JR九州キハ71系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

先の豪雨で甚大な被害を受けた大分県。特に被害が大きかったのが西部の日田や湯布院と言った内陸の観光地ですが、訪れた際にはそれなりの人で賑わうようにはなってきており、道半ばだとは思いますがお客さんは戻ってきているようです。この湯布院への看板アクセス列車としてJR以降活躍しているのがこのキハ71系です。

 

「ゆふいんの森」という愛称で走っており、現在JR九州が全力で売り出している「デザイン&ストーリー列車」のさきがけとも言える列車です。今も昔も文字を車体に入れているのは変わりませんが、この頃はかなり大人しいデザインとなっております。リニューアルが施されていますが、基本デザインを変えるまではしなかったかドーンデザイン(笑)

 

ロゴはボード貼り付けとなっています。なんだかロゴデザインがお菓子のパッケージみたいですね。  そうそう、何やら展示のために大阪まで運転されたことがあるようですね。この頃の九州って、鳴り物入りの列車をとりあえずよそのJRへ持ってくのが好きだったですよね(笑)


それでは、デッキドアです。列車名の通り森をイメージするためか床材や壁には木材を使用しています。「D&S列車」を始めミトーカデザインの観光列車が木で溢れた内装になったのは何も最近の話ではなさそうですね。窓が2枚となった特徴的な引き戸となっています。

 

トイレです。中は洋式となっております。模様として金属の飾りが取り付けられているのがオシャレです。

 

一部トイレは女性専用です。こちらにも飾りはありますが配色が大人しくなっていますね。

 

多目的室です。「空室」となっておりますが普段は施錠されているため、使用の際は車掌さんやアテンダントさんに声をかけることとなりそうですが、時折アテンダントさんがここへ入って何かをしているようです。

 

バブルの時期と言えばとにかく高い視点からの展望を重視した車両が多数製造された時代で、このキハ71系も例外ではありません。客室へはデッキから階段を登って入ることとなります。人気列車ではありますが、バリアフリーの観点が叫ばれる現代ではどうしようもないウィークポイントとなってしまっています。

 

階段を登ったすぐ横にはちょっとしたフリースペースがあります。折り畳み式の簡単な腰掛けがあります。現在は荷物置き場となっていることが多いですね。

 

車内です。全車普通車のモノクラス編成ながら、造るにあたって普通の特急列車よりもお金をかけて、「車内に入った時から非日常な空間」を作りたかった意図を感じます。これこそが、やはり観光列車をブランド化したJR九州の原点でもあるんでしょうね。

 

デッキとの仕切りです。ハイデッカーにしたことによる客室高さの低さがお分かりになるかと思います。仕切り扉はありますが、閉められないような状態で固定されています。階段登ってドア開けてとアスレチックばりの手間を省きたかったのでしょうが、階段で多少距離があるとは言え、これでは騒音が筒抜けです。ハイデッカーによる騒音の軽減をスポイルしてるんでない?

 

後述のボックスシート配置区画については導線の関係かそもそも仕切り扉がありません。まぁ仕方ないか…。

 

最前面です。仕切り窓を大きくした展望仕様となっています。

 

天井です。見える金属部分はほとんどが金色に塗装され、登場時期が時期だけにとってもバブリーで豪華な、印象としています

 

窓です。2席に1枚が割り当てられています。日除けは横引き式のカーテンですが、横方向のカーテンレールに輪を通して動かすちょっぴりレトロなデザインです。柱部分に飾り照明が設置されているのがJR九州らしいですね。

 

座席です。モスグリーンの回転リクライニングシートが並びます。リニューアル前は九州らしく色々なモケットパターンがあったようですが、現在はこのデザインで統一されています。

 

テーブルはインアーム式、形状的にも面積的にも使い勝手が悪くあまり誉められたものではありません。この辺りは今に至るまで全く変わってないですね。

 

柱が被らない区画にはボックス配置での利用時に使えるテーブルが収納されています。なんだか東武っぽいかも。

 

で、デフォルト配置でこのテーブルを使われるとどうなるかと言うと、前席の方がリクライニング出来なくなるというそらぁもう大いにトラブルになりそうな予感全開の仕様となっているため、アームレスト下にブロックを取り付けて引き出せないようにしています。私が乗車した時には、後ろの外国人観光客がこのテーブルを出したいからリクライニングを一旦戻してくれとジェスチャーされたので、インアームテーブルを使えとジェスチャー仕返したやりとりがありました。インアームテーブルの欠点は、案内書きをしてやらないとその存在が認知されないことなんですよねぇ。

 

車椅子対応とされている1人掛けです。さぁ、デッキの階段はどうしてるんでしょう…。

 

全展開の図。そうそう、足元にはバーレストが備わっていますが、登場当初は反転式のしっかりしたフットレストが備わっていたみたいです。このシートピッチではかなり無理していたと思われるのである意味賢明な判断ですが、恐らくJR九州お得意のメンテ下手に負けたんだろうなぁ、と推測。

 

一部座席はグループ利用を前提としてボックス配置となっています。座席の座り心地自体はまずまず、この時期は快適性が高くしっかりしたクッション性を持った座席となっています。885系以降座面が扁平で物足りない座席が増えていますが、快適性という観点でこの座席と向き合って欲しいなぁと思う今日この頃です。

 

中央には折り畳み式テーブルが設置されています。これも昔から変わらないようです。

 

荷物置き場です。二段式で、固定用のベルトが設置されています。

 

「ゆふいんの森」ではフリーWi-Fiがあるようですが、私のスマートフォンでは電波を拾いませんでした。なぜでしょう…。

 

乗車中にアテンダントさんからキャンディが配られました。他の列車で見られるピンクに黒いツバメマークではなく、オリジナルデザインとなっています。先程「お菓子のパッケージみたい」と言いましたがビックリ実在していましたね(^^;;

 

2号車には記号は「キハ」ながらビュッフェが存在します。

 

ビュッフェ内部です。階段が存在することからワゴンによる車内販売は行われず、このカウンターでの対面販売となります。電子レンジも備わり、かつては焼きうどんなどを提供していたそうな。

 

壁の額縁にはミトーカデザインのイラストが飾られています。

 

また連結面側にはちょっとした展示ケースがあります。季節は夏、ひまわりやあさがおなどの造花で彩られています。季節ごとにここも変わるんでしょうね。

 

続いてお隣3号車のサロンです。

 

入ってみました。ものの見事に木で溢れています。

 

2人掛けのカウンターが3席、向かい側にはドリンクスタンドが設置されています。なお、新造当初はエンジンや台車をキハ58やキハ65という国鉄急行型車両から流用しており、リニューアル時にエンジンは交換されたものの台車はそのまま、ローカル軌条ではそれなりに揺れますのでお尻を大切に。

 

連結面側には本棚があります。こちらもミトーカデザインらしいですが、まだあのお馴染みの本棚ではありません。

 

額縁はこちらにも。そうそう、今さらですがキハ71の愛称は「ゆふいんの森Ⅰ世」でしたね。Ⅱ世は現在「あそぼーい!」となっているキハ183系1000番台、Ⅲ世は完全新造のキハ72系ですね。


さて、本来は鹿児島本線・久大本線経由で博多-別府間を結んでいるのですが、久大本線が不通となったことから2017年の夏より日豊本線経由で博多-湯布院間を結んでいます。設定時は湯布院観光の象徴とも言えるこの列車が大分へ戻ってきたのは復興への第一歩を踏み出した感がありました。湯布院駅の乗車位置も号数が臨時となっています。今回は臨時、 湯布院発大分・小倉経由博多行きの「ゆふいんの森92号」に乗車しました。

 

…しかし、足回りは国鉄急行型の流用のため乗車時間は怒涛の5時間越え、スタフをご覧頂ければ分かりますが数度運転停車を行っており、日豊本線内だけでも2本の「ソニック」の通過待ちをするという、「特急が特急に抜かれる」世にも珍しい現象が起きています。また運転密度が過密な鹿児島本線では更に特急3本、果てには快速にまで抜かれるという「”特急”とは?」と考えてしまった長丁場でした。設定当初はこれよりも更に所要時間が長かったそうです。かつてJR九州発足当初は食パン電車、715系のロングシートを指定席として売り出した急行「ひのくに」や、臨時と定期が熊本駅に同時刻に到着する「ダイヤ通りに事故が起きていた有明」などがありましたが、ここへ来て「臨時でやらかすJR九州」は今も昔も健在のようです。