今回 の使徒さんは西方のカトリックでは「疑い深いトマス」
東方の正教会では「研究を好むフォマ」と尊称(?)されるお方です。
トマス
<トーマス(英)、トマ(仏)、トマス(独)、トマーゾ(伊)、フォマ(露)>
また、ディディモ(ギリシア語で双子)などとも呼ばれていたそうですが、
誰との双子かはわからないそうです・・・
(陰の声:彼の双子の兄弟は有名人じゃなかったんだね(^O^)
「槍を持つ聖トマス」 ラ・トゥール
1630年代・油彩・ルーブル美術館
手にはなぜか「槍」を持ったこのおじさんがトマスさんです。
そしてご推察どおりこの「槍」が使徒トマス様のアトリビュートです。
アトリビュートの由来の説明の前に
なぜ彼が「疑い深いトマス」と呼ばれるのか?・・・の薀蓄をさせていただきます。
(陰の声:もうアトリビュートはわかったのに、また長くなるね(>_<)
ヨハネによる福音書によれば、トマスさんは非常に疑い深い人物であったそうです。
これを良く言えば東方正教会の「研究を好むトマス」となるのでしょうが、
自分の目で見たり、経験したことしか信じないタイプであったようです。
(陰の声:ちょっと可愛い子の言葉はすぐ信じるごっこスーラとは大違い( ̄_ ̄ i)
そして、この性格が大問題になった出来事がありました。
イエスの昇天後、使徒達の前に復活した姿を現したと伝えられていますが、
その時トマスさんは折悪しくその場にいなかったのです。
だから、他の使徒連中がいくらイエスは復活されたのだと言っても、
「そのお姿をこの目で見て、槍に突かれた傷跡を確認するまでは信じない」と
言い張ったのです。
すると、イエスの処刑の8日後、驚くべきことが起こりました
「聖トマスの疑惑」 カラヴァッジョ
1500年頃・油彩
なんと!復活したキリストがトマスさんの前に現れたのです。
そして、トマスさんの手をとり、自分の槍に突かれた傷跡を調べさせました。
(陰の声:上の「聖トマスの疑惑」の絵をご覧ください。
イエスの「チッ!面倒くさい奴だなあ」と言っている声が聞こえそうです(゚_゚i)
研究熱心なトマスさんもこれには「わたしの主、わたしの神よ」と言って
復活を信じてひれ伏しました。
しかし、イエスはトマスさんを冷たい目(?)で見つめられて、
「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである」
と述べられたそうです。
この話は、姿が見えなくとも神を信仰せよと教えるものとして、
好んで教会の説話や宗教画の主題に、よく取り上げられているそうです。
(陰の声:まさに「信じるものは救われん」だね。
しかし、これだと後の時代に神の代理人である教会のいうことは
理解できなくても全て信じなさい、信じない者は異端審問にかけるよ!
ということになった原因ではないかと異教徒は愚考しますだ(>_<)
まあ、宗教は理屈を言っていたら成立しないかもですが・・・)
トマスさんにはこんな伝承も残っています。
「聖母被昇天」 エル・グレコ
1577~79年・シカゴ美術研究書
この作品は聖母マリアが人生の終わりに肉体と精霊を伴い
(復活)して天使達に導かれて昇天する場面です。
絵の下部には使徒達が大勢集まりお見送りしております。
しか〜し、なぜかこの時もトマスさんはこの場におりませんでした。
他の使徒達が「マリアさまは天使達につれられて昇天された」と言いますが、
トマスさんは「おいらは見ていないから、そんなことは信じない」と
またまた言い張ります。
(陰の声:トマスさんはなかなか根性があるね、頑張れトマス!(;^_^A)
すると、またまた不思議なことが・・・
「聖母マリアの復活と聖トマス」
トマスさんがあまりにも(被)昇天の証拠を求めるので、
その疑い深さにヘキヘキしたマリアさまは自分の「腰帯」をはずして
空から落としてやったと伝わっています。
(陰の声:この絵の中央下でひもみたいなもの(腰帯)を
拾って持っているのがトマスさんですよ(・・;)
そんなわけで、マリア様の「腰帯」もトマスさんのアトリビュートです。
そうそう、メイン・アトリビュートの「槍」ですが、
これはトマス君がインドまで布教したという話があり、
そこで、槍で突き殺されたて殉教したので彼のアトリビュートになったそうです。
イエスの処刑の槍傷とは関係ないみたいです・・・
その他大工道具の「三角定規」なんかも彼のアトリビュートらしいけど、
もう疲れたから興味のある方は自分で調べてくださいね。
今回も長々とお付き合いいただきありがとうございました。
<アトリビュートの勉強:その15・トマス・了>
スーラ・ウタガワの
私撰:関西名所図絵・美術館のご案内
このブログの各ページで個別に発表した、スーラ・ウタガワ作品の
名所絵を場所別に集め「美術館」と称して再度アップロードしています。
第1室:大阪南部の名所図絵 開館中
第2室:大阪北部の名所図絵 開館中
第3室:大阪湾岸部の名所図絵 開館中
第4室:神戸地区の名所図絵 開館中
第5室:京都地区の名所図絵 工事中
*各展示室へのご入場(アクセス)はサイドバーのブックマークをご利用ください。
以上、ご案内申し上げます。 館長:スーラ・ウタガワ