2020.01.25〜4.12
名画や映画の登場人物あるいは歴史上の人物に自らが扮するセルフポートレート作品で知られる森村泰昌さん。
初めて作品を見たときは、
巧みなメイクや衣装で、時代や人種、性別をも超えて、色々な人物に自らが成り代わり、製作を通して原作や背景に独特の解釈を加えてきました。
初めて見たのは30 年くらい前でしょうか?
2次元の絵画から、3次元のセットを作り、そこに自らが衣装を着てメイクをして入り込みセルフポートレートを撮るわけですが、できた写真、つまり2次元のの写真は元の絵画の顔の部分だけ差し替えられたような錯覚に陥ります。
しかし、撮影に使ったセットを見ると緻密に計算されて作られたセットをマジマジとただ見て、びっくり。強い衝撃を受けたのは決して忘れません。
それからというもの、森村泰昌という名前を見つけては見に行きました。
初めは西洋名画シリーズで、ただ、ただ、すごいと思ってみていましたが、現代美術ですから、ただ器用にできましたと披露するのではなく、メッセージが込められています。
今回の展覧会は、本人の紙に書かれた言葉が展示されていたことと、映画、「エゴオブスクラ」
をみたので、メッセージを理解しかったです。
真理やカチや思想というものは
いくらでも自由に着替えることができるのだ
上の作品(写真)の中で使われた実物が展示されていました。
モデルヌ・オランピア 2018
そしてオランピアから生まれた初期の代表作が下の作品です。
マネが描いた白人の娼婦と黒人の召使を、黄色人種でかつ男性である森村が演じています。
上の上の新作モデルヌ・オランピアはよく見ると若い娼婦は、蝶々夫人を思わせる芸者の姿に、黒人の召使をは、西洋の男性に変わっています。
劇場 2020
マネのフォリーア・ベルジェールのバーを模した作品
下がオリジナル
Wikipediaから画像をお借りしました。
よくよく見ると…
手に注目。女性のウデと思いきや、これは石膏でできた腕を彩色したもので、後ろから支えられています。
右下の人形のようなもの、
作品の左上のところにぶら下がっています。
右下のだけどシルクハット写真ではよくわかりませんが、実際のものはダンボールで彩色して作られたものです。
帽子に関しては写真にした時に光っている様子を事前に描き込んでいるところがすごいなぁと思います。
こんなトリックを見つけながら見るといろんな気づきがあって面白いです。
今までの西洋の絵画の中に自分が入るというのとはまた違った取り組みでしたが、
日本とアメリカについての考察について、
天皇とマッカーサー
三島由紀夫とマリリンモンロー
を引き合いにして説明をしていました。
面白い例えだなぁと思いました。
しかし、私はあまり歴史は好きではなく、知識がないのでよくわからないこともあり、三島由紀夫のだけど割腹自殺は帰宅してから調べたという有様…
それにしても、自由自在に時代を超え、人種、性別を超え、なりきることができるのはすごいことと思います。