『江戸しぐさ』ってな本を立ち読みした。
まったくもって、立派で奇特なもんだ。
あんな肌理細やかな紳士淑女のみなさんが江戸っ子ってーことは、おれの地域は与太郎ばかりじゃねーか。
江戸時代の江戸っ子はてめーらのことを江戸っ子って言わねーと思うのだ。
そもそも江戸時代って、当時の江戸時代でてめーらの時代を江戸時代とは言わんだろ。
せめて年号だよな。
いつから江戸って言うようになったんだ?
それを踏まえて『江戸しぐさ』ってーなんなんだよ。
著者はその時代に生きていたとは思えんから、理想なんだろうな。
んでもって電車なんだよ、困るのは。
おれは酒臭いし機嫌悪いしバカだから、他の乗客のみなさんにご迷惑をおかけしている。
だから腹立つ乗客にも、お互い様の心根はある。
それにしたって傍若無人は多すぎるのだよ。
7人掛けの座席に5~6人で占領するのは当たり前だし、混んでても足を組んでるのはいるし、座席に荷物置くバカはざらにいる。
最初は下手にでて注意してたくちだが、今では言ってもムダなので結構強引に行動している。
まあ、毎回同じ連中の不届きに出会うわけではないので、おれと初めての不届き者は面食らって、逆におれが不届き者にみえるかも知れんが、そんなこたぁ知ったこっちゃないのだ。
自覚しろ己を、バカめ。
一度はドア手前の隙間に押しやられて、座席の手すりに尻を乗っけた。
したら、そこの席のオヤジが、肘を掛けるから尻をどけろとのたまった。
おれは、はいはい澄みませんねと言って尻をどけたが、次の駅でガラッと空いたときに、電線などを纏めるインシュロックっていう樹脂のバンドで、オヤジの肘と手すりパイプを纏めてやった。
うっ血するくらい。
これで好きなだけ肘を掛けてられるな、良かったな。
オヤジは立ちあがろうとしても、決ってんのは肘だから、だれかがニッパーを持ってくるまで怒りをほざいてろ。
会話中の携帯電話をドアが開いた瞬間に放り投げたときは、携帯の持ち主もそれを追いかけて車外に出るから一石二鳥だったな。
隣合わせたイヤホンでシャカシャカさせてるバカも〆た方がいい。
言ったって聞こえてやしないのだから、イヤホンを引っこ抜いて直接耳に言おう。
なに、そんなことをされるってーのは想定外だから、びっくりしてやめてしまう。
そんでも、ボリューム小さくして聞いてて、んでもシャカシャカしてたら、おれは細工で使う小さなハサミでコードを切ってしまうのだ。
万が一、相手が器物破損だってなことで騒ぐようなら、おまえ迷惑防止条例って知ってるかと言えばよいのだ。
あくまでもこっちが上に出て、したら次の駅で降りようか。っていえば相手は黙っていて、決してあやまらない。黙っているならそれで許してやる。
ああ、面倒くさい。
仮に『江戸しぐさ』の江戸はすばらしい。
でも、現代に提唱してもむずかしいのだよ。
なんせ、人口が違う。人が多すぎるし、今の東京は田舎者のパラダイス。
逆に江戸っ子が珍しい生き物だからな。
電車なんて、人間のゴミ箱なのだ。
あそこまで淀んだ空気と雰囲気、イライラした意識が集まる場所など他にどこにある。
マナーよりも、やったら、やられる。それぐらい覚悟して乗れよ電車。
『電車しぐさ』なのだ、朝と夜のラッシュ。
殺人はいままであったか?