十月大歌舞伎「天竺徳兵衛新噺・小平次外伝」。
歌舞伎オンデマンドにて視聴しました。
天竺徳兵衛の物語は、歌舞伎では、
「天竺徳兵衛韓噺(いこくばなし)」
として上演されてきました。
三代目市川猿之助が天竺徳兵衛の物語に、
小幡小平次の脇筋を加えて作り上げたのが、
「天竺徳兵衛新噺(いまようばなし)」。
三代猿之助四十八撰の内に、含まれます。
今回は小幡小平次の件のみの上演。
天竺徳兵衛は登場しません。
〈あらすじ〉
お家追放となった小平次は
女房のおとわと
故郷の小幡で暮らしていました。
ところが小平次が諸国巡礼の旅に出ている間、
おとわは馬士の多九郎と不義密通し、
今や夫婦同然の仲に。
ある日、
小平次が巡礼から戻ることを知った多九郎は
邪魔になった小平次を殺そうともくろみ
毒薬を手に入れ…。
〈歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より〉
⋅⋅⋅この後は、亡霊となった小平次が
おとわ や多九郎を苦しめる、怪談話。
猿之助丈は、小平次と おとわの2役。
実直そうな小平次と、
凄みのある おとわの演じ分け、早替りが
楽しいです。
おとわは、涼しい顔をして小平次に
とどめを差す恐ろしい女性ですが、
ほんの少しの愛嬌がにじみます。
歌舞伎の役柄で言う、
「悪婆」の最たるものです。
猿之助丈のニンにぴったりはまります。
猿之助丈が演じた「天竺徳兵衛新噺」、
2012年11月に、明治座で観ています。
このときは通し上演で、天竺徳兵衛と、
小平次、おとわを演じていました。
猿之助襲名直後の勢いを感じる舞台でした。
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今回上演の「小平次外伝」、
原作は四世鶴屋南北の
「彩入御伽草(いろえいりおとぎぞうし)」。
南北50代の作品です。
先日視聴した「東海道四谷怪談」は、
南北の晩年、70代の作品です。
同じ怪談話であること⋅⋅⋅
水辺にまつわる話⋅⋅⋅
(小平次は沼、四谷怪談は隠亡堀)
小平次と、四谷怪談の小仏小平⋅⋅⋅など、
共通点も多いように感じます。