ゆきぐに大和病院の「診療所化」に対し、なぜ多くの市民が反発しているのか? | 小学校時代に学級委員に7回立候補して7回落選した僕が勝てるはずのない市長選に挑戦することになりました

小学校時代に学級委員に7回立候補して7回落選した僕が勝てるはずのない市長選に挑戦することになりました

令和5年12月18日午前10時から市役所2階の大会議室で出馬発表会をします!120億円溜まった基金で、自殺率や水道料が高い南魚沼市の市民の生活費をとことん下げます!

 多くの市民が反発しているゆきぐに大和病院の「診療所化」をストップさせることを市長選の公約に掲げている黒岩揺光です。

 

 

 

 今回のブログでは、この問題を五つの視点から考え、なぜ多くの市民が反発しているのかについて考えていきます。

 

 そして、最後に、私が市長ならどうするのか、について説明させていただきます。

 

 

① 市はこの件について市民にしっかり説明はしたのか?

 

 今回の診療所化の問題は、単なる医療再編ではありません。

 

 まず、市民にとって大事な事柄について、市が市民にしっかり説明をしたのかどうかを検証します。

 

 多くの市民から「説明が不十分ではないか?」という声が上がっています。

 

 確かに、説明は不十分なのですが、そもそもの問題は、市が市民に十分な説明をする意思がないように見えることです。

 

 

 10月1日の市民病院だよりに住民説明会の日程が知らされました。

 

 住民説明会の様子は先日のブログで書きましたが、そこで配られた資料はたったの6ページでした。

 

 しかし、この住民説明会が終わってから約1か月半後の昨年11月27日、「南魚沼市医療の再々編について」と題した議会全員協議会が開かれ、ゆきぐに大和病院の診療所化について市から説明を受けました。そこでは19ページにわたる資料が議員に配布されました。

 

 

 

 住民に配られた資料とは全く別の資料が議員に配布されました。

 

 常勤医師の勤務状況や当直医の体制、今後の常勤医の勤務形態まで、細かく記載されています。

 

 私はこの資料を受け取った瞬間に違和感を抱きました。なぜ、市民に配布された資料とこれほど違うのでしょうか?一体、何人の議員がこれに違和感を抱いたでしょうか?多くの議員は住民説明会には出ており、説明会で配られた資料の中身は知っています。

 

 住民説明会では市からの説明に費やされた時間は5~10分。一方、議会全員協議会では1時間以上、説明がありました。

 

 なぜこれほど違うのでしょう?

 

 制度上、過半数の議員の賛成がなければ、市はこの診療所化を進めることはできません。しかし、どれだけの市民が反対しても、議会が賛成すれば、できてしまうのです。

 

 12月15日、診療所化に伴い条例改正案が市から議会へ提案され、その時の質疑で、私はこの資料の量の違いについて尋ねました。(録画配信では2時間36分45秒)

 

 外山千也・病院事業管理者からの答弁は以下の通り。(録画配信では2時間41分0秒)

 

 経験上、住民説明の場で詳しく説明するよりも、概要を話すことで身近な疑問を頂く方がよかろうと思い、説明を短くした。その代わり98問の質問をすべて開示させてもらった。最初から詳しい説明はしない方が良かったと思っている。今後、進んだ段階でもっとわかりやすいかたちでやっていきたい。

 

 私は再質問しました。

 

 情報がよりあった方が質問ができるのではないか。1人でも多くの住民に情報を届けようと思ったら、ある情報はできるだけ開示した方がよかったのではないか。

 

 外山管理者が答弁しました。

 

 (資料を)厚くするか薄くするか、私の裁量に任せていただきたい。黒岩議員の意見は承った。

 

 「病院と住民の協力が必要」と言いながら、大事な部分は外山氏の裁量に任せなければならないということです。

 

 

 

 結局、自分たちのやりたいようにやりたい、ということなのではないでしょうか?

 

 この資料が欲しい方は、市の総務課に「情報公開請求」をしてください。「令和5年11月27日、議会全員協議会で配布された資料」です。外山管理者に電話で「ネットで公開しないのですか?」と尋ねたところ、「これまでしてこなかったから」という答えでした。

 

 2. ゆきぐに大和病院が掲げた理念は継承されているのか?

 

 次の争点は、ゆきぐに大和病院か掲げた理念は残っているのかどうか、です。

 

 住民説明会では、住民から以下の質問がありました。(議事録の89番目の質問)

 

 大和地域は地域住民と医療関係者、役所の方々が一体となって医療のまちづくりを行ってきた。病院、健友館、八色園とコンパクトな中で住民サービスができていた。(診療所化で)これだけの良い環境が間違いなく一回は崩れてしまう。健友館も六日町に移り病院が診療所になると 50年前に戻ってしまうという不安がある。今まで以上のものが再構築できるのであれば もっと具体的に説明をしてほしい。

 

 「ゆきぐに大和病院」が設立された当初、予防、医療、福祉が一体となって、医療のまちづくりが推進されてきました。医師が患者宅を訪問し、患者の治療だけでなく、患者の家族関係や家庭の事情などについて話し合い、住民と医師の信頼関係を土台とした医療サービスが提供できていました。しかし、基幹病院や市民病院では、長年いる医師の高齢化が進み、若手医師が短期で派遣されてくるケースが増え、昔からあった医師と住民との信頼関係がどんどん崩れていき、「気軽に呼べる医師」が減っていきました。そういった住民の不安が増幅していく中で、この「診療所化」が打ち出され、溜まってきた不安がピークに達しているという状態でしょう。

 

 ↑の住民の質問に対する、外山管理者の答えが以下の通りです。

 

 今の南魚沼市民病院が突然できた訳ではなく、ゆきぐに大和病院で持っていたシステムや思想を相当程度受け継いでいる。職員もゆきぐに大和病院時代からの医師、看護師、コメディカルがほとんどであり、理念を引き継いできている。予算、人員配置、その他これか ら詰めなければいけないので具体的なものはまだ出せないが、今後の議会でも示していきたい。 魚沼の再編で魚沼基幹病院も開院したので50年前に戻るようなことはない。

 

 

  ゆきぐに大和病院の理念は「予防なき医療はあり得ない」でした。外山管理者は「理念を引き継いでいる」と口では言っていますが、具体的なものはまだ「出せていない」と言います。

 

 申し訳ありませんが、私は、外山管理者が「理念を引き継いでいる」とは思っていません。

 

 ゆきぐに大和病院の理念の象徴的存在なのが「筋力づくり教室」です。市民ボランティアが講師となり、それぞれの地区の公民館などで、高齢者を集め、1時間から2時間、体の体操をするのです。旧大和町から始まり、南魚沼市に合併してから、六日町や塩沢地域にも広まりました。私が地域を周って高齢者の話を聞く中で、この事業ほど好評なものはあまりありません。

 

「1週間に1回、この日を楽しみにしている」

 

「体操だけでなく、世間話をするために行っている」

 

「車が運転できなくなったら教室に通えなくなるから不安です」

 

 平成29年度の決算資料によると、筋力づくり教室の参加者は延べ16926人。市内111会場で2250回開催されました。

 

 

 しかし、それが令和4年度は激減。市内74会場で1601回、延べ8315人となってしまいました。高齢者人口は増えているのに、これが激減しているのは悲しいことです。

 

 

 私は先日、地元の公民館で開かれている筋力づくり教室に参加してみました。この教室もここ数年で参加者が激減しているといいます。講師の方に聞いてみると、「コロナで一時的に教室をストップしたことで体が動かなくなってしまい、会場まで歩いてくることが難しくなってしまったかたが多い。階段を登ることさえも難しくなっている」とのことです。

 

 市が予算をつけて、送迎サービスをしたり、今はほとんどボランティアでやっている講師の謝礼の増額をしたりしないと、参加者数はどんどん減り続けるでしょう。先日のブログで書きましたが、隣の魚沼市は同様の事業に当市の10倍の予算をつけて、送迎サービスをしています。ゆきぐに大和病院が掲げた「予防なき医療はありえない」という理念は、この面からみても、もう継承されているとはいえないでしょう。

 

 11月27日の全員協議会でこの件について尋ねましたが、外山管理者は、新しい健診施設ができたら、こういう事業に力を入れたい、と言いましたが、これをやるために新しい健診施設はいりません。30億円以上かけて新しい施設を作るのではなく、こういう草の根的な活動に予算を配分してこそ、ゆきぐに大和病院の理念の継承につながるでしょう。

 

 

 3. 本当に医師不足で入院機能が維持できなくなるのか?

 

 

 そもそも、なぜ、大和病院を診療所化しなくてはいけないのでしょう?

 

 市は、働き方改革によって「医師不足で入院機能が維持できない」と説明しています。

 

 住民説明会で配布された資料には以下の記載があります。

 

 

 次に、議員に配布された資料には以下の説明があります。

 

 

 「派遣元の規制等により宿日直の応援を終了したい旨の申し出が多く出されています」とあります。要するに、当直医を確保できなくなるため、入院機能を市民病院へ集約するというのです。

 

 何度も繰り返しますが、南魚沼市の人口10万人当たりの医師数は233人で県内で4番目に高いです。

 

 人口5万人規模であるにも関わらず、魚沼基幹病院という400床の病院があるためです。

 

 その病院の隣にあるゆきぐに大和病院が医師不足で当直医が確保できないため入院機能を維持できないと言っているのです。市民病院には基幹病院からの医師が非常勤で外来診療に携わっています。健診施設でも基幹病院からの医師が派遣されてきています。

 

 そして、大和病院の当直医が不足しているのであれば、当然、市は基幹病院に当直医の派遣を正式な文書で要請しているのだと想像しますよね?

 

 そもそも、市内にあれだけの大きな病院があるのに、市は基幹病院との役割分担を明確にするための協定を結んでいません。基幹病院、市立病院群、民間医療機関、その3者が地域医療のどの部分を担うのか、明確なビジョンを示すべきです。

 

 私は議会で、何度も、「基幹病院と市民病院の役割分担を明確化させるべきだ」と言ってきましたが、いまだに全く不明瞭なままです。

 

 9月議会の病院事業会計の決算での質疑でも、基幹病院と市民病院の今後の連携について尋ねましたが、明確な回答はありませんでした。過去5年間で、市民病院から基幹病院へ患者を紹介した件数は減少傾向にあることについて尋ねましたが、外山管理者は「自己完結的」という言葉を使い、まるで、市民病院ですべての機能を担っているような発言をしました。(議事録28ページ)

 

 そして、今回も、議会で、「基幹病院に対し、文書で正式に当直医派遣の要請をしたのか?」と聞きました。(録画配信では2時間36分50秒から)

 

  外山氏は「文書のみならず、私も行って何度もお願いをしたし事務当局もそれなりのルートでお願いをしてきたが、紙を付けた文書ではやっていない。個人としてそういう意思がいる方がいるかもしれないので、医局にチラシを置くことはした。紙はないとしても、紙以上にお願いはしております」と答えました。

 

 私は以下の再質問をしました。

 

 「当直医の確保が難しいから診療所化にしますよ、ということを住民に納得してもらおうと思うのなら、正式に紙で要請をし、断られたということが住民にわかるようにした方がいいとは思いませんでしたか?」

 

 外山管理者の答弁は以下の通り。

 

 

 「私の説明をよく聞いてほしいのだが、紙を出していないとは言っていない。最初頼みに行ったら断られたから、医局に募集のチラシを置かせてもらったが、応募があまりなかった」

 

 私は三回目の質問に立ちます。

 

 「医局にチラシを置いたというのは、個人個人の募集をかけているということだと思うが、私が話しているのは、市として、組織たい組織で、正式な文書で要請をしたのかどうかを聞いている。市が組織として、基幹病院に正式な文書で派遣を要請したのかどうか。その文書があるのかどうか、聞いています」

 

 外山管理者が最後の答弁に立ちます。

 

 「日本が紙がすべてという社会ではない。私が向こうの理事長にあってお願いしたということです。紙に書いてあるかたって、やらなかったんだからしょうがないじゃないですか。私は一生懸命頼んだんです。それを紙があったかどうか聞かれても、私は困ります。誠心誠意、私が向こうの理事長に頼んだけど、だめだったんです。しかし、これをあまり言うと、向こうの理事長のお立場もあると思いますよ」

 

 というわけで、市が基幹病院に正式に文書で派遣を要請したという客観的事実はないということになります。なので、本当に医師不足で入院機能が維持できないのかどうかさえ、私は市民に説得力を持った説明ができません。

 

 

 4。 林茂男市長は十分な説明をしているのか?

 

 

  4点目は、林市長はこれについてどんな説明をしているのか、についてです。

 

 

  昨年12月22日午後7時、浦佐のおくにじまん会館には約30人の市民が集まり、林市長を囲んだ市政懇談会が開かれました。市民から市長に対し、厳しい質問が相次ぎました。これほど、林市長が公の場で批判の矛先にされるのは、4年前のごみ処理場建設計画以来ではないでしょうか。

 

 ある女性は、「なんでもっと早く市長が説明できなかったのか。10月の住民説明会になぜ市長がいなかったのか、残念です」と切り出しました。

 

 女性は「大和病院の病床が減るのは不安です。すべて在宅でというのは難しいと思います。基幹病院には38床がまだ空いていると思う。それが有効活用できないのでしょうか?市長ならそれくらい要望してもいいのではないでしょうか?」(基幹病院の許可病床数は454床で、令和5年11月時点の稼働病床数は405床)

 

 市長が答えました。「私もそう思っています。私も一応、基幹病院の理事なので。色々なところで言っていきたいとは思いますが、しかし、ベッドを何床増やすという問題は非常に難しい問題であります」と言って、別の質問に移りました。私の議会での質問と似ていますが、市長も外山管理者も、正式に文書で基幹病院に要請をしていないのだと思われます。

 

 市長が答弁を終えると、女性は「ちょっと半分わからないです」と言い、市の出している情報が本当に真実なのかどうかわからないという話をしました。

 

 私は女性が「半分わからない」と言ったことに注目しました。私が市長だったら、「すみません。どこがわかりませんでしたか?わかるまで説明させてください」と言うでしょうけど、市長はしませんでした。

 

 司会者が女性に「よろしいですか?」と聞き、女性は「よろしいです。まだ意見ありますけど、他の人に」と言いました。

 

 次の質問者からも厳しい意見が相次ぎました。

 

 男性は、「まず市長にお話ししたいのは、市民に対する進め方が最悪」と痛烈に批判しました。これだけ市長が公衆の面前で批判されるのは珍しいことです。住民説明会の告知が10月1日の病院だよりで出され、ほとんどが昼間の時間に設定されたことについて、「まるで来てくれるな」という印象を受けたといいます。この男性は説明会に出たといい、「一番偉い方がやたら威圧的だった」と言いました。「一番偉い方」というのは、外山管理者以外考えられません。

 

 最後に、司会者が「市長に一言」と言い、市長は「いつでも説明に来ますよ」と言って、お礼をしましたが、ほとんど拍手をする人がいませんでした。

 

 ほとんど拍手をする人がいないことを感じ取ったのか、司会者は、「それでは、準備をしてくれた職員さんたちを含め、皆さんに拍手をしましょう」と呼びかけなくてはいけませんでした。

 

 会が閉会した後、市長が女性に歩み寄ることもありませんでした。

 

 「説明がわからない」と住民が言ったら、わかってもらえるまで、とことん向き合ってもらいたいですね。「何度でも説明に来ます」と言われても、わからない説明を何度されても、困りますからね。


 

 

5. 市議会議員たちは何をしているのか?

 

 12月22日の浦佐での説明会では、市民が市長に対し毅然とした態度で立ち向かっていましたが、それでは、市民の代弁者である市議会議員は何をしていたのでしょうか?

 

 既にブログで記しましたが、10月の住民説明会の期間、私と牧野晶議員以外の全員は山形県へ視察へ行っていました。任意の視察でして、1人3万5000円を負担しての視察となりました。

 

 議員会が主催した視察で、各会派が視察報告書を議会事務局へ出しましたが、これは公開されておりません。私は議員会で、ネットで公開すべきと主張しましたが、受け入れてもらえませんでした。議員会の会長は小澤実議員。副会長は、診療所化に反対をしている田中せつ子議員です。せめて、議員個人個人が自分のブログやSNSで山形県への視察報告書をアップすればいいのだと思いますが、なぜしないのでしょう?議会事務局の職員2人を引き連れて行ったのですから、市民の税金がどう市民に還元されるのか、説明してもらいたいですね。

 

 時系列が前後しますが、12月15日、議会で診療所化の改正案に反対したのは、私、佐藤剛議員、田中せつ子議員、川辺きのい議員、中沢道夫議員の5人でした。残りの議員全員が賛成しました。

 

 賛成討論者は3人。吉田光利議員、牧野晶議員、大平剛議員。(録画配信では3時間06分から)

 

 この3人がどんな理由で賛成をしたのか、是非聞いてみてください。

 

   吉田議員は、「医師が集まらないという理由で致し方なくやっている。市が最大限の努力をしていると思う」という主張をしました。

 

 牧野議員は、以下の討論をしました。(概略)

 

 「私たち議員がやらなければならないのは、間違えた情報を出してはいけない。説明されている方に敬意を払わなければならない。外山先生が医師としていい方が来てくれたと思っている。私が外山先生の立場だったら、投げ出したくなるくらいの意見が出ていると思う。よその市では、住民の発言で医師がいなくなったという例もあります。一生懸命やってもらっていると思っている。人間関係があって医師が連れてこれる、というのがある。信頼関係があるから色々な事業ができる。断腸の思いで診療所化を進めていくのだと思う。医療を守っていくには診療所化は大切なことだと思う」

 

 

 大平議員は以下の討論をしました。(概略)

 

 「地域の医療を守るために大和病院は開設された。このまま法令に違反して、事業が停止した場合、市民病院まで業務停止になった場合、我々は市民にどういう顔向けができるのか」

 

 採決となり、賛成多数で可決されました。

 

 私が市長なら、基幹病院と連携協定を結び、当直医を派遣してもらい、大和病院を存続できるようにしたいですね。少なくとも、大和病院が存続できないと言うのなら、基幹病院との連携がなぜ難しいのか、文書で市民に説明したいですね。

 

 皆さんのご意見をお聞かせください。