本データは、2023年07月02日 時点のデータです。年１回を目処に更新する予定です。
(10)各攻撃次数の初手と結果
Ａ．データー採取の目的と経緯 ： ゾーンディフェンスの評価
３－１９までは、コーナーキックにおいて、
ゴール前での１ｓｔタッチがどうなったかという視点で、採取したデーターを整理してきました。
このブログを始めた時点では、国内・国際試合共にマンツーマンディフェンスが全盛で、
ゾーンディフェンスは選手個々の守備力にばらつきが大きなサッカー発展途上国が
主に用いる戦術でした。
そのため、一応の評価は３－１５（：リンク参照）でやってはいますが、あくまで、ゴール前での初手の分析に止めていました。
だが、アメリカ代表やスイス代表がゾーンディフェンスを
なでしこＪＡＰＡＮなど低身長の国に対して用いるようになって以来、
ゾーンディフェンスが見直されるようになったと、私は認識しています。
実際2020+1東京五輪では、強豪国６ヶ国が採用するに至りました。
また、ＭＩＸディフェンス（４～６人をゴール前に配置し、残りをマンマークに使う）も
この３・４年の間によく見かけるようになっています。
一般的にサッカーのゾーンディフェンスは、ゴール前の守備が厚いシフトになるのですが、
解説者の「ショートコーナーや２次攻撃にゾーンディフェンスは弱い」と言う発言を時々聞きます。
特に２次攻撃について、その発言が本当なのか？を、データーを採って調べていきます。
データーは2021-2022ＷＥリーグ開幕から取り始めています。
今のところは、母数不足で、見て取れる傾向も、信頼性は低いです。
でも、このまま継続して、信頼性を上げていく価値は有りそうだし、
母数が増えきて、また別の整理の仕方が出来るようになれば、面白そうだと、
今のところ思えるものになっているようです。
Ｂ．継続攻撃次数（Phase）による結果の分析
左下表は、各コーナーキック攻撃が、何次攻撃まで継続して、どんな終わり方をしたのかを表わしました。
右下表は各phase において、クリアなどをそのままシュートをどれだけ打っていて、
上がったクロスに対してゴール前でどんな１stタッチをしていたかなどを示したモノです。
・２次攻撃に関しては２つに分類しています。
回収A：守備がラインコントロールしていない間に攻撃に入った場合
回収Ｂ：守備がラインコントロールしてから攻撃に入った場合
・ダイレクトシュートは、
コボレ対応でＰＫ枠近辺に居る選手やセーフティーで下がっている選手が、
ＰＫ枠近辺、あるいはそれ以上クリアなどをされたボールを、
パスをせず、シュートしたと言うことで、ドリブルなどをした場合も含まれます。
・トータルシュートとは、ゴール前に溢れたボールを拾ったシュートを含んだシュート数。
Ｃ．ゾーンディフェンスの評価
２次攻撃に対するゾーンディフェンスとマン・ツー・マンディフェンスを比較するために、
下表を作成しました。
まだ、母数が少ないので、はっきりとしたことは言えませんが、
やはり、ゾーンディフェンスは２次・３次攻撃と継続され易いようですし、
シュートもトータル数で多く受けています。
前述の解説者の発言は統計的に正しいようです。
なお、調査期間中にゾーンディフェンスを使っていたのは、以下の通り。
2021-2022ＷＥリーグ
大宮Ｖ・ＥＬ埼玉（通期）、浦和・Ｎ相模原・ＡＣ長野（部分的）。
20232-2023ＷＥリーグ
大宮Ｖ（通期）、ＡＣ長野（部分的）。
皇后杯で伊賀ＦＣ。
国際試合で、オランダ代表・ミヤンマー代表・セルビア代表・フィンランド代表・ナイジェリア代表・イングランド代表。
ＭＩＸディフェンスを使っていたのは以下の通り。
国内：Ｉ神戸（通期）・千葉Ｌ（2021-2022）・マイ仙台（2022-2023）
国際：韓国代表・中国代表・ポルトガル代表。
ミヤンマー代表の守備力が不安かと思いますが、１６本なでしこＪＡＰＡＮが蹴って、
２次攻撃になったのが４本、３次攻撃が１本、
シュートは１次攻撃６本、２次攻撃２本、３次攻撃１本。
ゾーンディフェンスとしては、平均的な数字で、特別に評価を押し下げては居ません。
ＷＥリーグでは新規参入や大幅なメンバー入替なども有ったチームも含まれているし、
全チーム、ゾーンディフェンスの歴史はまだ短い。
システムが練り上げられていなかった、と言うことだけなのかも知れません。
履歴
2022/06/24 作成 （アーカイブ）
2023年07月02日 2022-2023ＷＥリーグ終了時点
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