関東は今もすさまじい雨です。


皆さん、出勤時等、十分お気をつけくださいね。


以下のご質問を頂きました。


Iさんからです。


(以下ご質問)


ブログ読ませて頂いております。こんな質問送ってよいのか迷いましたが、失礼します。56歳の父は去年の夏膵臓癌と診断され大学病院に通いながら頑張ってきました。ですが今では大学病院から出され緩和ケア病棟のある病院で緩和ケアを受けてます。腹膜播種による腸閉塞です。常に吐いてばかりでとても辛そうです。絶食をし点滴等で様子を見てますが閉塞の方もよくならず、吐き気止めの薬も全く効いてくれません。座薬タイプと点滴タイプの試しましたが、全然。主治医に他に吐き気止めはないのか?聞いてみたが、この二種類しかなく、後は管を入れるくらいだと。。なんら大学病院と緩和ケアが変わらないじゃないかと気落ちしております。イレウス管は抵抗があり。他に方法が無いものかお力を貸していただきたくメールさせて頂きました。長々と失礼しました。


(以上ご質問)


お父様、おつらいですね。


腸閉塞は、プリンペランやナウゼリン坐薬といった一般的な吐き気止めだけでは効果を得にくいのが難しさだと思います。


一方で、腸閉塞の病態自体を緩和する薬剤をいくつか使用し、腸閉塞が改善すると、吐き気や腹痛などの症状も大きく軽減します。


終末期腸閉塞の治療については以前下記の記事で触れています。


終末期の嘘シリーズ1 腸閉塞には手術しかない・腸閉塞の管を入れなければならない


ぜひご覧になって頂ければ幸いです。


胃や十二指腸などが狭窄している場合(上部消化管閉塞)はなかなか薬物治療による改善が難しく、胃管(腸までのイレウス管ではなく)を入れたほうが良い場合があります。


しかし多くの下部消化管閉塞(いわゆる世間で言われる腸閉塞)は、ステロイド+サンドスタチンの治療に反応することが多いです。少数の上部消化管閉塞も自験例では反応します。


まずは担当の先生とよく相談してください。


尋ねるポイントは2点で


◯閉塞箇所(推定)はどこなのか?
→胃や十二指腸などの上部消化管ならば胃管が良い場合もあります。下部消化管が中心ならば下記質問。

◯ステロイドとサンドスタチンは両方使っているか?
→片方だけだと無効な場合も、併用すると効果を得られることが多いです。

ステロイドはベタメタゾンの4~8mg/日<点滴>が、サンドスタチンは他の薬剤と混じるとしばしば成分の変化を起こすので、単独ルートの持続皮下注射が推奨です。



上記のブログ記事は2011年のものですが、先日Yahoo!知恵袋で、私のブログの内容について質問されているのを、おそらくどこかの先生が回答してくださっているのを見つけました。


父親が末期ガンです。腹膜播種で腸閉塞(数箇所


(輸液の調整、サンドスタチンの使用、ステロイドの使用の)

”3つの治療はいずれも正しいですし,末期癌の腸閉塞の患者さんには,現在,すでに一般的となっています.

まだ,行っていないようなら,ネットで見たのですが・・.と主治医の先生にそっと相談してみてはいかがでしょうか?”


と書かれてあることに、「すでに一般的になっている」ということに、隔世の感でした。(回答してくださった先生もありがとうございます)


[10数年前は、がん終末期や腸閉塞の患者さんにステロイドを使用することが今のようには為されておらず、また2004年まではサンドスタチンは腸閉塞には使えなかった(保険適応ではなかった)からです。そんな時代もありました]


いずれにせよ、まずは主治医の先生ともう一度よく相談してみてください。


お父様の吐き気が少しでも軽くなることを心から願っております。