改）摂津 伊丹城（有岡城）

①天守台？

②本丸

③本丸石垣

④転用石垣

⑤堀跡

⑥上臈塚砦(墨染寺)

訪問日：1997年11月　2001年8月　2006年6月ほか

所在地：兵庫県伊丹市

　伊丹城主・伊丹親興の生年は不明、実子と推定される伊丹忠親が天文21年（1552）に生まれている。

　享禄４年（1531）細川高国に仕えていた従兄弟の伊丹国扶が大物崩れで討死し、伊丹氏は細川晴元に降り、親興が家督を継いだ。

　天文10年（1541）細川晴元の命で三好長慶（越水城）・三好政長（榎並城）・池田信正（池田城）らが高国の甥で親興とも姻戚関係にある山下城の塩川国満を攻めた。

　この時、親興は三宅国村（三宅城）とともにその不当性を将軍・足利義晴に直訴し、木沢長政（笠置山城）に救援を依頼する。

　伊丹城に木沢・三宅が合流すると、長慶らは山下城の囲みを解き退却した。しかし翌天文11年（1542）木沢は太平寺の戦いで長慶らに敗れて討死する。

　その後、親興は晴元や長慶に協力し、天文14年（1545）には高国の養子・細川氏綱と戦っている。

　天文17年（1548）長慶が晴元に叛くと、親興は晴元・政長に与するが、翌天文18年（1549）江口の戦いで政長は討死、伊丹城は包囲された。

　しかし親興は翌天文19年（1550）まで持ち堪え、遊佐長範（若江城）の仲介で和睦し、その結果、摂津は長慶により平定された。

　その後は長慶に従い、永禄元年（1558）足利義輝を擁した近江の六角義賢との戦いや、永禄５年（1562）畠山高政との教興寺の戦いでは三好方として参戦した。

　永禄７年（1564）長慶の死後、三好三人衆と松永久秀・三好義継が争うと、当初久秀に与したが、永禄９年（1566）久秀の滝山城が三人衆により落城すると、これに降った。

　永禄11年（1568）足利義昭を擁する織田信長が上洛すると、三人衆は畿内を放棄して阿波に撤退、親興は池田勝正（池田城）とともに信長に降った。

　親興は勝正・和田惟政（芥川山城）とともに摂津守護に任ぜられ、摂津三守護と呼ばれ、永禄12年（1569）三人衆が義昭の在所・本圀寺を襲撃すると親興も救援に駆けつけこれを撃退した。

　元亀元年（1570）勝正の家臣・荒木村重が三人衆に通じて勝正を追放し、池田知正を擁立すると、三人衆が畿内に上陸して信長との野田城・福島城の戦いとなる。

　元亀２年（1571）知正・村重は親興・惟政・茨木重朝（茨木城）を攻め、惟政・重朝は討死し、信長の命による明智光秀の調停により村重は兵を引いた。

　元亀３年（1572）松永久秀に続き将軍・足利義昭も信長を見限り三人衆と同盟を結ぶと親興もこれに続き、久秀らとともに信長の妹婿・畠山昭高の交野城を攻めた。

　ところが元亀４年（1573）荒木村重が信長に寝返り、和田惟長（高槻城）を討った高山友照・右近父子が村重に従い、親興は孤立する。

　同年、槇島城の義昭が信長に降伏、三好義継（若江城）は自害、久秀（信貴山城）も降伏、そして天正２年（1574）伊丹城は村重により落城し、親興は自害した。

　伊丹城には信長から摂津一国を任せられた村重が入り、城を大改修して有岡城と改名して本拠地とした。

以下、現地案内板より

史跡　有岡城跡　　昭和54年12月28日　国指定

　南北朝時代から代々伊丹氏の城として発展してきた有岡城（伊丹城）は、永正17年（1520）にはその城下町まで取り込むという惣構構造の兆しが見られ、その後、一向宗との合戦など数々の戦いの中で、次第に強化されていった。
　伊丹氏を破って入城した織田信長方の荒木村重は、信長の命により有岡城と改名し、摂津一国の軍事上の中心として大改修を行い、本城・侍町・城下町と町全体を堀と土塁で囲み、北・西・南に砦を配した惣構の城を完成させた。
　天正６年（1578）、村重は信長に反旗を翻し、大軍に包囲されておよそ十ヶ月にわたる攻防の末に落城した。その後、池田之助が城主となるが、天正11年美濃国に転封され廃城となった。
　江戸時代、旧有岡城城下町を中心に酒造りの町として栄えた伊丹郷町は、伊丹村をはじめ十五ヶ村がひと続きとなって形成された在郷町で、寛文元年（1661）には、伊丹郷町の大半が近衛家の所領となった。
　有岡城の本城（主郭部）は堀跡や土塁が残っていたが、明治に至って鉄道の開通により大半が取り壊された。
　昭和50年より残された部分の発掘調査が行われ遺跡の保存策が講じられることになり、現在の史跡公園として整備された。

平成５年３月31日　　伊丹市教育委員会