2025年12月14日(日)に行われた皇后杯準決勝@サンガスタジアム by KYOCERA。

NHK-BS(生放送)


************

伊賀FCは、なでしこリーグ1部で11勝8分3敗、36得点21失点で2位。
春期は苦戦している試合が多く、私が観戦したオルカ戦もやや押されていた印象だった。
だが、夏に各チームの主力がWEリーグに移籍する中、GK風間選手と28常田選手をN相模原と交換移籍したくらいで、戦力を保った。勝ちきれない試合も多かったが、秋期のチーム力的には1番強かったようで、STATSを見ると、各チームと互角以上に戦えている。
皇后杯に入って、鈴鹿で観戦した2回戦では追手門学院大学にもたついていたが、3回戦で浦和を撃破、準々決勝で日体大SMG横浜を下して、勝ち上がっている。
今大会はYoutube配信が無いし、各チーム独自の動画配信もないので、勝ち上がって来た状況を把握出来ないのは残念なところである。

システムは3-4-2-1。
準々決勝と同じメンバーで同じ配置。



I神戸は2025/2026WEリーグで11勝1分け1敗、32得点6失点で1位。
カップ戦で躓いているものの、期待通りの成績を上げている。
ただ、選手のやり繰りが、かなり厳しい状況にある。
開幕時点から怪我人が多かった所に、MF7愛川選手の長期離脱が発表され、GK1大熊茜選手がカナダ代表とのトレーニングマッチで負傷、MF8山本選手が準々決勝で負傷退場。
また、この皇后杯では、今期台頭しているDF40金月選手らは、下部組織で大会に出場しているので使えない。
このところ、準々決勝の新潟L戦や、カップ戦2節の大宮戦は、リーグ戦首位にふさわしい内容とはいえない。

システムは、4-3-3。
左SB:13桑原選手、インサイドハーフ:6松原選手、右FW23三谷選手。色々なポジションを熟している14水野選手は右SB。
動ける選手は全員登録していて、まさにカツカツ。



 

前半、出だしはI神戸有利に進むが、伊賀FCも持ち直して攻勢に出る。スコアレスでHT。
後半、早々に伊賀FCが先制するも、I神戸が反撃。3点を取って逆転勝利している。

シュート状況は下図の通り。



 

伊賀FCは、勝てる要素が有った試合だった。
前半の半ば過ぎからは、I神戸のプレスを躱せるようになって、逆に伊賀FCの前プレスが嵌まりだした。40分には30神谷選手の大チャンスもあった。
だが、前半出だしに受け身になったため、スタミナを削られていたのか、60分には間延びし始め、交代選手を投入しても大きな効果は見られず。

守備も粘りきれずに逆転を許してしまっている。
悔やまれるのは同点を許した65分で、PKエリアから約15m外のフリーキックに対し、壁5枚は多過ぎ。ゴール前は数的不利になっていた。
さらに、最も警戒すべき24太田選手を余らせてしまったのは、マズかった。



I神戸は、順当に勝って決勝進出。

スコア的には快勝なのだが、先週・先々週と同じで、内容的には不満だったと思う。

さらに14水野選手が15分に膝を抱えて負傷退場。長期離脱となれば、決勝戦だけでは無く、WEリーグの優勝も危うい。


決勝は厳しい戦いになるだろう。相手は天敵:S広島Rで、相性が悪い。
S広島Rも怪我人だらけだが、まだマシ。

I神戸としては90分で勝ち切る必要が有ると思う。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。

伊賀FCは、2-4-3(+1)のゾーンディエンス。
WEリーグ以前は、マンマークを1or2人(畑中さん・宮迫さん)付けていたが、今は無し。
監督・コーチの方針なのだろうが、マーク力を信頼できる選手が居ないのが理由なのかも。

また、I神戸がG前密集陣形を敷いてきたら、マンツーマンで3人のゾーン固定配置に切り替えている。


I神戸は、マンツーマンディフェンス中心で3人のゾーン固定配置。

 

 

下表に、スタメンを身長順に並べる。



 

ややI神戸有利なマッチアップ関係。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.伊賀FCのコーナーキック

a)体制

キッカーは14増田選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 5藤田選手30神谷選手
・正面からファーへ: 24唐沢選手11正野選手6常田麻選手
・GK脇: 7渡邊選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 3秦選手9村上選手
・セーフティー: 28常田那選手



b)結果概要

1本目 (18:30) 右CK 14増田選手→ルーズボール・6常田麻選手・10成宮選手ドリブル・6常田麻選手・10成宮選手→24太田選手クリア・11正野選手ブロック。スローイン。
2本目 (66:55) 左CK 14増田選手ゴロボール→19久保田選手クリア。スローイン。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

伊賀FCのコーナーキックを分析するのは約5年ぶりだが、メンバーが変わっても、企画性の高いコーナーキックをやっている。

ア)1本目 (18:30)

 

ピックプレーを使って30神谷選手がニアへ走ったが、I神戸が上手くマークチェンジし対応している。

イ)2本目 (66:55)

 

伊賀FC伝統?のニアサイドでマタギを入れてからの、PKアーク近辺でのミドルシュート狙い。
だが、19久保田選手がマタギを許さず、カット・クリアしている。

 

19久保田選手はセットした時点で、何か指示をされて、手を上げて応えている。

おそらく伊賀FCの配置を見て、ミドルシューが来そうだと、チームとして予見したのだろう。
11正野選手4西林選手がGK脇からニアへ出た動きを見た誰かが声をだしていて、

14増田選手が蹴る前に19久保田選手は動き出している。
I神戸のスカウティングの完全勝利だった。



B.I神戸のコーナーキック

a)体制

キッカーは6松原選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 5三宅選手
・正面からファーへ: 24太田選手・25大熊環選手
・GK脇: 19久保田選手・13桑原選手・14水野選手
・ファーポスト前: 9吉田選手
・ショートコーナー: 10成宮選手
・コボレ狙い: -
・セーフティー: 23三谷選手



b)結果概要

1本目 (09:41) 左CK 6松原選手→ショートバウンド・25大熊環選手トラップ・シュート。右へ外れてGキック。
2本目 (42:43) 左CK G前密集陣形 6松原選手→24太田選手ヘディングシュート。左へ外れてGキック。
3本目 (46:17) 左CK 6松原選手→3秦選手ヘディングクリア→14増田選手
⇒10成宮選手回収→6松原選手→3秦選手ヘディングクリア
⇒10成宮選手回収→24太田選手。再組み立て。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

特に凝った企画はなかったが、シュート2本で良い結果。

ア)2本目 (42:43)

I神戸がG前密集陣形を敷いてきたら、ゾーンディエンスからマンツーマンに切り替えている。
浦和やI神戸はマンツーマンなど多くは、G前密集陣形でゾーンディフェンスに切り替えるのだが、伊賀FCは真逆。

GK後藤選手が包まれることを嫌ったのだろうと理由を推定する。
でも、この守備変更は、デミリットが多い。


① 変形するには、時間的に余裕が無い。
実際1本目 (09:41) と3本目 (46:17)は、変形しかけたところで蹴られて、やや混乱している。
また、予めマーク相手を決めておいても、遠くに居たら間に合わないから、
おそらく、システム的には近くに居る相手を捕まえることくらいしかできない。
身長差の大きなマッチアップも出来るだろうし、マークがダブってフリーが出来たら最悪だ。
一方、逆のマンツーマンからゾーンなら、決まっている位置へ移動すれば良いので、混乱しにくい。

② 3人のゾーン固定配置も疑問。
人数的に足りなくなるので、攻撃側が1人余っている。
このプレーは最悪で、最も警戒すべき24太田選手を余らしている。



イ)3本目 (46:17)

ゴール正面で、3秦選手がヘディングクリアしたのだが、そのファー側で24太田選手が頭を振っている。
今シーズンに入って、24太田選手は、ボールが抜けてくるモノと決めて、シュート体勢に入っているのだが、WEリーグではこの「割り切り」が出来る選手は少ない。
セットプレーでの24太田選手のヘディングシュートは、I神戸の武器と呼べる。



以上です。



*********


ブログ内関連記事

目次 1.概要(アメブロ版)



*********


関連記事など、外部リンク


伊賀FC_HP
【伊賀FCくノ一三重】皇后杯 JFA 第47回全日本女子サッカー選手権大会 試合結果
https://www.igafc.jp/?p=39752

I神戸_HP
皇后杯 JFA 第47回全日本女子サッカー選手権大会 準決勝 試合データ・監督会見・選手コメント
https://inac-kobe.com/match/result/482