敦賀にもうすぐ新幹線が来る! | ゆめの跡に

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On the ruins of dreams

 北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間延伸までいよいよ3ヶ月を切った(2024年3月16日開業予定)。東京駅〜敦賀駅間を最速3時間8分で結ぶという。ただし同区間では東海道新幹線と在来線(のぞみ・ひかり・しらさぎ)を乗り継げば最速2時間45分で行くことが可能なのだが、乗換なしというのはありがたい。今後関東からの観光客で溢れる?前に敦賀を訪れておこうということで、早起きして日帰りで行ってみることにした。行きは新快速(大阪市内〜2,310円、今回は新疋田駅で途中下車)でのんびりと、帰りは特急サンダーバード(同自由席〜大阪市内4,170円)で快適に帰ることとした。

 

①駅前バス乗り場

土曜日だったが、駅前のバスターミナルは行き帰りとも閑散としていた。しかし敦賀の観光にバスを使う必要はあまりなさそう。今回は金崎城跡の下の金ヶ崎臨港トンネルの向こうまで行く予定もあるので自転車を借りることにした。敦賀では「つるがシェアサイクル」が運営されており、15ヶ所のサイクルポートで返却できる。1回会員だと最初の60分が220円で超過料金が110円/30分、1日パスで1,650円と短時間なら従来のレンタサイクルよりもお得。電動アシスト付きで快適に走ることができる。

 

②都怒我阿羅斯等像

 駅を出て、最初に手を上げて出迎えてくれる都怒我阿羅斯等(つぬがあらしと)は『日本書紀』に伝わる古代朝鮮の加羅国王の王子だという。「敦賀」地名の由来の人物とされ、個人的には興味ある人物だが一般的な知名度はないだろう。背後の「旅館」は今はお土産屋のみの営業のようだ。駅周辺にホテルはいくつか見えた。

 

③銀河鉄道999車掌さん

 自転車で氣比神宮へ漕ぎ出すと、故・松本零士氏(1938-2023)の代表作『銀河鉄道999』と『宇宙戦艦ヤマト』のモニュメント像が次々と現れる。その数なんと28体!1999年に設置されていたようだがその存在を知らず、以前(2009年)車で訪れた際にも気づかなかった。自転車観光のメリットを実感。これは新幹線の延伸以降話題になりそうな気もする。

 

④コミュニティバスバス停にも

 松本零士氏と敦賀市には特にゆかりはないが、「鉄道と港の街つるが」の将来像と氏の作品のイメージを重ね合わせたとのこと。敦賀市コミュニティバスのバス停の看板もご覧の通り、お馴染みのキャラクターが描かれている。

 

⑤赤レンガ倉庫

 とはいえ、一般観光客からすると駅周辺に観光資源にそれほど恵まれているとは思えなかったのが正直なところ。そんな中、赤レンガ倉庫には人がそこそこ集まっていた。時間の関係でジオラマ館は見ることができなかったが、楽しそうな施設だ。

 

⑥キハ28形急行わかさ

 1961年に西舞鶴から若狭(小浜線)を経て福井・金沢を結ぶ準急列車として登場し、1966年に東舞鶴ー福井間の急行に格上げされ、1972年から1996年までは急行「丹後」と併結され山陰本線経由で京都まで乗り入れた。1999年に舞鶴線が電化されるとともに廃止となり、以降小浜線には定期優等列車は走っていない。

 

⑦海上保安庁ほたか

 「ほたか」は、海上保安庁のつるぎ型巡視船。1999年の能登半島沖不審船事件で出動した当時の高速巡視艇が船型過小のため外洋域で高速を維持できず、不審船を追尾できなかった反省から、2000年に3隻が起工し、2001年に「つるぎ」「のりくら」とともに就役した。全長50m、総トン数220トン、速力40ノット(74km/h)以上、M61バルカン(20mmガトリング砲)×1門を兵装。

 

⑧敦賀ムゼウム

 人道の港 敦賀ムゼウム(Port of Humanity Tsuruga Museum)は旧敦賀港駅近くの敦賀港の歴史をまとめた資料館。「ムゼウム」はポーランド語で資料館を意味する。かつて杉原千畝に救われてユダヤ人の大半がポーランドからであったことに因む。ここに当時の街並みを復活させて敦賀駅から敦賀港駅までの旧路線を整備して999号でも走らせればとも思ったが、新幹線の高架橋ができており敦賀駅への乗り入れは困難なようだ。ただ土地は他で何とかなりそうな気もするので、後は採算が合うかどうか、、、
 

⑨小浜線

 小浜線は2003年に電化され、これに合わせて投入された両運転台の125系電車で運転されている。現在は東舞鶴行が1日9本、小浜行2本、西舞鶴行1本で全てが各駅停車。北陸新幹線のルートが小浜経由となったので、敦賀ー小浜間が開業すると同区間は平行在来線として分離される可能性がある。福井県は、小浜線には優等列車がなく並行在来線に該当しないと主張しているようだ。

 

⑩在来線特急

 新幹線開業後は関西圏や中京圏から敦賀より先に行こうと思うとここで在来線から乗り換える必要がある。1階の在来線ホームから3階の新幹線ホームまで、足の悪い人にはつらいかもしれない。と思ったらどうやら在来線特急ホームは新幹線ホーム(3階)の真下(1階)に移動するようだ。また新幹線開業とともに新たに東口も開設されるようで、こちらに土産物店やレストランなどができそうだ。

 

⑪新幹線への跨線橋

 とはいえ、おそらく多くの敦賀への観光客は西口を利用することになるだろう。まだ開業前なので仕切りの隙間から覗いてみた。ムービングウォーク(動く歩道)は福井県初とのこと。在来線特急利用者もこちらを渡ることになる。

 

⑫西口階段・エスカレーター

 西口から跨線橋への階段とエスカレーター。敦賀駅は東西で高低差があり、海側の西の方が低いので結構長いものになっている。東京起点であれば(北陸新幹線経由)敦賀(北陸本線経由)米原(東海道新幹線経由)名古屋(リニア経由?)東京の途中下車旅も楽しそう。

 

⑬さらに西へ

 小浜まではともかく、京都さらに新大阪開通となると、一体いつのことやらと思う。フリーゲージトレイン(FGT)の導入が断念され、米原ルート・湖西ルートは採用されなかったが、JR東日本の技術を使って在来線を標準軌または三線軌条にして、暫定的にでも秋田・山形新幹線のように直通のミニ新幹線を走らせることはできないものか。敦賀ー新疋田間のループという難所もありスピードが出せなければやはりJRとしてはメリットがないのだろうか。

 

訪問日:2023年12月  所在地:福井県敦賀市

 

以下、現地案内板より

 

敦賀赤レンガ倉庫

 

 1905年(明治38年)にアメリカの「ニューヨーク・スタンダード石油会社」(現在のエクソンモービル)が石油の貯蔵庫として建設した倉庫です。ニューヨーク・スタンダード石油会社は、1940年(昭和15年)ごろ撤退し、戦時中は軍の被服倉庫として使用され、戦後は昆布の貯蔵庫としても使用されていました。2009年(平成21年)1月には、南棟・北棟及び煉瓦塀が国の登録有形文化財に登録され、2015年(平成27年)10月、南棟に「レストラン館」・北棟に「ジオラマ館」がオープンしました。

【敦賀に石油倉庫が建設された理由】

敦賀は1882年(明治15年)に日本海側で初めて鉄道が開通し、港は1899年(明治32年)に開港場(外国貿易港)に指定されました。

赤レンガ倉庫は、それまで横浜・神戸から鉄道で輸送していた石油を日本海側からの直輸入に切り替えるために建設されました。

〈レンガの積み方〉

 レンガの積み方は、イギリス積み・フランス積み・長手積み・小口積みに大別されます。敦賀赤レンガ倉庫のレンガは、長手(細長い面)を一段目に並べ、次の段は小口(短い面)を並べるイギリス積みになっています。フランス積みなどと比べて頑丈になる積み方です。

 

 

キハ28 3019

 

 この気動車は、1968年12月21日に富士重工で「キハ28 1019」として製造された日本国有鉄道の急行形気動車です。かつて、急行わかさとして小浜線で活躍したこともある本市ゆかりの同形車両となっています。

 キハ28形は全国的に有名ながら、保存されている数は多くありません。その中でも、この車両は、前面窓が側面まで回り込んでいる「パノラミックウインドウ」、運転台下部に「排障器(スカート)」という特徴を持っています。

 この2つの特徴を持つ車両は、1968~1969年度の2年間で製造された111両のうち、国内で完全な形で現存しているのは同車のみという大変希少な車両と言われています。

 キハ28 3019は北近畿地区を中心に活躍を続けましたが、2000年3月6日に廃車となりました。和歌山県白浜町にて屋内保存が続けられていましたが、その後解体が決定され、それを惜しんだアチハ株式会社(大阪市)が保管を続けていました。

 そして、2017年12月に本市で開催された「つるが鉄道フェスティバル」で同社協賛により展示されました。このときの昔の小浜線を懐かしむ市民の声を受け、本車両の価値を認識し、「鉄道と港のまち敦賀」を発信する、後世に伝えるべき「鉄道遺産」として保存するために敦賀市が取得し、2018年5月に設置しました。

 

2018年 敦賀市

 

 

敦賀港に上陸したユダヤ難民のエピソード〈1940~41年〉

 

1.上陸地点  天国に見えた敦賀のまち

1899年(明治32年)に開港場(外国貿易港)の指定を受け、日本とヨーロッパを結ぶ交通の拠点として繁栄した敦賀港は、1920年代にはユダヤ難民の受入れの舞台となりました。まるで悪夢のような体験をした彼らは身も心も疲れ果て、受入れてくれた敦賀の人々の温かさに感動し、敦賀のまちを「天国」と表現しました。

 

人道の港 敦賀ムゼウム