オピオイド　アメリカ事情は話半分に　レディ・ガガさんは線維筋痛症

「先生、そうは言っても医療用麻薬って大丈夫なんですか？」

「大丈夫とは？」

「だって癖になるんですよね？」

「ならないですよ」

「でもだってこういうニュースだってありますよね？」

･･････と見せられるのは、「米国」のオピオイド事情。

オピオイド依存が制御不能になった米国事情（動画）

２０１５年にトヨタの元女性役員のオキシコドン問題があった際に、日本との違いを取り上げています。

アメリカと日本は、（医療用）麻薬に関しては状況が大きく異なります。

日本でもがん以外の痛みに医療用麻薬が使用される機会も出て来ていますが、まだそれは大きなうねりとはなっていません。

アメリカは「普通の痛み」にまで医療用麻薬を用いるというある種すごい実験をしてしまったとも言えると思います。

この記事だと、「手首を傷めた」高校生に「オキシコドン」（！）という日本では考えられない処方をきっかけに、連用につながっていった事例が紹介されています。

医療用麻薬に関しては、アメリカの事情はほとんど参考にならないので、がんの痛みで医療用麻薬を使用している方はそれらを読んで心配されないのが良いと考えます。

なお数日前、レディ・ガガさんが線維筋痛症を患っているというニュースも報じられました。

線維筋痛症も比較的オピオイドが処方されているイメージがありますが、

UpToDate（※オンラインの医学教科書のようなものです）を照覧すると、線維筋痛症にオピオイドが奏効するエビデンスはないと記してあります。

がんの患者さんには積極的に医療用麻薬治療を必要ならば行うべきですし、一方で非がんの慢性痛の患者さんには医療用麻薬治療を熟慮する必要があることをアメリカの状況は指し示していますが、アメリカの濫用事情をベースに「だから日本も〜」というのはやや飛躍あり、というところです。

私が診療している患者さんでも、指示通り服用している患者さんで依存になった方は一人もいません。

世界中のニュースが入って来る昨今ですが、この件に関しては日本とアメリカの状況が大きく異なるため、それを念頭に読まれるのが良いでしょう。