皆さん、こんにちは。大津です。
今日は大雪だったですね。
皆さんも大変だったのではないでしょうか。
お疲れ様です。

医療のことも書いておこうと思います。

終末期の嘘シリーズを書いてみます。
何度かブログで述べてきたので、重複も
あると思いますが、繰り返しが大切だと
思いますので。なぜならば現場でまだまだ
しっかり行われているとは言えないからです。

まず余命が数ヶ月以内の患者さんの腸閉塞
(がんで腸管が細くなるか塞がってしまい、
腸が詰まってしまうために、そこから腸液や
食物が流れなくなって、常に吐くようになって
しまう病態。お腹のがんだったら全てが起こしうる)
に、本来手術をしたりイレウス管(鼻から小腸まで
いれて腸液を汲み出す管)を入れたりする必要は
ありません。

なぜならば以下の3つを押さえるだけで、
腸閉塞の状態を解除できるからです。
騙されたと思ってやってみてください。

①輸液を1000mlに減らします。
輸液が多ければ腸液も減りません。輸液が多い
からいつまでも腸閉塞がひどい可能性があります。
50%ブドウ糖を使用すれば、500mlの点滴
でも1000kcalを確保できます。イレウス管
からの排液が多いからと輸液を増やすのは原因と
結果を取り違えています。輸液を減らせば排液も
減るはずです。やってみてよく観察してください。
なおこの場合に輸液を減らして脱水やショック
状態になったことは僕は一度もありません。

②リンデロンかデカドロンを4~8mg/日使用します。
腸管の狭窄や閉塞を解除します。

③サンドスタチンを300μg/日使用します。
腸液を減らします。

どれだけ食事を取れるようになるかは個人差がありますが、
上記の治療を継続しながら少しは食べられるようになることが
多いです。普通に食事できるようになった人までいます。

それではなぜ手術やイレウス管を勧めないか。

手術はまず負担が大きいです。余命が数ヶ月ならば
なるべく体力を消耗させ、回復にも時間がかかる手術
よりは薬剤を使って症状コントロールしたほうが
体へのストレスは少ないはずです。体力が落ちれば
がんの進行も早くなってしまうかもしれません。
手術の一番の欠点は、細くなっているところや
閉じてしまっているところを切除しても、がんは
お腹の中にたくさんありますから、それらが大きく
なって腸の別の場所が細くなったり閉じてしまったり
して、短い期間でまた腸閉塞になってしまうことです。
結局食べられるようになりませんでした・・
ということが少なからずあります。

イレウス管のほうもずっと挿入しておくのは苦痛が
大きいことがデメリットです。そもそも腸閉塞は
管を入れなくてもコントロールできるものです。
あえて管を入れて苦痛を与える意味がありません。

どの医療者も何かできることを一生懸命探して
いるのはわかります。
しかし、一度ぜひやってみてください。僕が
言っていることが嘘ではないとわかるはずです。
ほぼ100%、この方法で手術やイレウス管なく
僕は腸閉塞を治療してきました。
せめて、負担が大きい治療をあえて選択するよりも、
負担が少ないことをやってダメなのを確認して
から次を考えてみるべきなのではないでしょうか。

詳細は僕の本、
『世界イチ簡単な緩和医療の本』をご覧ください。
やり方が書いてあります。
$大津秀一 オフィシャルブログ 「医療の一隅と、人の生を照らす」 Powered by Ameba

常識に拘泥するのは怖いものです。
これは医療ばかりではありません。
一人でも多くの人の苦痛が、負担なく
取り除かれることを祈ります。

それでは皆さんまた。
よき週末をお送りくださいね。
失礼します。