嵐山の近くにある小倉山。
写真左手の渡月橋の向こうの山がそれ。
平安時代初期に、編纂された「古今和歌集」に
鹿が出てくる句がある。それも嵐山界隈付近で。今では想像外の事ではあるが。
小倉山峰立ちならし鳴く鹿の経(へ)にけむ秋を知る人ぞなき
(編者のひとり紀貫之作)
(小倉山の峰を何度も行き来して鳴く鹿が、どれほどの秋を
経てきたのか、知る人はいない)
秋の七草のひとつとされる、女郎花(おみなへし)を
持ち寄って作った和歌。
ここに言葉のトリックがある。仮名書きにしてみると。
をくらやま/みねたちならし/なくしかの/へにけむあきを/
しるひとぞなき
「を ・ み ・な ・へ ・し」
もうひとつ有名な句がある。季節外であるが
旅行先での在原業平の、「かきつばた」につながる句。
唐衣(からごろも)着つつなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
(いつも身に着けている唐衣のように、馴れ親しんだ妻を
都に残してきたので、はるばるやってきた旅が
いっそう感慨深く思われる)
原文和歌から、「かきつばた」が読み取れる。
今の愛知県知立市の三河国八橋で見た、その花の美しさと
旅をテーマにしている。
カキツバタ
参考 「古今和歌集の想像力」(鈴木宏子著 NHK BOOKS刊)

