秋の風月とて海の波を引き映すかんばせ銀の海
秋の波は力強く、引いて満ちては海の水面に大河を描く。
満ちる姿は川面にも、押し寄せゆらぎ光らせる。水面の輝きはまるで金の錦織。
新月の大潮を迎え、海のうえを眺めると筋交いのようにして潮が流れているのがよくわかります。何となく「満ってきよる」「引いていきよる」と波の流れや海風の方向やらで海の機嫌を伺うもの。また、強い秋風がさざ波を起こし、太陽のひかりが海面をキラキラと光らせる。
澄んだ空気と海のあお。
大村湾の海の風を受け、多良岳の山々に注がれ集まる水脈を持つ東彼杵町。
東彼杵というと、大村湾を望む千綿駅を紹介した回や
海を見渡す特別な風景を紹介した回もございます。
JRの大村線と平行する海側を通過する国道の眺めの良さだけでなく、山のすそ野にむけて広がる田園風景の美しさもまた素晴らしいところでもあります。
「西海鯨漁」で栄えた深沢義太夫勝清・勝幸親子らがその財をかけて、大村の野岳湖をはじめ、一帯に溜池や新田開発を行いました。
龍頭泉に登っていく途中に、かのまる池や三井木場池、中池、蕪池と四つの大きな溜池があります。
そのうちの「かのまる池」。茶畑と稲田が緑の香りをのせた涼風を届けてくれます。
多良岳さんのおひざ元ともいうべきか、ここから少し登ると千綿渓谷(龍頭泉)に流れる山からの恵みの水がたくさんの滝や淵をつくり出しています。
水の音と、山から吹く風の音と、目の前に広がる海。
東彼杵の街は高速ICを降りて海沿いにあるのですが、長崎街道から大村までのびる広域農道が通る山沿いに広がる景色は、贅沢な程に人が共に暮らす自然の風景を胸いっぱいに楽しめます。
段々畑が広がる風景、新幹線の線路が谷間を通って行く風景・・・そう、新幹線の車窓から見えるほんの五秒程度の間ですが、少しでも風景を楽しんでもらうためにと地元の人たちが桜を植えたりして整備された「5秒の桜」という名所もあります。
そして、東彼杵といえば「そのぎ茶」の名産地ですね。近隣にも嬉野茶や世知原茶などもありますが、彼杵茶は盆地ではなく、海からの風をうける高台に茶畑が広がっています。
そのぎ茶は、高温の蒸気で加熱し形を整える工程をしない「蒸し製玉緑茶」という珍しい製法で作られています。そのお味は、品評会で何度も大賞を取っているのだとか。
たとえれば、渋みもなく程よい甘さがあります。
お茶はそんなに詳しいわけではなく、飲んでみた時に残る味覚として残りますよね。
掛川茶とか宇治茶とか知覧茶とか八女茶とか嬉野茶とか・・・もっとたくさんあるのでしょうが、色々と飲み比べて、ここのお茶が好きだな~♪と推し産地があると思います(*´▽`*)
そういえば平戸には日本最初の茶畑なるものがありまして、1191年に宋から持ち帰って播種されたものだそうです。そう考えると、日本のお茶は千年近い歴史があるのですね。
地域に根付いてその地の気候にあわせて、それぞれの産地が美味しいお茶の葉を丹念に作られている。最近は抹茶が大ブームとなっておりますが、純粋に、茶葉を入れてじっくりと飲むのも美味いもんでございます。もちろん、そのぎ茶も抹茶を販売されているところもあります。
そして、広域農道を走っていると一面に広がっているのがお茶畑。
海と茶畑・・・・
太陽のひかりを浴びて、茶の葉がキラキラと輝いています。
大村の街が広がって、大村湾に映る陽の輝きはまさに錦のごとく。
これからまた寒い冬を越え、新緑栄える季節には、美味しい茶葉たちが実っていくことでしょう。背後には山を望み、海を臨む茶畑の美しさは・・・絶景。
派手さとか有名なシンボルとかテーマパークとかあるわけではないのだけれども、何気ないなかにも唯一無二である極上の景色というものがあるのです。
この美しさを日々守り抜いて下さっているかたに感謝の思いを伝えます。




