【水曜小説】 腐った向日葵 九。 | せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!

うひょぉぉぉおおおずぐげらびんぼえええっ!


せっちんの地獄へズンドコⅩⅩ(怒)!  写真の一枚は、瀬戸内の研究所と思われる建物の前に佇む、フランク博士と若き霧渕博士の姿が。もう一枚は玄関と応接室を兼ねたような小部屋で、正面の壁にはハーケンクロイツと日章旗が飾ってあり、片隅には蓄音機がありました。後の数枚の写真はどれも研究所の中と思しき場所で、現在の八丁堀にある霧渕博士の診療所と、とても良く似た西洋式と思しき医療の道具がありました。その壁際にはたくさんの檻が積み上げられ、どれも日本猿らしき動物が牙をむき出している写真もありました。

 そして一番気になっていた、患者にしては奇妙な印象を持つ、一人の男性の頭部を観察しているフランク博士の写真です。
 その写真は、ありえない事実を写していることに気づいたぼくは、資料室の管理係に写真を返しました。

 そして銀座の外れとは言っても、大勢の日傘の婦人やソフト帽の紳士が行き交う間を縫うように、通りを八丁堀の霧渕邸をめざして自転車を走らせました。

 果たしてお佐久ちゃんは、この事に気づいてたのでしょうか……。

 ぼくは角を曲がり、細い路地に入った瞬間、一台の自動車がクラクションを鳴らしながら、追い抜いて行き、その勢いでぼくは道端のドブ板を踏み抜いてしまいました。そしてその自動車は路地の十字路で、何かにぶつかって、停ったようでした。

 只ならない様子に自動車に駆け寄ると、運転手は呆然と前を凝視しているだけでした。

 自動車の下からは子供の足が……不自然に捻れた少年の足だけが飛び出ていて、大量の血が……じんわりと広がっていきました。

 自動車の下から助け出した少年の、極度のロンパリの瞳は光を無くし、宙を見つめていました。

 少年は一郎太君でした。一郎太君はお佐久ちゃんのお使いで、行き慣れた市場まで、霧渕博士が自らの治療に使う塩を買いに行く途中だったと言うことでした。

 本来なら警察と医者を呼び、しかるべき処置を取るのが常ですが、あまりの事にすっかりと気が動転したぼくは、ぼくは、狂った判断をしてしまった……霧渕博士なら……一郎太君を、蘇生できるに違いないと……。