「怪異談 生きてゐる小平次」
公開:1982年
監督:中川信夫

お芝居や文芸の題材に取り上げられ、
長く人々に知られてきた、
小幡小平次の怪談話。

江戸の役者、小平次とその妻、
妻と不義をはたらいた、
芝居の囃方の多九郎。

旅先で多九郎に殺された小平次は、
幽霊となって江戸に帰り、
多九郎たちの前に現れ、
恨みを晴らします。


本作では、
多九郎とその妻おちか、
小平次はおちかに横恋慕⋅⋅⋅
と設定が変わっています。

登場人物は、3人だけ。

制作の予算上の問題もあったようですが、
3人のみの映像は、
逃れられない緊迫感があります。


時折挟み込まれるお芝居の風景。
この3人は幼馴染みだそうで、
幼い頃から、こうして
芝居ごっこで遊んでいたのでしょう。

オープニングの、逆さ吊りの公卿悪。
他に、勘平、助六、「夏祭」の団七、
「対面」の曽我五郎、「伊勢音頭」の貢。
⋅⋅⋅その時々の3人の心象風景でしょうか。


小平次役の藤間文彦さんは、
日本舞踊家の先代藤間勘祖さん、
藤間紫さんのご子息。
歌舞伎の扮装、台詞もはまっています。

現在は俳優をやめて、
会社経営に携わっているようです。


元は理知的で落ち着いた人物ですが、
小平次の影に怯える多九郎。

多九郎役の石橋正次さんは、
「スーパー歌舞伎Ⅱオグリ」では、
「もろこしが浦の翁」を演じ印象的でした。


本作は、中川信夫監督の、
最後の作品だそうです。

この「東海道四谷怪談」も、中川氏の作品。



歌舞伎の小平次の物語は、
四世鶴屋南北の「彩入御伽草」。