アトリビュートの勉強:その15・トマス | スーラ・ウタガワの「画家ごっこ雑記帳」

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画家ゴッホではありません、画家ごっこです。

浮世絵名所の再発見をコンセプトに自分の気に入った名所を探して油絵を描いています。

そんなリタイア後の画家ごっこライフや、美術についての受け売り雑話をアップしているブログです。

 

今回 の使徒さんは西方のカトリックでは「疑い深いトマス」

 

東方の正教会では「研究を好むフォマ」と尊称(?)されるお方です。

 

 

 

トマス

<トーマス(英)、トマ(仏)、トマス(独)、トマーゾ(伊)、フォマ(露)>

 

 

また、ディディモ(ギリシア語で双子)などとも呼ばれていたそうですが、

 

誰との双子かはわからないそうです・・・

 

 

(陰の声:彼の双子の兄弟は有名人じゃなかったんだね(^O^)

 

 

 

 

「槍を持つ聖トマス」 ラ・トゥール

1630年代・油彩・ルーブル美術館

 

手にはなぜか「槍」を持ったこのおじさんがトマスさんです。

そしてご推察どおりこの「槍」が使徒トマス様のアトリビュートです。

 

 

 

アトリビュートの由来の説明の前に

 

なぜ彼が「疑い深いトマス」と呼ばれるのか?・・・の薀蓄をさせていただきます。

 

(陰の声:もうアトリビュートはわかったのに、また長くなるね(>_<)

 

 

ヨハネによる福音書によれば、トマスさんは非常に疑い深い人物であったそうです。

 

これを良く言えば東方正教会の「研究を好むトマス」となるのでしょうが、

 

自分の目で見たり、経験したことしか信じないタイプであったようです。

 

 

(陰の声:ちょっと可愛い子の言葉はすぐ信じるごっこスーラとは大違い( ̄_ ̄ i)

 

 

 

そして、この性格が大問題になった出来事がありました。

 

イエスの昇天後、使徒達の前に復活した姿を現したと伝えられていますが、

 

その時トマスさんは折悪しくその場にいなかったのです。

 

だから、他の使徒連中がいくらイエスは復活されたのだと言っても、

 

「そのお姿をこの目で見て、槍に突かれた傷跡を確認するまでは信じない」と

 

言い張ったのです。

 

 

 

すると、イエスの処刑の8日後、驚くべきことが起こりました ダウン

 

 

 

「聖トマスの疑惑」 カラヴァッジョ

1500年頃・油彩

 

 

なんと!復活したキリストがトマスさんの前に現れたのです。

 

そして、トマスさんの手をとり、自分の槍に突かれた傷跡を調べさせました。

 

 

(陰の声:上の「聖トマスの疑惑」の絵をご覧ください。

 

イエスの「チッ!面倒くさい奴だなあ」と言っている声が聞こえそうです(゚_゚i)

 

 

研究熱心なトマスさんもこれには「わたしの主、わたしの神よ」と言って

 

復活を信じてひれ伏しました。

 

しかし、イエスはトマスさんを冷たい目(?)で見つめられて、

 

「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである」

 

と述べられたそうです。

 

 

 

この話は、姿が見えなくとも神を信仰せよと教えるものとして、

 

好んで教会の説話や宗教画の主題に、よく取り上げられているそうです。

 

 

(陰の声:まさに「信じるものは救われん」だね。

 

しかし、これだと後の時代に神の代理人である教会のいうことは

 

理解できなくても全て信じなさい、信じない者は異端審問にかけるよ!

 

ということになった原因ではないかと異教徒は愚考しますだ(>_<)

 

まあ、宗教は理屈を言っていたら成立しないかもですが・・・)

 

 

 

トマスさんにはこんな伝承も残っています。

 

 

 

「聖母被昇天」 エル・グレコ

1577~79年・シカゴ美術研究書

 

 

この作品は聖母マリアが人生の終わりに肉体と精霊を伴い

 

(復活)して天使達に導かれて昇天する場面です。

 

絵の下部には使徒達が大勢集まりお見送りしております。

 

 

 

しか〜し、なぜかこの時もトマスさんはこの場におりませんでした。

 

他の使徒達が「マリアさまは天使達につれられて昇天された」と言いますが、

 

トマスさんは「おいらは見ていないから、そんなことは信じない」と

 

またまた言い張ります。

 

 

(陰の声:トマスさんはなかなか根性があるね、頑張れトマス!(;^_^A)

 

 

 

すると、またまた不思議なことが・・・ダウン

 

 

 

「聖母マリアの復活と聖トマス」

 

 

トマスさんがあまりにも(被)昇天の証拠を求めるので、

 

その疑い深さにヘキヘキしたマリアさまは自分の「腰帯」をはずして

 

空から落としてやったと伝わっています。

 

(陰の声:この絵の中央下でひもみたいなもの(腰帯)を

 

拾って持っているのがトマスさんですよ(・・;)

 

 

そんなわけで、マリア様の「腰帯」もトマスさんのアトリビュートです。

 

 

 

そうそう、メイン・アトリビュートの「槍」ですが、

 

これはトマス君がインドまで布教したという話があり、

 

そこで、槍で突き殺されたて殉教したので彼のアトリビュートになったそうです。

 

イエスの処刑の槍傷とは関係ないみたいです・・・

 

 

その他大工道具の「三角定規」なんかも彼のアトリビュートらしいけど、

 

もう疲れたから興味のある方は自分で調べてくださいね。

 

 

今回も長々とお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 

<アトリビュートの勉強:その15・トマス・了>

 

 

 

 

 

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