5月25日(土)に行われたWEリーグ第22節@長野Uスタジアム。

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今期WEリーグの締めくくりに、最下位とブービーの試合を敢えて選ぶ。

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この対戦は第11節:3月20日に行われていて、N相模原1-1AC長野だった。


AC長野は4勝6分け11敗で11位、19得点:8位(37失点:10位)。
STATSを見ると、シュート数155本:9位(被221本:8位)、コーナーキック数87本:6位(被114本:12位)で順位より少し良い。
第8節以来勝ちがなく順位を下げ続けていたが、前節やっと勝利。
この試合を勝ってマイ仙台が負け、得失点差2をひっくり返せれば・・・と、ブービー脱出にはかなり条件が厳しいが、僅かながら可能性を残した試合。

システムは4-2-3-1。
2試合連続同じスタメン。第14節から7試合登録が無かったGK1伊藤有選手も出場している。
6大久保選手7三谷選手11川船選手らはベンチスタート。
8福田選手10デーンダー選手らは登録が無い。


N相模原は2勝4分け15敗で12位、13得点:12位(39失点:12位)。
STATS的には、シュート数186本:6位(被221本:8位)、コーナーキック数94本:5位(被94本:7位)で順位よりかなり良い数字が並んでいる。
最下位が決定しているが、第17節以降2勝2分け1敗で来ていて、状態は良くなっている。

システムは、4-2-3-1。
右SBに28南里選手が入ったのが前節からの変更点。
5試合連続でスタメン出場していた32嶋田選手は、この試合の登録が無い。




 

前半、N相模原が優勢に進めて先制し、更に押し込んだが0-1のまま折り返す。
後半、一転してAC長野が攻め込んだが、N相模原が追加点、勝敗が決まったかに思えた。だが、そこから劇的に点が動き、AC長野が2点取って追い付いた後、N相模原がサヨナラ弾を決めて勝っている。

ボール支配率: AC長野 53%-47% N相模原 (Footystats.org)

シュート状況は下図の通り。

 

 

AC長野は、前半全く良い所が無い割に、1点で済んで幸運だった。
後半頭から投入した11川船選手が裏を狙って機能し、一気にボールが動き始めてからは、攻勢に転じた。これほど当たった采配はそうは見られない。
しかし、2点を追い付いてからの劇的な負けは、落胆の一言。

シーズン後半の上手く行かないチーム状況を象徴するかのような試合だった。

2奥津選手6大久保選手8福田選手・・・・と、既にシーズン終了をもっての契約終了を発表。この2年、看板選手や若手有望選手を放出しているが、この夏も大きく入れ替えそうだ。
補強の重要ポイントは、ボランチと1TOPを熟せる選手だろうが、懐事情は許すのだろうか?
また、昨年までのなでしこリーグの主だったFWは、この冬に既に他のチームが獲得していて、素材の数が減っている。
さて、AC長野の編成担当は、どうするつもりなのだろうか?
 



N相模原は、よく勝ちました。
前半何度も高い位置でボールを奪いチャンスを作った。連敗中には見られなかった攻撃の厚みも有って、全く別のチームのようだった。
ただ、2点目・3点目を取れたとは言え、後半形勢を損ねた後、修正出来なかったのは反省点。

これで、苦労したシーズンも第17節以降だけで勝ち点11、合計13。なんとか2021-2022の最低勝ち点に並んだ(試合数は2増えているけれど)。

この夏の編成は、まず、多少の怪我人が出ても、紅白戦が出来る程度の人数にすること。昨夏に整理し過ぎたのが、まだ回復できていない。
特にボランチやアンカー・右サイドバックが薄い。ドゥーエ(下部組織)に有望選手が居れば良いが、ここを補強できないと来期も苦労すると思う。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。

AC長野は、1-3-2(+1)のゾーンディフェンスで、3人(2奥津選手14菊池選手20宮本選手)がマンマークで付いている。

N相模原は、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。



下表に、スタメンを身長順に並べる。



 

互角の範囲のマッチアップ関係。


(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー

2023-2024WEリーグの締めくくりに、最下位とブービーの試合を選んだのには理由がある。
今シーズン、コーナーキックの企画性に関して言うと、この2チームがともに上位だと私が評価しているからである。


A.AC長野のコーナーキック

a)体制

キッカーは28稲村選手14菊池選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 22奥川選手5岩下選手
・正面からファーへ: 20宮本選手3岡本選手19安倍選手
・GK脇: 16鈴木選手
・ショートコーナー: 2奥津選手
・コボレ狙い: -
・セーフティー: 14菊池選手18伊藤め選手


b)結果概要

ポインタはDAZN の時間。

1本目 (25:30 ポインタ33:57) 右CK 密集陣形 28稲村選手GK久野選手パンチング→3岡本選手→7平田選手ヘディング
14菊池選手回収→20宮本選手3岡本選手クロス→5大賀選手ヘディングクリア
14菊池選手回収・ドリブル→(20宮本選手)。Gキック。
2本目 (46:18+ ポインタ54:45) 左CK 14菊池選手30大竹選手ヘディングクリア。前半終了。
3本目 (54:58 ポインタ1:19:5) 左CK 密集陣形 14菊池選手2奥津選手ボレーシュート→22奥川選手フリックシュート→GK久野選手パンチング・キャッチ。
4本目 (59:49 ポインタ1:23:56) 左CK 密集陣形 14菊池選手GK久野選手パンチング→30大竹選手クリア
2奥津選手回収→14菊池選手クロス→18榊原選手クリア
28稲村選手回収→GK伊藤有選手フィード→GK久野選手キャッチ。
5本目 (91:22+ ポインタ1:55:29) 左CK 28稲村選手22奥川選手ヘディングシュート→30大竹選手カット→6大久保選手シュート・17川島選手ブロック・混戦・6大久保選手シュート。ゴール!!。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

ア)3本目 (54:58 ポインタ1:19:5)

セーフティーから2奥津選手がミドルシュート、更に22奥川選手がフリックでシュートしたプレー。



2021年末までAC長野は、水谷雄一GKコーチが中心となって、色々セットプレーに工夫を見せていたのだが、その時も密集陣形を敷いて、その外側から攻める攻撃をやっていた。
主に大外のファーサイド、ゴールエリアの角周辺から折り返すパターンだった。
今回は少し違ったパターンでPKアーク前。
直接ゴールを狙いやすいが、ゾーン固定配置の30大竹選手などからプレッシャーを受けやすいので、私は水谷氏の考え方(ファーサイド狙い)の方が好みである。

なお、こんな企画モノを試合1本目ではなく、相手の様子を確認してから出している。水谷コーチがAC長野に残した香りがする。



イ)5本目 (91:22+ ポインタ1:55:29)

ATに入って同点に追い付いたプレー。
ファーポスト前で22奥川選手がヘディングシュート、ゴール前で混戦になって6大久保選手が押し込んでいる。

動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=S6R4eFcP0i4&feature=youtu.be&t=163

N相模原としては、22奥川選手がヘディングシュートを許した時点で、失点になるか否かは運次第。マークの19笹井選手が、簡単に前を取られたことが原因で、単純に個人の責任。大いに反省し、この夏のキャンプなどで、守備力向上に注力してもらいたい。




B.N相模原のコーナーキック

a)体制

キッカーは5大賀選手18榊原選手(右利き)2平野選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 20小野選手
・正面からファーへ: 18榊原選手28南里選手23藤原選手
・ニアポスト前: 30大竹選手
・GK脇: 9南野選手
・ショートコーナー: 17川島選手
・コボレ狙い: 2平野選手
・セーフティー: 7平田選手

b)結果概要

ポインタはDAZN Youtubeの時間。

1本目 (11:3 ポインタ19:30) 左CK 5大賀選手2平野選手2奥津選手クリア
17川島選手回収→(5大賀選手)。スローイン。
2本目 (19:54 ポインタ28:21) 左CK 18榊原選手→(28南里選手,23藤原選手2奥津選手クリア
17川島選手クロス・20宮本選手ブロック→20小野選手シュート・19安倍選手ブロック→20宮本選手クリア。スローイン。
3本目 (30:20 ポインタ38:47) 左CK 18榊原選手19安倍選手
17川島選手シュート・19安倍選手ブロック→20宮本選手28南里選手
GK久野選手ロングフィード→18榊原選手ドリブル・シュート→GK伊藤有選手キャッチ。
4本目 (42:14 ポインタ50:41) 右CK 密集陣形 2平野選手GK伊藤有選手キャッチ。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

1本目 (11:3 ポインタ19:30)で、ミドルシュートを企画したのか・・と思ったが、

よく見ると、どうやら違ったように思う。

 


① 当初の企画(推定)
おそらく企画が崩れている。わざわざ5大賀選手をキッカーに使ったところから見ると、ファーサイドへ伸ばす球質で蹴って、28南里選手のヘディングシュートや折り返しを狙ったのだと思う。
23藤原選手28南里選手マークの2奥津選手をブロックし、フリーにしようとしている。

② 実戦の状況
5大賀選手のキックが、右へ逸れてしまったのだろう。主役のハズだった28南里選手も当然落下点へ行くのだが、良い体勢でシュートモーションに入っていた2平野選手を邪魔する形になってしまっている。

③ 私の評価
良い試みだとは思うが、AC長野のゾーンディフェンスのファーサイドは3岡本選手
結構手強いので、狙い所としてはどうか?
18榊原選手が余っているのだから、3岡本選手をスクリーンアウトするなど工夫をすべきだと思う。





以上です。



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ブログ内関連記事

目次 1.概要(アメブロ版)

 

2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29




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関連記事など、外部リンク

DAZN(有料)
AC長野 vs N相模原 : 第22節 WEリーグ | 5/25 土曜日
https://www.dazn.com/ja-JP/fixture/ContentId:5shzlyqkb3u7c730jp5fcgxlg/5shzlyqkb3u7c730jp5fcgxlg/1kjnir7xtdmav1s434epklgnce

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【公式】ハイライト:AC長野パルセイロ・レディース vs ノジマステラ神奈川相模原【2023-24 WEリーグ 第22節 2024.5.25】
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2024年5月25日 - 14時00分 (Asia/Tokyo) AC長野パルセイロ・レディース対ノジマステラ神奈川相模原
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2023-24 WEリーグ 第22節 vs.AC長野パルセイロ・レディース 2024/05/25(Sat)14:03キックオフ AWAY:長野Uスタジアム
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