父方から連絡があった話を伝えると
母方の親戚からは
罵倒に近い勢いで
そんなとこに実印なんか持って行くな
あいつら(父方)は人でなしで
甘くないどころかヤクザ以下だとか
負債をお前らに押し付ける腹だとか
散々なまでに言われる中、
行政書士から電話を貰って
状況を把握しようと努める。
情報収集は基本。
勿論、長男と二人でそのドイナカに向かうのだが
ゴタになったら長男はいつも自分に丸投げなので
特攻隊長は自分。
敵地に乗り込むつもりで下準備に取りかかりながらも
心の奥底には自分なりの思惑もあった。
その時は自分自身に対してうまく言葉に出来なかったけど
これが親父に会える最後のチャンス。
勿論、もう死んでしまった後なんだけど、
親父がいた世界を覗きに行きたいような
会いたいような気持ちは
死んでしまった後なのに、
押さえ切れなかった。
電話口の行政書士が言うには
親父の弟、自分の叔父にあたる人から頼まれたらしい。
この電話での会話で始めて、
いわゆる腹違いの弟と妹がいる事を聞かされる。
「弟さんはお仕事の関係で世田谷に住んでおられます」
「弟さんも是非会いたい!とおっしゃってます」
世田谷? 当時自分が住んでいたのは渋谷区なので
近いなー。となりじゃん!? とか思いつつも、
仕事の関係で世田谷って、、
役者かミュージシャン? と一瞬思った。
ドイナカに行くついでに北九州に寄り
乗り込む決心を母親に直接告げると、
母は止めたりなんかしなかった。
ちゃんと礼服で行けと、
恥ずかしく無い格好で行ってこいと
洋服の青山かなんかに連れて行ってくれた。
「貸しね」としっかり目を見て言われたが。
着慣れないスーツでいつものガニ股で
北九州の街を兄と歩きながら
鼻からゆっくり息を吸う。
色んな覚悟が自分の中にあり、
戦闘準備態勢にあった自分は
何を見るでもない真剣な眼差しで
ゆっくり口元を引き締めた。
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