日除けに見慣れないものが。

なんと生地に優先座席のシートが貼られています。生地自体を優先座席仕様にしたものは最近見かけるようになりましたが、シートを貼るタイプは珍しいと思います。これで、日除けを降ろしても窓に貼られたステッカーと同じ情報を提供出来るようになった訳ですね。

座席です。こちらも大変貌と言えるでしょうか、赤系のモケットは従来の近鉄のイメージを引き継いでいますが、花柄で華やかなイメージとなっています。2+5という微妙な仕切り方をした握り棒、これは近年の更新車に共通したものですね。袖仕切り部分共々、表面がサラサラな感触になるよう加工されており、地味にお金がかけられています。

車端部の5人掛けです。袖仕切りはガラスと金属を組み合わせたものです。カーブを多用しており、「ああ床面を含めて弧が多いのはそういうことか」と(後日社長の呟きで同社デザインであることを知った次第)。立ち上がり時を想定したと思われる金属の使い方や、モケットの側面を保護するような黒系の板などに機能性を感じるものの、これまで肘掛けとしての機能と立席分離の機能を融合させた秀逸な袖仕切りを作り続けてきた近鉄を見てきた身としては、デザイン先行感が拭えません。もたれ掛かるにしても、弧であるが故身体のやり場に少し困るんですよね。またガラスは皮脂やら整髪剤やらで汚れたら目立ちますし…。

優先座席はオレンジ色系統でまとめられています。足元にはシートも貼られていますね。この系統の座席は座面のスプリングがヤレると着座ポイントが安定しない欠点がありますが、今回のリニューアルで適切にセッティングされたようで、長めに取られた背ズリと併せて良好な座り心地です。これを長く維持して欲しいものですが…(^^;;

車端部の優先座席です。握り棒はやはり天井に直接接続させる面白い方法を取っています。

今回近鉄通勤電車としては初めて外部デザイナー委託となりましたが、今後のリニューアルがどう進んでいくのか楽しみです。