和泉 龍興山 南宗寺 | ゆめの跡に

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On the ruins of dreams

①仏殿②東照宮唐門③椿の井戸④石橋⑤甘露門⑥鐘楼

 

訪問日:2023年12月

 

所在地:堺市堺区

 

 沢庵宗彭は、天正元年(1573)但馬国守護・山名祐豊の重臣である秋庭綱典の次男として出石で生まれた。天正8年(1580)有子山城がが羽柴秀吉率いる織田勢により落城し、父は浪人となる。

 

 天正10年(1582)出石唱念寺で出家し、天正13年(1585)宗鏡寺(通称沢庵寺)に移り、文禄3年(1594)師の薫甫宗忠とともに京都大徳寺に入り、三玄院の春屋宗園に師事して宗彭と号した。

 

 慶長4年(1599)石田三成が母の供養のため近江佐和山城内に瑞嶽寺を建立すると、薫甫がその住職となったため、宗彭もこれに従って佐和山城に入り、慶長5年(1600)関ヶ原の戦いを迎える。

 

 佐和山城が落城すると、薫甫とともに脱出して春屋のもとに逃れ、その後、春屋とともに処刑された三成の遺体を引き取って三玄院に葬った。慶長6年(1601)薫甫の死去後、和泉国堺に移る。

 

 慶長8年(1603)南宗寺陽春庵の一凍紹滴に師事し、慶長9年(1604)大悟して沢庵の法号を得る。慶長12年(1607)大徳寺首座となり、慶長14年(1609)大徳寺第154世住持となる。

 

 しかしこれを3日で辞して堺に戻り、慶長20年(1615)大坂夏の陣における豊臣方の堺焼討により南宗寺などを焼失、元和5年(1619)南宗寺を現在地に移して再興する。

 

 元和6年(1620)出石に戻り、宗鏡寺に庵(投淵軒)を結んで隠棲した。すでに徳川幕府は禁中並公家諸法度(慶長20年施行)を制定し、朝廷の行動を制限する法的根拠を確立していた。

 

 寛永4年(1627)後水尾天皇が幕府に無断で行った紫衣着用の勅許を無効とした幕府に対し、沢庵らは大徳寺や妙心寺の僧らを纏めて反対運動を展開、寛永5年(1628)幕府に抗弁書を提出する。

 

 幕府はこれを罪に問い、寛永6年(1629)沢庵らは江戸に召喚され、沢庵は出羽国上山に流罪となった。上山藩主・土岐頼行は沢庵に草庵(春雨庵)を寄進してこれを遇した。

 

 寛永9年(1632)大御所・徳川秀忠の死去に伴う大赦を受け、しばらく江戸に留められた後、寛永11年(1634)大徳寺に戻る。同年、上洛した将軍・徳川家光に拝謁し、出石に戻る。

 

 寛永12年(1635)幕命により江戸に下向し、寛永13年(1636)再び家光に拝謁、江戸に留まるよう求められ、柳生宗矩の下屋敷の一室(検束庵)に住した。

 

 寛永15年(1638)後水尾上皇の国師号授与の内示を辞退、同年、宗矩の依頼で大和国柳生庄司の芳徳寺の開山となり、江戸に戻って家光が創建した東海寺の初代住職に任ぜられる。

 

 寛永18年(1841)家光により大徳寺・妙心寺の寺法旧復がなされ、幕府に剥奪された両派寺院の住持らの紫衣も戻された。沢庵は、正保2年(1646)江戸で亡くなっている(74歳)。

 

 

以下、現地案内板より

 

南宗寺

 

 南宗寺は、臨済宗大徳寺派の禅寺で、戦国時代、堺を支配した武将、三好長慶が父元長の霊を弔うため弘治3年(1557)に大林宗套を迎え、今日の宿院あたりに寺を開きました。その後大坂夏の陣(1615)にて他の寺院とともに焼失しましたが、当時の住職澤庵によって現在地に再建されました。境内には茶道を完成させた千利休や師武野紹鷗の供養塔などがあります。また国名勝の枯山水の庭、八方睨みの龍の描かれた仏殿、山門・唐門は国の重要文化財に指定されています。

 

千利休と茶道

 南宗寺には、利休一門とその師武野紹鷗の供養塔があります。利休の「茶禅一味」の精神基盤は大林宗套ら歴代の和尚のもとで禅の修行をし、確立されたと言われています。

 境内の奥には、利休好みの茶室「実相庵」があり、師紹鷗の「六地蔵石燈籠」、利休遺愛の「向泉寺伝来袈裟形手水鉢」があります。

 

ゆかりの人々

大林宗套(1480~1568)

大徳寺僧で、千利休をはじめ多くの帰依者を得て、南宗寺開山。堺と大徳寺を結び「茶禅一味」の礎を作った。

三好長慶(1523~1564)

阿波国(現在の徳島県三好市)の出。拠点とした堺の経済力を背景に畿内を支配するが、めまぐるしく変わる戦国時代の後期には急速に衰退した。

千利休(1522~1591)

堺の納屋衆に生まれ、織田信長・豊臣秀吉に茶頭として仕え、今日まで通じる「わび茶」を確立した。その後秀吉の怒りをかい切腹。

澤庵宗彭(1573~1645)

臨済宗大徳寺派の禅僧。南宗寺の再興に尽力し、今日の姿の基礎を作った。晩年は3代将軍徳川家光の信奉を受け、江戸・品川東海寺の開山となる。