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横浜のファイナンシャルプランナー相談室「住宅ローンは銀行で借りるな」

相談実績1700件超の実務家FP平野雅章が、住宅ローン・火災保険・生命保険の不思議な常識に立ち向かい、リアルな選び方をお伝えします。

さて、このテーマの記事を書き始めてから随分間が空いてしまったのですが、まとめの記事を書こうと思います。

以前の記事で、フラット35を取り扱うモーゲージバンク(住宅ローン専門の金融会社)の代理店業務に携わっているFPや業者は、そのモーゲージバンクでお客様にフラット35を借りてもらうと手数料や紹介料が受け取れるということを書きました。それ自体は問題ないのですが、高額なコンサルティング料をお客様から受け取っているところもあるようです。

お客様は、FPや業者に高額なコンサルティング料を払えば、最も有利な住宅ローン商品を提案してもらえると期待するのが普通でしょう。ところが実際は、他に総支払額が少なくなる住宅ローンがあっても、そこは提案してもらえず、FPや業者が手数料や紹介料を受け取れる住宅ローンを提案されることがあります。そのことをぜひ知っておいてもらいたいと思いますし、特にフラット35を勧められた場合、なぜ勧めるのか明確な理由の説明を求めた方がよいでしょう。

全期間の固定金利型は、現時点ではフラット35でなくいくつかの金融機関の商品の方が有利なことが多いです。また、フラット35でも借り入れる金融機関によって手数料や金利は異なるため、総支払額にはかなり差が出ます。フラット35は、どこで借りると総支払額が少なくなるのかは、このサイトで簡単に調べることがことができます。
住宅金融支援機構 フラット35 金利情報

私がFPとして仕事をしている大きな目的の1つは、売り手側である保険会社・証券会社・不動産会社・銀行・代理店等と、買い手側である消費者との間にある大きな情報格差を埋め、その情報格差から消費者が不利益を被る、あるいは合わないものを購入することがないようにサポートすることです。こうした、一般の人に知っておいて欲しい情報を、発信し続けたいと思います。

※フラット35で借りた方が有利な人がいるのも事実であり、フラット35自体を否定するものではないこと、また、FPや業者が上記のような行為を行っても現時点の法令では咎められるものではないこと、この2点については誤解のないようにしていただければと思います。
これまでの記事で書いた通り、フラット35はいまだにかなり有利な固定金利型の住宅ローンであるものの、一部の民間商品に比べると総支払額(元本・利息・諸費用の総額)が1番少ないとは言えないケースも多くなったのです。

それでも、いまだにフラット35を勧められることが多い最も大きな理由は、その強力なブランドイメージではないかと考えています。

フラット35は全期間固定型の住宅ローンであり、取扱い金融機関によって条件の差はあるものの、有利なものを選べば、それ以外の固定金利型住宅ローン商品より有利な状況が長い間続いてきました。その地位はネット銀行や新興系銀行の商品により危うくもあったのですが、フラット35Sの金利1%引き下げやフラット35Sエコといった政策の後押しもあり、君臨し続けることができたのです。

これにより固定金利型の住宅ローンはフラット35にしておけば間違いないといったイメージが、私を含め住宅ローンに関してアドバイスする人たちの頭の中に出来上がっていたと思います。

住宅ローンの適用金利は毎月変わりますし、住宅ローンの総支払額の有利不利は、金利だけでなく諸費用の影響によって、借入額や返済期間の違いで結論が異なることも多々あります。各金融機関の商品の大体の有利不利を把握しておくには、毎月、各金融機関の最新ローン金利を確認し、さらに様々なケースで総支払額を試算して比較する作業を丁寧に行う必要があります。コンスタントに住宅ローンの相談を受け、お客様のために様々な金融機関・借入額・返済期間で総支払額の試算をしている人でないと、それはかなり困難に思えます。

つまり、住宅ローン商品の有利不利の変化をリアルタイムで把握している人は、ファイナンシャルプランナーの中でも非常に限られるのです。また、不動産会社などに所属し住宅ローンに関してアドバイスしている人は、提携先など限られた金融機関の情報以外はそれほど把握していないケースが多いかもしれません。

こうした事情により、固定金利型住宅ローン=フラット35という一度出来上がったイメージは、なかなか崩れないということになります。

この続きは次回の記事で。

前回の記事で書いた通り、フラット35はいまだにかなり有利な固定金利型の住宅ローンであることは間違いありません。しかしながら、一部の民間商品に比べると総支払額(元本・利息・諸費用の総額)が1番少ないとは言えないケースも多くなったのです。

しかしながら、いまだにフラット35を勧められることが多い理由の1つとしては、生命保険の販売につながりやすい点もあるのではないかと思っています。

フラット35では団体信用生命保険(ローンを借りた人が亡くなった場合、ローンを精算し残高をゼロにしてくれる保険)への加入が強制ではない代わりに、保険料を金利とは別に支払う必要があります。

団体信用生命保険では加入者の年齢や性別、たばこを吸う吸わないとは関係なく、保険料は一律です。一方、民間の保険ではそれらの条件により保険料が異なるため、一定の条件が揃えば「収入保障保険」や「逓減定期保険」といった保険に加入して、住宅ローン残高分の死亡保障を確保した方が安い保険料で済むことがあります。従って、
フラット35を借り入れて、住宅金融支援機構が提供する団体信用生命保険の代わりとして民間の収入保障保険に加入することで、総支払額をかなり抑えることができる場合があるのです。

昨年のフラット35Sの金利1%引き下げ、その後のフラット35Sエコと、固定金利型の住宅ローンとしてフラット35が優位性を保っている期間、私自身もお客様のメリットがある場合は、この方法を紹介していました。また、私が講師を務めるファイナンシャルプランナー向けの実務セミナーでも、この方法を紹介・解説していました。

しかし、こうしたフラット35Sの特別な金利引き下げが終了し、他の金融機関も固定金利の引き下げに動いた結果、状況は変化したのです。フラット35を借りることで他の住宅ローンと比べた時に支払額がかなり多くなってしまうのであれば、この方法のメリットは無くなります。

従って、あなたがフラット35を勧められ、同時に団体信用生命保険の代わりに収入保障保険への加入を勧められたとしたら、現時点ではフラット35Sエコ終了と固定金利の住宅ローン選択(1)」の記事で書いたような金融機関でも諸費用を含めた支払の総額を試算してもらい、比較した方がよいでしょう。

さて、いまだフラット35を勧められることが多いのには、まだ他の理由もあると考えています。他の理由は次回の記事で。