JR九州50系「SL人吉」仕様車 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

熊本県の小京都、人吉。ここには日本唯一の石造りの機関庫が現存しており、その機関庫にはやはりSLがよく似合います。

 

このSLを使用して熊本と人吉の間を結ぶ肥薩線の臨時快速が、「SL人吉」です。この列車を牽引する機関車は「ハチロク」こと8620型蒸気機関車です。

 

大正生まれの古豪で、今もなお本線上を走る機関車としては日本最古のものです。

 

かつては豊肥本線の臨時快速、「あそBOY」を主に走っていましたが、老朽化による台枠歪みと軸焼けを起こして一度は「復旧不可能」とまで判断されたものの、製造元の日立製作所に当時の設計図面が奇跡的に残っていたこともあり大枚を叩いて復旧させ、2009年より現在の運行体系に落ち着いています。

 

そして目立たないものの「SL人吉」の運行を支えるのがこのJR九州名物、黒いDE10形ディーゼル機関車です。

 

熊本車両センターからの送り込みや引き上げ時に活躍するほか、SLの調子が悪かったりすると時折後補機として連結されているようです。この日は1756号機が担当でした。

 

で、私のメインはやはりこちら、SLとセットで運転される3両編成の黒い客車です。

 

今や稼働車も少なくなった50系客車です。ジョイフルトレイン的位置づけのようで、700番台が振られています。「SLあそBOY」時代はウエスタン調のデザインで運用されていましたが、「SL人吉」専属となってからデザインが一新されました。前のデザインは、あまりミトーカミトーカしていなかったのであれはあれでよかったように思います。

 

車体にはSL人吉のロゴで溢れています。JR九州のことだから、いつも通り色々やったんだろうなぁ、とは容易に想像がつきます。

 

両端の車両が展望車として改造されており、「レッドトレイン」と呼ばれていた当時から大きく印象を変えています。それでも、テールランプがレッドトレイン時代と同じ形状をしているあたり、同氏の芸が細かいと言うか何と言うか、多少の苦笑を禁じえないところではあります。

 

熊本駅でキハ185系「A列車で行こう」仕様車と並びました。どちらも黒いもの同士ですね(笑)

 

サボ受けはきっちり使っています(笑)

 

それでは参りましょう、まずはデッキドアです。かつては通勤用としての役割も果たしていたことから幅広の引き戸となっています。当時は無塗装だったはずですが、観光列車化で赤い塗りドアとなっています。

 

で、昔からこれだったか謎の折戸です。後にも先にも唯一折戸を持った50系客車なのでは…?

 

ゴミ箱は据え置き式で、その上にはテーブルが設置されています。この組み合わせ、九州の至るところで見ることが出来ます。

 

トイレです。箱自体はレッドトレイン時代から変わりませんが、中は洋式に交換されています。

 

バリアフリー対応トイレです。ドアを側面に持ってきて開口面積を広げていますが、面積はそこまで変わらないような気がします。かなり頭を使ったように思いますね(^^;;

 

デッキとの仕切りにはハチロクのロゴが入ります。

 

車内…なのですが、入線時からカーテンは全閉、カメラの設定ミスで真っ暗になってしまいました(^^;;

 

はい、出直しました。「あそBOY」時代よりもサッパリしたように思いますね。それでも、「レッドトレイン」時代の面影はほとんどありません。

 

天井です。ダブルルーフを模した形状に改められ、照明も丸いカバーがかかった蛍光灯となっています。

 

座席です。全車指定席のクロスシートとなっています。ヘッドレスト部分にクッションが増設されたり、サイドに木を使用した化粧板を貼り付けてはいるものの、フレーム自体はオリジナルのものを使用しているのではないかと思っています。シートピッチは地味に拡大されています。

 

そしてミトーカデザインらしくモケット違いもいます。この席、上の座席とは逆にシートピッチがかなり狭くなっているような気がします。恐らくこちらが本来のピッチだと思うのですが…。

 

テーブルはミトーカデザイン共通の折り畳み可能な固定式です。ですが、上の画像のように折り畳み不可の席もあるようです。

 

そしてボックスシートのシートピッチ拡大のあおりで誕生したであろう2人掛けです。進行方向を向いた席であれば向かいに人が来ないので、知る人による指名買いもあるようで(自分?自分のことか?)。

 

そしてこちらは革張りとなっている座席。雰囲気は出ていますが、やはり好みが出てきそうです。

 

車両の中央にはショーケースが挟まれています。そのために車両が全長よりも短く感じたんですね。

 

そして車端部にもショーケースがあり、歴代機関車の模型がセットされています。

 

その向かいには「SL文庫」と称する本棚があります。乗車時間がちょっとしたものとなるこの列車、やはり少し車窓に飽きた時にはいいかもしれません。

 

続いて魅惑の展望室です。座席もありますが、この列車の指定席券さえ持っていれば誰でも自由に使えるフリースペースとなっています。

 

窓上にはロゴの飾りが入ります。

 

そして非常口です。緊急時に逃げ口が一ヶ所しか無いと危ないので設置されたのでしょうね。

 

正面の窓です。中々の大展望となります。「あそBOY」時代から展望室となっていましたが、「SL人吉」化により窓が下部にまで広げられています。

 

で、座席はと言えば、まぁ見た目は文句なくオシャレですが背ズリの形状など絶望的悪さと言えます。ここに限っては交代で利用することを念頭としたスペースなので、あえて座り心地を悪くしてるのかもしれません。

 

向かい側はクロスシート配置となっています。ええ、後ろの席のシートピッチを見ても長居させない気満々です。

 

中央には何ともかわいい椅子がふたつ。間違いなく小さなお友達専用です。

 

仕切り扉の横には家具のようなモノ入れがありますが、どれを開こうとしても開かないダミーとなります。

 

ハチロク背面に貼り付けられた説明板です。展望室から見られるようにしたんでしょうね。

 

そして1号車と2号車の車内です。こちらは化粧板の色使いが異なっています。

 

デッキとの仕切りです。仕切り扉の右側、取っ手が来る部分の壁が凹ませて作られています。この辺りを見ると、「ああ、50系客車だ」と少し安心してしまう自分がいます(^^;;

 

座席はサイドの化粧板の色が異なる以外は大きく変わりません。座り心地は、もとが安定の国鉄ボックスシートのフレームを利用していることもあり大きく崩れておりません。クッション性を追加してヘッドレスト部分の薄く硬い部分をカバーしています。

 

そして革張り座席区画です。こちらは黒の色使いで化粧板の色とメリハリを付けた格好となっています。

 

そしてお決まりの2人掛け席部分。こちらもテーブルが折り畳み式としています。窓側の出入り時に固定式だと難儀するのでこれはありがたいですね。

 

車椅子区画です。テーブルらしきものがありますが、車椅子の方もこちらですか?

 

そして反対側の展望室です。座席配置が異なっていますね。

 

仕切り扉側のロゴです。指定席券に押されるスタンプと同じロゴが入っています。煙突を象ったものでしょうか?

 

非常口は赤色塗装となっています。

 

2号車には沿線イラストを電光式で展示しています。乗り潰しの事前予習にどうぞ。

 

またその向かい側には車内販売カウンターがあります。基本的にこのカウンターによる対面販売となりますが、焼酎アイスなど、いくつかの品をアテンダントさんがカゴに入れて車内を回ることがあります。

 

購入例。もちろん、アルコールの販売もあります。