早期からの緩和ケア医の大津秀一です。

 

このブログを普段から覗いてくださっている皆さんはすでにご存知だと思います。

 

緩和ケアは末期から行っては遅いのです。

 

緩和ケアは末期にだけ行うものではないし、緩和ケアを受けるから末期なのでもありません。

 

国は診断された時から緩和ケアをするようにと5年以上前から言っています

 

第2期がん対策推進基本計画

 

世界保健機関(WHO)は2002年から、緩和ケアとは「問題を早期に発見し、苦しみを予防する」と定義しています

 

緩和ケアの「常識」を変えよう/ヨミドクター

 

早期に対応するだけではなく、起こりうる問題を予防すべし、と緩和ケアを説明しているのです。

 

どこにも末期限定あるいは末期の代名詞とは書いてありません。

 

では早い段階から、すなわち診断された時から抗がん剤の治療中から、行うとどんな良いことがあるのか。

 

◯ 抗がん剤の副作用対策も(主治医が行うものにプラスして)行ってもらえる

 

◯ つらい症状を薬物治療等で緩和してもらえる

 

◯ 不安にも対処してもらえる(身体の問題がなくても当然診てもらえる)

 

などは当然としても、

 

 

◎ 入院が減る

 
◎ それに伴い出費が減る

 

 

さらには

 

◎ 命が延びる可能性あり

 

とまで示唆されています。

 

ただし当然これらの効果は、亡くなる前の何週間かだけに緩和ケアを行っても得られ難いです(絶対得られないとも言えないですが)。

 

それなのにもかかわらず、緩和ケアは末期の代名詞として使われることがまだまだ多いです。

 

痩せて、緩和の時期(段階)ってことだな

 

もう緩和に行くだけ

 

あとは緩和ケアで

 

等々・・・。

 

一般の方が普通に上記のような言葉をインターネットで上げておられ、なぜこれほどまでに末期「だけ」となっているのかと感じます。

 

国は医療者からのアプローチを中心にこの状況を変えようとしてきました。

 

けれども、それは無理です。無理だと思います。

 

「早期からの緩和ケア」「早期緩和ケア」という言葉の普及具合を見れば、政策だけでそれを行うことの限界が透けて見えます。

 

皆さんが、「緩和ケアは末期じゃない」と理解してくださり、広げてくださることが、状況を変えます

 

早期とか末期とか、診断時とか、抗がん剤治療中とか、そんなものは関係なく、いつでも緩和ケアは必要なのだ、と。

 

この現状が変わらなければ、緩和ケアにかかったほうが良い方が、末期になるまでかからず、苦痛は長い間取れず、結果「ああ、緩和ケアに行ったら早かったね」となってしまうという状況は変わらないでしょう。

 

水をさすことはエネルギーが要ります。

 

しかし、「緩和の時期」「あとは緩和に行くだけ」「末期だから緩和ってことでしょう」そんなフレーズを聞いたら、皆さんにもぜひ

 

# 緩和ケアは末期じゃない

 

とお伝えしてもらいたいのです。よかったらこのハッシュタグも使って頂ければ、広げて頂ければと存じます。

 

苦しむ方々を減らすために、緩和ケアから時期を取っ払ってあげることが必要です。

 

すでに何人もの読者さんが、緩和ケアは末期じゃないと伝えてくださっていると思います。

 

引き続きどうかよろしくお願いいたします。

 

なお患者さん主体の新しい緩和ケアの考え方「アクティブ緩和ケア」(ブログ『がん治療の虚実』の押川勝太郎先生提唱)も早期からの緩和ケアにとって重要です。

 

動画なので非常に見やすく、ご覧になって頂くと良いでしょう。

 

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