大和 戒那山 九品寺 | ゆめの跡に

ゆめの跡に

On the ruins of dreams

①本堂②地蔵堂③山門④十徳園⑤千体石仏群⑥眺望

 

訪問日:2021年2月

 

所在地:奈良県御所市

 

 中国ではよく人物や物の性質を上品・中品・下品の3つに分け、さらにそれぞれに上中下、すなわち上上品から下下品までの9つに分類した(日本でも「中の上」などの言い方がある)。

 

 例えば建安25年(220)曹操の逝去により魏王を継ぎ、さらに後漢・献帝から禅譲され皇帝となった曹丕(文帝)は、陳羣の進言で「九品官人法」を制定した。

 

 官僚を一品から九品までの9つに分類するこの制度は、開皇18年(598)隋の初代皇帝・楊堅(文帝)が科挙制度を制定し廃止されたが、日本でも冠位十二階(603年制定)などに影響を及ぼしたという。

 

 仏教、特に浄土教では衆生の機根(生類の性格)により、極楽往生も上品上生(じょうぼんじょうしょう)から下品下生(げぼんげしょう)の9つに分類されると説かれた(観無量寿経)。

 

 上品上生の者は、至情心・深心・廻向発願心を発して往生し、その功徳により阿弥陀如来の浄土に生じることを願えば1〜7日で往生できるという。

 

 また、下品下生の者は地獄に堕すべき者だが、臨終の際に苦しみに喘ぎながらもひたすら称名念仏を唱えることにより、80億劫の生死の罪業が減叙され往生することができるという。

 

 なお億劫とはここでは「おっくう」ではなく「おっこう」と訓み、劫は無限の時間(43億2000万年⁈)を意味するので、その1億倍ということだろう。

 

 もちろん「おっくう」の語源でもある。ついでに囲碁で互いの石を取り無限反復の状態をコウ(劫)といい、諺の「亀の甲より年の功」も元々は「亀の甲より年の」だったようだ。