先日お亡くなりになった、坂田藤十郎丈。

「坂田藤十郎」としての舞台より以前に、
前名の中村鴈治郎、
中村扇雀としての舞台を
多く見ています。

1990(平成2)年11月に行われた
三代目中村鴈治郎襲名、
その周辺の公演について、振り返ります。
ちょうど30年前です。

歌舞伎座での襲名披露公演。
昼の部を見ました。

「廓文章」の伊左衛門の
すぐ後に、舞踊の大曲「鏡獅子」。
夜の部は「口上」に、「心中天網島」。

ご自身の襲名とはいえ、
なかなかタフな出演でした。

「廓文章」には尾上梅幸丈が、
「天網島」には中村歌右衛門丈が
付き合っています。

他にも、實川延若丈、片岡仁左衛門丈(先代)、
市村羽左衛門丈、中村芝翫丈(先代)、
澤村宗十郎丈、片岡我童丈など、
懐かしくも、そうそうたる顔ぶれです。


扇雀~鴈治郎時代の
大きな業績として、
「近松座」があげられます。

上方の歌舞伎の復興と隆盛を願い、
近松門左衛門の作品上演に取り組みました。

私は「近松座」は
観劇の機会はありませんでした。

しかし、通常の歌舞伎公演において、
この写真の紙屋治兵衛や、
亀屋忠兵衛、藤屋伊左衛門といった
役々を見ることができたことは、
本当に貴重です。

上方和事の真髄⋅⋅⋅
ともいえるつややかさ、やわらかさ。


こちらは平成4年とありますので、
襲名から1年半後。
(こちらもチラシのみで、
観劇はしていません)

「仮名手本忠臣蔵」の重要な役を
ほぼお一人で⋅⋅⋅
「兼ねる役者」を体現。

上方の型の勘平は、
当代の市川猿之助丈に伝わり、
先立っての「ズーム歌舞伎」の折に
話題になっていました。


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「坂田藤十郎」としての舞台、
見たものは、こちらで振り返りました。
「中村扇雀、鴈治郎」として見た舞台も、
いずれ振り返りたいと思っています。