青森アートの旅も、いよいよ最終日。
4日目は、十和田市現代美術館へ行きました。
美術館は十和田市の官庁街通りにあり、目の前には広いアート広場があります。屋外にも大きな作品が点在し、美術館だけでなく、街全体がアート空間になっていました。
館内では作品解説カードを受け取り、QRコードから音声ガイドを聞きながら、一つひとつ鑑賞できます。
展示作品の数はそれほど多くありませんが、一つひとつの作品が大きく、空間全体を使って表現されているのが特徴です。
床一面に広がる鮮やかな色彩
美術館に入って最初に目に飛び込んできたのが、ジム・ランビーの《ゾボップ》です。
エントランスの床一面に、色とりどりの線が広がっています。
一見すると巨大な抽象画のようですが、作品解説を読むと、身近なカラービニールテープを使ってつくられているとのこと。
よく見てみると、確かに一本一本がテープでした。
特別な材料ではなく、どこにでもあるようなカラーテープが、これほど大胆なアートになることに驚きました。
色と幅の異なる線が重なり合い、まるで音楽のリズムが聞こえてくるようです。
あまりにもリアルな巨大彫刻
続いては、ロン・ミュエクの《スタンディング・ウーマン》。
写真の中に写っている人と比べると、その大きさがよく分かると思います。高さ約4メートルもある、大きな女性の彫刻です。
ロン・ミュエクの作品は、先日、六本木の森美術館でも見たばかりです。
近づいて見ると、少しくたびれたような服の生地や、履き込まれた靴、皮膚の質感や張り、しわまで、まるで本物の人間のように再現されています。
さらに、指輪が指に食い込んでいる様子まで表現されていて、その細かさとリアルさには本当に驚きました。
赤い糸に包まれた《水の記憶》
塩田千春さんの《水の記憶》です。
塩田さんの作品は、これまでにも何度か見たことがあります。
この作品では、部屋の壁や天井いっぱいに無数の赤い糸が張り巡らされています。頭上を見上げると、赤い靄がかかったようにも見えました。
その下に置かれているのは、かつて十和田湖で使われていた古い木船です。剥がれた塗料や朽ちたような姿には、この船が過ごしてきた時間が刻まれています。
私は以前、塩田さんの赤い糸を、血管や生命、人と人とのつながりを象徴するものとして見た記憶があります。
《水の記憶》では、場所や物に宿る記憶、人との縁、そして生と死など、目には見えない不確かなつながりを表しているそうです。
赤い糸に包まれた古い船から、過去と現在が静かにつながっているように感じました。
無数の人形がつくる《コーズ・アンド・エフェクト》
ソ・ドホの《コーズ・アンド・エフェクト》。
天井から無数の人形が降り注ぐように見える、高さ約8メートルの大きなインスタレーションです。
中心部分は赤。その周囲はオレンジ、ピンクへと変化し、外側へ向かうにつれて透明に近づいていきます。
近づいてよく見ると、一つひとつのパーツは、人間が肩車をして連なった形になっています。
一体いくつの人形でできているのだろう?
私は、そんなことまで考えてしまいました。
作品名の《Cause and Effect》は、「原因と結果」や「因果関係」という意味です。
人から人へ、世代から世代へと、知識や記憶が受け継がれていく様子を表しています。
私たちも自分一人だけで存在しているのではなく、過去や未来、そして自分以外の誰かとつながっている。そのことを思わせる作品でした。
街の中で出会える奈良美智作品
屋外に目を向けると、白い壁に黒い線で描かれた大きな女の子が見えます。
奈良美智さんの《夜露死苦ガール2012》です。
かなり遠くからでも目立ち、十和田市現代美術館のアイコンの一つになっているように感じました。
美術館には、ガラス越しや屋外から鑑賞できる作品もあります。入館しなくても、街を歩きながら現代アートに触れられる環境は、とてもいいなと思いました。
家族で楽しめる現代美術館
館内では家族連れの姿が多く、子どもたちも楽しそうに作品を見ていました。
難しい現代アートを静かに鑑賞するというより、まるでアミューズメントパークを訪れるような感覚で、見たり、驚いたり、作品に参加したりしているようでした。
十和田市現代美術館は、作品数こそそれほど多くありませんが、一つひとつが大きく、見て直感的に楽しめる作品が多い美術館です。
そして、作品は建物の中だけにとどまらず、通りや広場にも広がっています。
青森アートの旅の最終日に、街全体で現代アートを楽しむことができました。









