母親に育てられた自分と兄は
親父の悪口を聞かされて育ったのだが、、
いや、悪口と言うより
母にとっては振り返りたく無い過去
と言った感じで
切り取られたり、端が塗りつぶされた写真が
何枚かあったように憶えている。
母方の親戚も総じて
ヤクザ、人でなし、お前は捨てられた。
と言った感じで
それを聞かされながら育った。
親父に関して、
名前や顔どころか
どんな人だったかも憶えていない自分は
反論出来るはずもなく
ましてや親父の肩を持つ義理もなく。
ただ母と母方の親戚の言う事を
自分の知らない情報の一部として
受け取るしかなくて、
そうする事しか出来ない事そのものにすら
気づいていなかった。
ただ漠然と
どんな人だったんだろうと想像していても
それは言えなかった。
いつだったか
何かの話の流れで
「会いたいか?」と母に聞かれた事もあったけど
何が本心かすら考えもせずに、
「別に」と答えた。
母に感謝を忘れた事は一度も無い。
親父に関しては、考える事すら無意識、
いや、意識的に避けて来たんだなと
後に思い知る。
感謝してもしきれないほどの思いを
母親に伝えたいとは思っていても
10代くらいからか
ずっと長い事、
母とは仲良しとは言えない関係が続いている。
少年が男になっていく過程で
ふと母親の事を
これがもし自分の女だったら嫌だなと
薄々思うようになったのを
自分自身に対して誤魔化せなくなった時に
会った記憶もない親父の気持ちが解る気がしてしまい
母に悪いなと思いながらも
会ってみたいと思う気持ちがよぎった。
この時に会っておけばよかった。
ぶん殴るか殴られるかでもして、
好きになるか憎むかしておけばよかった。
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