有田鉄道キハ580003 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

和歌山の有田といえば、みかんを思い浮かべる方も多いと思います。そんなみかん畑の中を走っていた有田鉄道の車両が、ここ有田川鉄道公園に保存されています。

 

今回紹介するのは、富士急行から譲受したキハ58003です。富士急が国鉄線への直通急行を運転させるために導入したキハ58系に準じた仕様の車両で、塗装も国鉄急行型に準じています。車両番号がオレンジなのが特徴でしょうか。国鉄線が電化されたことで用途を失い、ここ有田鉄道にやって来ました。

 

その昔、JRから部品取り用に購入したキハ58(もちろん車籍なし)を連れて、JRに乗り入れたなんてファンキーな事件もやらかしたことがあるそうですね(やらかしたのは別のキハ58001だそうですが)。このキハ58003、樽見鉄道からやって来たレールバスに主力の座を奪われて最後は予備車となり、一応は廃線まで車籍は有していたそうです。

 

廃線直前はエンジンの状態が非常に悪く自走出来ないほどだったものの、廃線後に開業した有田川鉄道公園で動態保存されるにあたり外板の再塗装とエンジンの整備が実施され、一度は自走可能になったそうです。ただ、今は再び自走出来なくなったようです。幕は「快速」、あの路線長にしてどこに停めるのでしょうか…。また「きのくに」のヘッドマークが付いていました。

 

ドア横のサボには富士急時代に付けていたであろう急行「かわぐち」のサボに、なぜか吹田の「吹」…。

 

それでは参りましょう、まずはデッキ、ドアからです。座面のマットはオリジナルのものでしょう。片開き式のドアの下には丸い窓が付いており、暗くなりがちなステップの明かり取り窓になっているようです。なお、このキハ58003は両運転台、仕様としてはキハ53に似ていますが、トイレはありません。

 

車内です。手前がゴチャゴチャしているのはこの際見逃していただくとして、終始私鉄在籍車両ながら、完全に国鉄急行型車両の雰囲気です。

 

デッキとの仕切りです。仕切り扉もありますが、動態保存の体験乗車では開けたままで運転されます。SOSのステッカーが何だか今風ですが、ここへ来てから貼られたものなんですかね?

 

で、ゴチャゴチャした出入り口側。こちらには行き先表示が入れられています。そうですね、湯浅まできのくに線へ直通していた訳で…その際にやらかしたんでしょうね。

 

天井です。非冷房で、涼は扇風機と通風器、窓からの風から取り入れることとなります。この扇風機、仕様をキハ58に合わせているため、私鉄車両ながら扇風機にはJNRマークが入っています。生涯私鉄の車両としては中々珍しいのではないでしょうか。

 

窓です。一段上昇窓で、駅弁も買いやすかったことでしょう。そうそう、窓上の荷棚ですが、立派な「網棚」です。かつては急行型車両もこれだった訳で、貴重なアイテムが残っているものです。

 

柱には帽子掛けと扇風機のスイッチがあります。ボタン、緑色なんですね。

 

両運転台で戸袋を付けるだけの余裕が無かったためか、デッキ仕切り際の座席の窓は戸袋窓になっています。

 

座席です。国鉄型車両で共通的に採用されたボックスシートが並びます。

 

窓側にも肘掛けがあるところが急行型車両らしいですね。また持ち手はカマボコ型、全国的に絶滅危惧種になっており貴重な存在です。短時間でもこれを体験出来るのは嬉しい限りです。

 

窓下にはテーブルと灰皿。有田鉄道に来てからも、喫煙は可能だったのでしょうか。

 

デッキ仕切り際の座席は座面幅が狭いため、窓側の肘掛けが省略されています。ご丁寧に省略の必要が無いはずの反対側の座席まで…ボックス内で格差を付けないようにするためなんでしょうね。

 

で…1区画はこのようにぬいぐるみで溢れています。荷棚にまで現場猫がいますが、明らかに危険行動してるっす。

 

もうひとつのボックスには、四国の急行列車のヘッドマーク等の品々があります。

 

反対側には、今や過去のものになったアイランドエクスプレス四国Ⅱのヘッドマークや、肥薩線の急行「くまがわ」のヘッドマークもあります。肥薩線、何とか頑張って復旧してほしいものです。

 

見切れて見えなかったので…北海道の夜行列車、「まりも」のヘッドマークも。でっかいですなしかし

 

その他、特急「あさしお」のヘッドマークもあり、更に謎の「無限」のヘッドマーク…時代に乗ったんでしょうね。

 

そしてそして、こっちはとっ散らかってますが、座席横幅も狭ければ目の前はボックス背面という2人掛け、いわゆるS席です。進行方向だと向かい側に人は座ってこないものの、シートピッチも狭いので居住性が良いとは言えない区画です。

 

乗務員室にもなんと「消毒ヨシ」の表示…(笑)

 

さて、ここから少しオマケ、乗車編です。きっぷはホームの前に有る鉄道交流館で購入することになります。発車の10分前からきっぷの発売が開始されます。

 

乗車体験の時刻表は、こんな感じ。12時台は職員さんの休憩もあるので運転が無いですが、それ以外の時間は10時半から15時までの間、30分間隔での運転です。

 

ホームには様々なヘッドマークが展示されています。

 

なお現状ではこのキハ58003は自走不可能なため、ディーゼル機関車の動力を得て走行しています。なお、サービス電源用のエンジンはどこかから持ってきたのか不明ですが作動はしてるようです。

 

その牽引・推進を担当するディーゼル機関車には、なぜか「あさま」のヘッドマークが取り付けられています。

 

体験乗車の折り返し駅は、かつての有田鉄道の終着駅、金屋口駅です。

 

ホームにあった、普通運賃表。JRに乗り入れていたこともあったので、様々な行き先が入っています。

 

ディーゼル機関車を単体で。これ、反対を向いていればスッキリするのですが‥。

 

連結面もこの通り。連結器にはアダプタがついているんですかね?

 

こう見ると、当時の雰囲気がよみがえる方もいるかと思います。

 

体験乗車を終えて金屋口駅方面へ歩いてきました。空き地には枕木や踏切信号・標識など、鉄道関連のアイテムが色々立てられています。

 

その横には、現在の本業・バスの廃バス停が立っています。その敷地内はバスの駐車場になっています。

 

再び鉄道公園に戻りまして。動態保存車以外にも、いくつか静態保存車もおります。

 

正面には屋根が付けられたSLもありますね。

 

更に、体験乗車ホーム向かいにある鉄道交流館には、和歌山県の鉄道に関する遺産が多数展示されています。有料ですが、中々面白いものがあります。

 

で、「こんなところに残っていたのか!」な、381系のグリーン座席です。壁にしっかり付けられているのでリクライニングは出来ませんが、「体験着席」は可能でございます。

 

更に、普通車座席やパンダシートもあります。「パンダシート」は白浜駅だけの残存と、思うことなかれ。