JR九州キハ183系1000番台「あそぼーい!」仕様車 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


かつて、門司港-佐世保間には「オランダ村特急」という臨時特急が走っていました。車内ではオランダの民族衣装に身を包んだアテンダントさんが記念品を配ったり、オランダ村の宣伝を車内でも大々的に行うなどそれはもう「時代が時代だ」と言ったようなある意味伝説の列車だったそうです。


そこに充当されていたのがこの車両。デザイン的には165系改造のジョイフルトレイン「パノラマエクスプレス・アルプス」(後の富士急2000形)や485系のジョイフルトレイン「シルフィード」(現在のNO.DO.KA)と同系統の運転台を二階に上げたパノラマタイプとなっています。


形式はキハ183系1000番台。キハ183系と言えば北海道の特急型気動車のイメージですが、基本設計を参考にした関係で同じ系列に押し込んだそうです。おかげで道外唯一のキハ183系となっています。


ちなみにこの車両、世界初の気動車による電車との協調運転を行った車両で、485系の「有明」と併結して鳥栖まで協調運転をしていました。連結器にはその名残が残っており、双頭式となっています。


またこの列車ほど「流浪の運用」と呼べる車両がいないのも特徴で、「オランダ村特急」が783系の「ハウステンボス」に置き換えられた後は「ゆふいんの森Ⅱ世」(キハ72系導入により置き換え)→「シーボルト」(利用者不振により「快速シーサイドライナー」に置き換え)→「ゆふDX」(古代漆色・山吹色と二度塗装変更、キハ185系「ゆふ」に置き換え)と変遷を辿り、その塗装は現在のものを含めて6種類にものぼります。おかげで某迷列車動画では「万年派遣社員ディーゼルカー」なんていう呼ばれ方をされていたり(爆)


現在は熊本-宮地間の臨時特急「あそぼーい!」で運用されており、車体にはイメージキャラクターである「あそくろえもん」、通称「くろちゃん」が多数描かれています。


勿論これをデザインしたのはあの専属デザイナーでございます。くろちゃんだけでなく、文字も溢れてますよ、と。


今回長崎ディスティネーションキャンペーン(兼本来運用が出来ない間合い運用)として博多-ハウステンボス間で「あそぼーい!81号・82号」として運転され、久々の佐世保線走行となりました。ちなみに方向幕は白幕となっていました。


それでは参りましょう、デッキドアです。JR九州らしい赤い化粧板が貼られており、窓には追加とばかりにくろちゃんがいます。


くずもの入れです。ここは恐ろしいほどシンプルに収まっており、ここにもくろちゃんなり何なりがいるデザインだと面白いと思うのですがいかがでしょう?


トイレです。マークを大きく描くことで分かりやすくしています。この列車の主役に配慮したものなのでしょうね。中は洋式となっています。


洗面台です。最近の九州の特急列車らしく縄のようなのれんで目隠しされています。


内部です。蛇口は押ボタン式で半自動化されているものの、それ以外は特筆すべきもの一切なしです。長居すべきでないスペースはさっぱりさせるという何かしらのポリシーがあるのでしょうか。


一般客室です。1号車と4号車の一部、3号車が該当します。それにしても、座席のブロックパターンのモケットに目がチカチカしそうです(^^;;


デッキとの仕切りです。座席以外は正直かなりシンプルにまとめられており、こちらの化粧板もオフホワイト一択となっています。仕切り扉は自動式、やはり窓にはくろちゃんがいます。


天井です。こちらも荷棚が木のパネルになった以外は特に変わらず、照明はカバー付きの蛍光灯で残っています。


窓です。突然の日除けですが(笑)  生地はくろちゃんが大量に散りばめられたものとなっています。


座席です。やはり登場時期が景気沸騰中の時代だったためでしょうか、跳ね上げ式のフットレストが装備されています。「オランダ村特急」から幾度となくリニューアルが行われているこの車両、メンテナンスが恐ろしく下手な九州においてこれが残っているのがもはや奇跡です。ただ、決して恵まれていないシートピッチにこのフットレストはちょっと窮屈かもしれません。座り心地はバケット形状がかなり強調されているため、リクライニングして安楽姿勢を取ればそれなりにくつろげる座席ではないかと思っています。


一部はセミコンパートメントとして座席をボックス配置に固定し、中央にはテーブルが備わります。テーブルはもちろん反転させて面積を広げることが可能です。


デッキ仕切り際は収納可能なテーブルとなっています。固定テーブルが多い九州においては珍しいかも。


展開の図。ドリンクポケットは二名分存在します。相変わらず縁取りが無いのがおっかないんですよねぇ…。


セミコンパートメント手前には荷物置き場があります。その横のテーブルはなぜか固定式…。


1号車にはフリースペースがあります。


木のベンチにカウンターテーブル、九州のみならず様々なミトーカマジック車両で見ることが出来ます。


その向かい側は…なぜかクロスシート配置となっています。車椅子利用を想定しているのでしょうか。


2号車のデッキと客室との間にはミニギャラリーがあり、丸窓とくろちゃんが等間隔に並んでいます。


他にもこのように専用ポスターがあります。愛くるしいですね。


携帯電話の通話スペースです。かつては公衆電話でもあったのでしょうか、撤去跡と思われる部分はくろちゃんで隠すという使い勝手のよさです。


多目的室です。普段は施錠されています。


フリースペースです。かつてはコンパートメント席でソファがボックス配置で置かれていましたが、現在は木製のベンチ然とした風合いです。


小さな額縁にやっぱりくろちゃんがいます。


窓側には固定式のミニテーブルがあります。


続いて2号車車内です。「白いくろちゃんシート」という白か黒かどっちなんだかよく分からない名前が付けられたこの車両、子連れだとどうしても他のお客様に迷惑をかけがちな列車の旅にJR九州が出した答えで、1両丸々を半ば家族連れ専用とした設計としています。ちなみに指定席は別口販売、料金もやや割高です。


天井です。ここのみカバー付きの蛍光灯からスポットタイプのLED灯に交換されています。


座席です。「今時特急列車に転換クロスシートかよ」と言われそうですが、必ず子どもが窓側に座れるように考えた結果だそうですので目をつぶってやりましょう。サイズもそのコンセプトに合わせたものとなっています。窓側の足元には子ども用のフットレストが備わり、足がぶらぶらするのを防いでいます。また床面は全体的にハイデッキ化されています。テーブルは窓側柱部分の固定テーブルしかありません。ここはインアーム式でもキャパを確保した方がよかったように思います。


出入口付近には「くろカフェ」と呼ばれる車内販売カウンターが備わります。この時はまだ営業前でカバーがかけられていました。ここのプリンとゼリーは中々おいしいですよ。


向かい側にはソファが置かれています。表地は異なりますが形状自体はミトーカデザインを適用された車両ではどこでも見ることが出来るものです。


そして奥には突然のベビーサークルです。商品購入時にどこかへ行かないようにするためでしょうか?
 

カウンター隣にはスタンプ台があります。島内の列車によってはアテンダントさんが配布することもありますが、「あそぼーい!」では4両編成で定員も多いことから「ご自由にどうぞ」と言った感じですね。
 

そして子どもたちのメインはこちらでしょう、子どもの遊び場として「くろクラブ」なるスペースが存在します。もちろん子ども限定、この中に入れる大人はJR九州のアテンダントさんだけです(笑) 木のプールや暖簾奥のミニ和室など、子どもが遊べる仕掛けが多数揃えられています。
 

向かい側にもちょっとしたスペースがあります。こちらには本棚がありますね。
 

さて、子どもだけじゃなく大人も楽しめるのが展望席です。一般客室とは暖簾や飾り衝立で区切られています。
 

展望室車内です。180°ガラス張り、やはりこの歳になっても惹き付けられるものがあります(苦笑)
 

前面からはこんな感じ。この車両は1号車で、座席モケットは赤を中心としています。
 

衝立の裏にはこのような飾り照明があります。これ、元々は前面窓の台部分に置かれていたのですが、前面展望(特に夜間)に支障をきたすということでここに移設されたようです。
 

入って左側には乗務員室があり、ここから二階の運転台へとあがることが出来ます。
 

天井です。運転台の関係もあり少々低めです。その関係か間接照明を採用しているため、夜はかなり暗く感じるかと思います。「ゆふDX」ではそれを逆手に取ったムーディさを売りにしていたように思います。なんせ最後に見たのがかつて存在した臨時快速、「ムーンライト九州」で博多駅に降り立った時に見かけた12歳の春、当時は古代漆塗装でした。
 

で、足りない照度は読書灯で補うこととなります。
 

座席です。リクライニング無し、方向固定のソファシート、展望に配慮しているのは言うまでもありません。シートバックテーブルが装備されていますが、デフォルトでも固定テーブルが使えるようになっています。この配慮は中々見られないですが妙案だと思います。
 

肝心の前面展望。ご覧の通り冬を中心にかなり曇ります。一応デフ機能は備わっており、画像は徐々に曇りが解消されている最中です。
 

こちらは4号車…なのですが、暗い青のモケット、撮影は夜、おまけに間接照明なせいでかなり暗く写ってしまいました(^^;;
 

座席です。座り心地は詰め物がギッシリ詰まっており見た目ほど悪くありません。
 

向かい側の1人掛けです。ちなみにこちらも指定席販売は別口で、通常の指定席料金よりも割高です。「あそぼーい!パノラマ席」と言えば恐らく通じるかと。
 

展望席に座りし者は例え暑かろうと眩しかろうと忍耐を以てして前(後)面展望を楽しむのが使命ですが、一応日除けも備わっています。でも実際問題使いませんわな…。こちらも側窓の日除け同様、くろちゃんが散りばめられています。
 

座席背後には荷棚の代わりとなる荷物棚が設置されています。その上にはやはりどこかで見覚えのあるショーケースが備わります。
 

1号車には更にフリースペースがあります。壁となる部分にはソファが置かれています。
 

そして窓側には木製のベンチとカウンターテーブルがあります。ええ、もう見慣れたもんです(笑)
 

早く元の区間で走れますように。
 

↑ ↑ ↑