【水曜小説】 怪虫芸者 Ⅱ 木曜だけど気にするな。 | せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

うひょぉぉぉおおおずぐげらびんぼえええっ!


せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!
教えてくれればそこには絶対いかねーから。とにかく人間が食うメニューじゃないっての。そしたらコーディネータの女は先生が教えてくれたメニューで涙ながら云々言い始めるがよくよく聞いてみるとその先生はちゃあんとシーンや時間を考慮してレクチャーしたらしいのだがこのコーディネータこのコーディネータこのコーディネータがおつむテンテンで内容を消化仕切れてなくてゴチャゴチャになったらしいのだ。これは困った。おれはどーしても仕事ってなことだからやるけどこれっきりオタクとはましてやこのコーディネータのねーちゃんとはお仕事できませんから。おれ恥ずかしいからこんな仕事。でも受けたからやるけどこれっきりでお願いします。したらコーディネータは私の仕事はそんなに酷いですか。たかがテーブルのコーディネートじゃないですか。とか言いやがったからおれも頭にきた。なんだそりゃ。あんたの仕事じゃねーのかコーディネートはほら見ろほら見ろあんたの名刺に”コーディネータ”ってあんだろそれがたかがテーブルのコーディネートとか抜かしやがってこのやろターミネータより酷い意識だなもうやめた。もうやめた。こんな酷い話は初めてだ。おれは立ち上がってカバンをひっつかんだらディレクターはおろおろしながらコーディネータに謝りなさい、とりあえず謝りなさい。とほざいたからたまらない。おれはその”とりあえず謝りない”の”とりあえず”に誠意のなさと事なかれな態度にすこぶる前向きに怒り心頭に発してしまいまして、したら謝ってもらおうじゃないか、あ。そしたらディレクターが申し訳ありませんでした。とかお前があやまってどうすんの的にトンチンカンなこと抜かしやがって、そこでもうダメだなこいつら極限状態もわかってないのか、この状態がこいつらにとって修羅場じゃないのかおれには判断したくもないけど、これもんじゃ信頼関係の取引ではないと判断し、おれはこの貧しい”ニューファミリー”の件は降りることにした。安っぽい打ち合わせ室を出てトイレの手洗いで顔洗ってロビーに出るまでずっとディレクターとコーディネータは付いてきてなにやら言ってたが知らんもん。幼児にもバカにされるよーな仕事なんざしたかないもん。ってなもんで東京タワーが見えるオフィス街の裏町は飲み屋だらけなんだけどもお昼時はよせばいいのにランチタイムで粗末なサラリーマンで大賑わいだからとっても嫌なのだけれどもおれだって嫌なことあっても腹は減るので小料理屋のランチバイキングを覗いたら出汁の出がらしのようなイワシの山盛りと同じく納豆、酢の物、ひじき、豆腐、かぼちゃの煮付け、マカロニサラダとかバイキングがすべてお通しの余り物みたいで色彩的にも茶色で和風なら魚とかあんだろとか探したら塩鮭、秋刀魚、赤鯛とか別品でそれなりのお値段になっててこりゃないわと別のお店をゾンビみたいなお昼難民のサラリーマンを避けながらグレートジャーニーしたわけなのだが間もなく食欲が麻痺するんじゃないかと思うくらい腹が減ってくるしおまけに小雨も降ってくるもんだから空いてればどこでもいいやとか自称グルメのプライドは自暴自棄にどうでもよくレンガを模したタイルで外壁を飾って白と緑の安っぽいひさしがついた基本的にどうでもよいタイプの洋食屋が空いてるようでこんな昼時で空いてるってのは殺人的に不味いかどどっとピークが過ぎておなじみのランチがなくなったとかどっちにしてもあまり期待できない状況だとは思うのだが脂臭いサラリーマンがいないだけでも特な気がしてご入店させていただいたのでありました。