空に上がる 大玉の花火よ 不思議そうに 音がしないねと
そうだねぇ・・・・花火の光線は直ぐに目にはいるけれども
音は幾ばくか遅ればせ追いかける 光も 音も 波のように
すべては波動でやってくる 光る色も 物質が弾け光るいろ
みどりやあか きんいろ むらさき 夜空に光る大きな珠よ
パラパラ ドーン ヒュウ~・・・大玉が空いっぱいに弾け
その後を追うように 腹の胆まで響く ドー・・・ンの波動
もう少し高い処でみようと 屋根瓦の上をあちこち移動する
倅達に「落ちなさんなよ」と声をかける。
カルピスを作ったり 二階のベランダで一緒に花火に見入る
母のすがたは もう いない
怪我をせぬように 花火を見ているのか彼等を見ているのか
彼女の目の先はわからねども
「綺麗かねぇ」
その言葉だけは はっきりと思い出せる。
この時期の 暑い暑い空気は 雨も降らず 雲もかからず
時おり 涼しい風が どこからともなく吹いてくる
夜天に広がる花火の彩は 日本人の心を魅了してやまない
倅の小さな疑問で 確かに見えるのに 離れている距離を
確かに感じ その音が届く頃には 美しい光の姿も消える
当たり前のように考えていた現象に 不思議さを覚える
職人の方が念入りに組み上げた結晶も たちまち弾けては
夜空の闇の中に消えゆいていく余韻が あまりにも儚くて
そしてまた唯一無二の美しさをもって 夜空を舞いおどる
肉眼で見つめるその姿と 寝転んだ体の上にのせた携帯のカメラで
撮れるタイミングに任せた画像では 何かが違うような気がするが
月をも覆う 大玉の美しさに どこからともなく 誰かのかん声が
響き渡ってくる。
自分達でカルピスを作り 思い思いに見つめる花火玉の残像もまた
彼等の想い出の一つとして残っていくのだろうかな。
神棚に「ばあちゃんまた来るね」と頭を下げて帰ろうとする倅達の
姿を見つめながら やはり唯一無二の存在の大きさに想いを馳せる
華々しく夜空に大きく散るも花火
また 指のさきでぱっぱぱっぱと
閃光の如く弾けるもまたそれ花火
どちらも美しくどちらもまた儚い
