おれがひねくれてるだけだろーか。
日本に帰ってきて間もないので、ほめたり、ほめられたりする言葉は苦手なのだ。
あ、だからグルメ・レポーターとかの職業があるのだろーか。
するってーと、ほめたりほめられたりするのが苦手なのは日本人であり、日本語か。
例えば九州のとんこつラーメンを食って、あ、これはとんこつですねぇ、細めんの硬めんで、まったりと濃厚ですが見た目よりあっさりしてて、脂と塩味が控えめですが、それがかえって飽きなくて、スープまでペロリです。
書いててつまらんのだ。
例えば九州のとんこつラーメンを食って、あ、獣臭いですねぇ、びしょ濡れの犬みたいな匂いで、ウンコみたいな味のスープですねぇ、めんは硬くて細くて栄養失調の老婆の髪の毛みたいなめんで、味は腎臓病患者の入院食みたいに味気なくて、よくいえば健康的ですが、二度と喰いたくありません。
まだ、こっちの方が書いててマシで、尚且つ伝わるのじゃないか。
いい女を見ても、とても綺麗で可憐で可愛くてまるで女優のなんとかみたいで云々…。
なんてーな、とっても文化レベルを疑う言葉しか思い当たらず、つまらんので、おれはむかしちっとだけ付き合った女をダチに説明するのに、アヒルみたいにちっこくて、ネコみたいにニャーニャー喋って、足の爪のマニキュアが血豆みたいで、陰険な三白眼が可愛い娘。といったら彼女本人には叱られたが、ダチは苦笑しつつもよく理解してくれたのだ。
これは重大なことだぞ。
けなす方が簡単でボキャブラリーが豊富で尚且つ万人に伝わる場合が多いのだ。
だから、ほめたりいい方向に形容したりする評論家やレポーターってな職業が成立するのか、バカバカしいのだが。
あとは綺麗とか汚いとかズルイとか、悪魔、バカ、太ってる、とかなんとかに小をつけると、本来の意味より控えめな表現のはずなのに、なんかパワーアップして聞こえたりしないか。
小奇麗、小汚い、小ズルイ、小悪魔、小バカ、小太り…。
おれが感じるニュアンスは小奇麗はちと綺麗なのだが、小汚いってーと汚いより汚く感じる。
同じ意味で薄汚いってーと汚いよりかなり汚いよな。
一種の言葉の重複なのかも知れんな、わからんけど。
汚いってーと、漠然と汚いだけなもんで、ヒトは、ああ汚いんだなあ。と思うだけかも知れんのだが、小汚いってーとまず汚いを漠然ながらもイメージして、更に小汚い状況をイメージするだろーから、より具体的に汚いのだと思う。
薄汚いってーと、小汚いよりちと複雑なので、尚更イメージして薄汚いのだろーな。
なんかタモリのジャポニカなんとかみたいになってしまったな。
いい表現より悪い表現の方がなぜかイメージしやすく、分かりやすいのだ。
ウンコ味ったって喰ったことないし、皮膚病の犬みたいな髪型でも皮膚病の犬はみたことないのだ。
ゴムみたいな歯応えとか、キチガイじみたとか、そんな表現は日常につかうし分かりやすい。
女にしても、土下座してもやりてー女とか、本人がやってくれってーんならやぶさかでない女とか、おれのこと犯してほしい女とか、それだけでもニュアンスは伝わるのではないか。
けなされるのが、ほめ言葉の連中がいるが、おれもそーなのだ。
日本語むずかしいのね、振り回されるのはごめんのことよ。シャチョウさん。