ってことで、おれのさして親しくないユージンが自律神経失調症になったのだ。
自己申告のびょーきらしいので、医者に自己申告して自律神経失調症になったのだ。
えーっと、よくわからんが、要は自律神経が失調したのだな。
自分の鼻がクサかったり、歩いているうちに知らず知らずに歩幅が広がったり、のどかな農村の風景でボッキしたり、叩かれて気持ちがよかったりするものだとおれは思っていたのだが、どーも違うらしい。本人が否定した。
本当の病状が知りたい方は、ネットで調べてくれ。
したら今度は鬱病になったと自己申告してきたのだ。
そうか、それは大変だなってんで、呑みにいった。鬱病のさして親しくないユージンと。
彼はホッピーのシロを呑みながら、結構熱心に自分の病状を語るのだ。口の端っこに泡をためて。
朝起きられない、体がつらい、気力が無い、仕事したくない、たまに死にたくなる。
んなこと呑みながら力説されても困るよなぁ…。それより歯は磨いてんのか、口がクサいぞ。
おれは外面がいいので、ユージンを力付けてやった。
がんばれよ、鬱に負けるな、毎日を生き生きしてたら良くなるよ。
したら叱られた、本人に。
鬱病患者にがんばれは言うな、負けるななんて禁句であってもってのほかだと。
医者にも言われたと。
それをまたとくとくと語るのだね。
んなこたぁ、おれも知っている。励ますのは逆効果だし、深刻な鬱は自殺する気力もないけど、前段階の鬱は気力があるので自殺しかねないとか、フツーに知ってるだよ。
だからワザと言ってみたのだ。
だってーどーみたってフツーのオヤジだよ。
そりゃー最近離婚したらしくて沈んでたけど、でも健常で健康で常人のときからフツーに躁鬱のケがあったんだから。
ちと鬱が目立ったくらいのことは、おにぎりの具が鮭から梅干にかわったくらいでしかない。
本人に自覚がなくて当たり前なのだが。
とにかく、ちと嫌気がさしたおれは、好きに言わせながらはいはいと頷きながら呑んでたのだ。
一通りおれを叱って、満足したユージンは帰ってビデオ観て寝ると言い出した。
なんでもオナニーに適したブツを入手したとのこと。
割り勘で払って、帰り際におれはいったのだ。
これからもがんばってね。
したら掴みかからんばかりに迫ってきた。がんばれとゆーなっ!
あんた本当は元気だろ。
おれは数十年、毎日朝起きたら死にたくなる。
したら死ねばいいのかも知れんが、死んだら生き返るのが難しい。
人の死や自分の死、または物理的な破壊には責任を取ることが難しいし、おれみたいなつまらん命でも、無くなったら周りに迷惑を与えるし、取り返しが付かないことには尚更なのだ。
だから生きているのであって、そう思っていると悪くない。
自称鬱病のユージンはおれより10歳上なのだから、朝がつらかったり気力が無いと感じたり諸々衰えるのは当たり前なんじゃねーの。
人生はヒマつぶしだと思っている。
ヒマだから仕事や趣味にがんばるし、逆にそれほどがんばることもないのだ。
自分が思っている評価と、他人に思われている評価は違うのが当たり前。
あるがまま、与えられるままの中に、自分があればそれでいいし、そんなに難しいことじゃないぞ。
寝る前に歯を磨け。