十三世片岡仁左衛門。
1994(平成6)年に、90歳でその生涯を閉じた役者。
晩年は目を患い、ほぼ視力を失いながらも
亡くなる前年まで舞台に立ちました。

その貴重な舞台、
私もいくつか見ることができました。

1989(平成元)年 「新口村」孫右衛門
1990(平成2)年 「十種香」長尾謙信
        「寿曽我対面」工藤左衛門
1992(平成4)年 「楼門五三桐」石川五右衛門

舞台の印象は、柔らかく穏やかな中に
筋が一本通っていました。


この方のお役では、何と言っても
「菅原伝授手習鑑ー道明寺」の
菅丞相を思い浮かべます。


生の舞台では見られませんでしたが、
NHKの舞台放送を録画したものを、
繰り返し見ていました。


木像の菅丞相が動き出す
不思議さ、神々しさ。

生身の菅丞相と娘苅屋姫との
身を切られるような別れ。

胸を打つ演目です。

苅屋姫は次男である片岡秀太郎。
写真はいずれも「演劇界」掲載のものです。


この菅丞相は、
十三世仁左衛門丈の
当たり役と言われますが、
演じたのは、
1981年と1988年の2回のみのようです。
70代後半になってからの初役。

菅丞相とは菅原道真、天神様です。
神である役を演じるに当たり、
精進潔斎をして勤めるそうです。


今回の菅丞相は、十三世の三男である、
当代の仁左衛門丈。

十三世の二十七回忌追善として上演されます。
楽しみにしています。

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前回の上演は2015(平成27)年3月。
そのときの記事はこちら。




菅原道真公ゆかりの地、土師ノ里について。