のと鉄道NT300形「のと里山里海号」仕様車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


近年の観光列車ブームに乗る形で、北陸新幹線開業により増える観光客を取り込もうと、能登半島を走るのと鉄道でも観光列車が運転を開始しました。


「のと里山里海号」、土日は要予約の「ゆったりコース」、平日は整理券が必要な「カジュアルコース」として運転されます。今回乗車したのは3号と4号で、3号は一部駅を通過する単独運転列車で、通過した短縮時間分は一時停車やオユ10の見学時間に充てられます。


そんな「のと里山里海号」に使用されているのがNT300形です。4号と5号は定期列車と併結運転となるため、3両編成で運転されます。


七尾では金沢方面に向かう観光列車、特急「花嫁のれん」とも並びます。なお、NT300形は完全新製車両で、のと鉄道でもそれをプッシュしています。確かに、観光列車って既存車の改造が多いですもんね。


車内です。まずは穴水方の「里山」車両から参りましょうか。「観光列車らしい」と言えばその通り、木目調の落ち着いた雰囲気です。


ドアです。片開きで、化粧板も貼られています。やはり足元にはステップがありますので、乗り降りの際には注意されたいところ。


半自動機構も備わります。一応、通年半自動扱いなので乗客側も使うことはあります。


最前面です。両運転台車両ですが、基本的に里山里海の2両で運転されるため、最前面と書いた方がいいかもしれません。朝に穴水→七尾で送り込みの普通列車としても運転されることから、ワンマン運転設備も備わっています。


天井です。NT200形をベースに、照明を飾り付きの円形蛍光灯としています。また冷房の吹き出し口とラインデリアを塗装仕上げとして差別化を図っています。


肩部分には飾り照明が備わります。後述のカウンター席では出入りの際に毎日何人かの「犠牲者」が出るそうで、アテンダントさんいわく「本日も3人ほど犠牲者が出ております」とのこと…。頭上注意ですね。


窓です。一枚固定窓、面積も大きいので展望はバッチリです。日除けもフリーストップタイプのロールカーテンが備わっています。


いよいよ座席です。まずはボックスシートから行きましょうか。団体枠ではここが宛がわれることが多いようです。座席自体はNT200形と同様のタイプですが、ちょっとした個室感を出すために背ズリが伸ばされており、ヘッドレストリネンには地元工芸品である能登上布が使われています。


この手の列車において座り心地を求めるのは野暮ですが、あえて言いますとやっぱりこの垂直に切り落ちた背ズリはどうかしてんじゃないかと思うほど無理しており厳しいです。楽な体勢をどうやって取ればいいんでしょうか…。


2ボックスにひとつの割合で背ズリ上にショーケースが置かれており、地元の名産品が展示されています。


なお、穴水方には2人掛けがあります。…が、窓側の様子がおかしい。
 

…はい、戸袋になっていることから、ここには窓がありません。眺望を売りにしている観光列車の割にこれは…。新製車だからエラいというより、新製車だからベースとなる車体からこのような残念な区画を排除することが大事なんじゃないかと思います。アテンダントさんも気配りは行き届いているので、空いていれば空席のボックスシートへの移動を提案するかと思われます。
 

続いてカウンター席。2+2+4で区切られています。
 

窓側にはテーブルが備わります。
 

向かい側のソファ席です。カウンター席よりもセミハイデッキとすることで、海側の眺望が邪魔されないようにしています。
 

穴水方運転台付近にはサービススペースがあります。記念写真のボードや帽子、スタンプが置かれています。
 

その奥には展望席として2人掛け席が備わります。
 

半室運転台車両の構造を生かした形ですが、今までありそうでなかったアイテムですね。
 

風景はこんな感じ。ロマンスカーやパノラマカーよりも近い距離の前面展望が楽しめるかと(笑)
 

運転台背後には雨天時を考慮して貸し傘が置かれています。地方ローカル線らしい配慮というか、意外にもJR各社やその他私鉄の観光列車でもあまり見ないような気がします(気付いてないだけかもしれませんが…)。
 

ヘッドレストリネン以外にも各部には能登の伝統工芸品が多数用いられています。仕切りには田鶴浜建具の格子細工と輪島塗を組み合わせたものを使用しており、かなりカネかかってます。


例の窓なし区画の衝立もこの通り、美しきこと。


車内販売スペースです。カウンター式で、各自が席から買いに行くスタイルです。


続いて七尾方の里海車両です。「里海」という言葉が少し聞き慣れませんが、モケットを青にしてそのイメージに合わせています。
 

七尾方の運転台です。こちらの車掌台側は車内サービスの拠点となっています。
 

座席です。里山車両の色違いですね。往復で車両を変えてみるのもいいかもしれません。
 

中央のテーブルは展開して面積を広げることが出来ます。
 

そしてボックスシート上にはやはりショーケースがあります。
 

ソファシートです。他の席とは違いある程度独自設計となっているのか、ここが座り心地の観点では一番ゆったりしておりいいのではないかと思います。
 

続いてカウンター席です。撮影は4号で、スイーツプランを実施しています。
 

フレーム自体はボックスシートのヘッドレスト部分をカットしたようなイメージです。足元空間も広くありませんし、背ズリもほぼ直角なので普通に座るとかなりキツいと思います。カウンターテーブルに寄りかかりながら背ズリを使わずに座るのが無難かと。
 

トイレです。バリアフリー対応大型洋式トイレとなっています。
 

さて、先ほどチラッと触れましたが、土日のゆったりコースでは食事や各種ドリンクを頂きながら沿線の景色を楽しむことが出来ます。内容についてはもっと詳しく書いていらっしゃる方がいるのでそちらをご覧頂くとして、画像は3号の寿司御膳プラン、オリジナルデザインのお水もついております。ボリュームもそれなりにあっていいと思います。ただ、のと鉄道の景色がよいところはオユ10の車内見学が出来る能登中島駅よりも後、景色を見ながら食べるとなるとかなり急がないといけないのでペース配分に気を使わなければいけません。


アルコールの販売も行われており、日本酒の飲み比べが出来ます。アテンダントさんからはこのように瓶を使用して銘柄の説明をしてもらえます。
 

で、沿線の景色がよいところでは減速ないし停車をして写真を撮ったりすることが出来ます。アテンダントさんによるちょっとした豆知識が案外面白かったり(笑)
 

景色もアテンダントさんもゆったりのんびりした雰囲気がホッとしてしまう「のと里山里海」号、何気に「また乗りに行きたい」と思ってしまったいい列車だと思います。

 

 

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