多くのチームが3ヶ月以上空いた第12節。3月5日の試合で@味の素フィールド西が丘。

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東京NBは勝ち点14で5位。
思ったほど勝ち点が積み上がらないリーグ前半戦だった。
強い勝ち方をする一方で、接戦で勝ち点を溢す試合が多かった。
また、ここ数年の課題である前戦ピッチ中央の制圧が思うように行っていない。

中断期間中に、11遠藤選手のエンジェル・シティFC(アメリカ:NWSL)移籍、

10小林選手の長期離脱が発表されている。
対して補強は、皇后杯を沸かしたメニーナからの昇格と、28堀内選手(藤枝順心高)の加入。
若い選手を加えているが、どちらかというと守備型選手が多い。
全体を見ると、前戦の戦力に懸念を感じる。

この試合は、33石清水選手が先発復帰、産休に入る時目標に掲げた「子供を抱いて入場」を果たしている。
2人分の枠が空いたFWには、14北村選手と、17藤野選手が初先発と言う布陣で、

4-3-3。
また、30宇津木選手が初登録。
だが、アジア杯に出場したGK1田中選手は登録が無い。



一方のAC長野は、勝ち点11で6位。
開幕戦を勝った後、しばらく無得点が続くなど、攻撃力が課題の前半戦だった。
こちらは、点を取れば勝つと言う構図で、得点の割に勝ち点が積み上がっている。
運動量は豊富で、かき回し役もいるのだが、

治めどころがなくて落ち着かない戦いをしていた印象だった。

中断の間にMF13小林選手、GK 22新井選手が移籍退団。
5選手が入団していて、実績のある選手即戦力も補強している。

この試合は4-4-2。
新入団のDF32岩下選手、MF33久保田選手、MF35太田選手をいきなり先発起用。
15瀧澤莉選手は正月明けに右足外側半月板損傷が発表されたが、

長期離脱には至らずベンチスタート。
 

それも有ってか、第10節までの3-4-2-1ではなく、4-4-2でスタート。
主なところでは、7八坂選手24橋谷選手の出場登録が無い。



 

試合は、前半は東京NBが押していたとは言え、決定的なシュートは無く、膠着していた。
後半になって、AC長野の足が止まり始めて、東京NBの攻勢が増し、大量点を上げている。
ボール支配率  東京NB 72% - 28% AC長野(Footystats)
シュートの状況は下図をご覧下さい。


 

日テレは、攻撃力を懸念したが、何の心配もいらなかった。
エース9植木選手はアジア杯からの好調を維持しハットトリック。
第10節まで、ほとんど出場していなかった17藤野選手が躍動し、

縦への突破やクロスで大活躍だった。
解説の大竹さんがおっしゃってたが、ベレーザやメニーナのセレクションは100人の内1人か2人という狭い門。
それを通ってきた選手は、既にWEリーグで通用すると言うことなのでしょうね。
 

守備でも、33岩清水選手はブランクを感じさせない動きだったし、

30宇津木選手の試運転もできた。

言うことの無いゲームだったろう。

ただ、このチームの課題は「膠着した時の打開」に有るのだが、そんな試合では無かった。
この試合の状況からだけで、首位を狙える状況になった、とは言えないのだろう。



一方のAC長野は、厳しいリスタートになった。
ともかく豊富な運動量で守って、かき回し続けるのがこのチームの味なんだろうけれど、

久々の試合だったからか、予想以上に早くスタミナ切れを起こした。
今冬の降雪のなども影響したかも。
いきなり3人の新加入選手を使ったのもどうだったか?
30國澤選手を早々に交代せざるを得なくなったのは、そのしわ寄せのように思う。



では、いつも通りコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃態勢。


東京NBは、マンツーマンディフェンス中心で、2人のゾーン固定配置。

AC長野はマンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。
第10節まではゾーンディフェンスを敷いていたいが、変更してきた。
身長の低いAC長野がゾーンを敷くのは、少し無理が有るので、

マンツーマンの方が自然だと思う。
ただ、ゾーン固定の2人の配置で、背の低い3五嶋選手がファーポスト側というのは、ちょっと珍しい。逆の方が一般的。
全体が見える位置だし、ディフェンスリーダーとして統率するためだろう。
低くても簡単には競り負けない!というチームの信頼が無ければ、この配置にはならない。



スタメンを身長順に並べると以下のようになる。



 

両チームとも平均身長は低い。
32岩下選手33久保田選手が少し抜けていて、AC長野の方がやや有利か?


(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.東京NBのコーナーキック

a)体制

キッカーは20木下選手8三浦選手(右利き)。
受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ:  9植木選手33石清水選手
・正面からファーへ:3村松選手17藤野選手
・GK脇: -
・ショートコーナー: 7中里選手
・コボレ狙い: 14北村選手6宮川選手8三浦選手
・セーフティー:2清水選手


b)結果概要


ポインタはYoutubeの時間です。


1本目 (9:7 ポインタ17:32) 右CK ショートコーナー 20木下選手7中里選手20木下選手ドリブル→8三浦選手クロス→35太田選手ヘディングクリア。スローイン。
2本目 (15:24 ポインタ23:49) 右CK 20木下選手33石清水選手ヘディングシュート→GK池ヶ谷選手キャッチ。
3本目 (43:24 ポインタ51:49) 右CK 20木下選手GK池ヶ谷選手パンチング
14北村選手回収・クロス→3五嶋選手ヘディングクリア→20木下選手18伊藤め選手→10瀧澤千選手ドリブル逆襲・モドシ→18伊藤め選手
4本目 (44:53 ポインタ53:18) 右CK 20木下選手2肝付選手
3村松選手回収→20木下選手クロス→3村松選手に当たる

2清水選手回収→2肝付選手クリア。スローイン。



5本目 (51:6 ポインタ1:15:2)  右CK20木下選手9植木選手ヘディングシュート。ゴール!
6本目 (63:23 ポインタ 1:27:19) 右CK ショートコーナー 20木下選手7中里選手2清水選手20木下選手2清水選手スルーパス(→20木下選手)。Gラインを割ってGキック。
7本目 (78:45 ポインタ1:42:37)  右CK 20木下選手→GK池ヶ谷選手キャッチ。
8本目 (86:38 ポインタ1:50:30) 左CK ショートコーナー 8三浦選手6宮川選手3五嶋選手ヘディングクリア。スローイン。




c)全般的な印象と特記すべきプレー

5本目 (51:6 ポインタ1:15:2)にゴールが決まっているので図にする。

ニアへ上がった低めのボールを9植木選手が、最後30國澤選手のマークを剥がして、フリーでヘディングシュート。
少し浮いてGK池ヶ谷選手の頭上を越えてゴールしている。


動画:キック5秒前から開始します。
https://www.youtube.com/watch?v=sRTsX1Xqdng&feature=youtu.be&t=4497

9植木選手の非常に高難度のヘディングシュートだった。


ただ、ニアポスト前にゾーン固定配置された(ストーン:)33久保田選手は、中途半端だった。
ボールに向かったが、30國澤選手の邪魔をしただけになっている。
ボールに向かうのなら、攻撃選手の前に入らないと、最低限でも競らないと、いけない。
ニアポスト前に走り込んでくる選手の状況を把握していないから、このようなことになる。

 

見返すと、2本目の33石清水選手のヘディングシュートも、映像が小さくて断言できないが、似たようなプレーになっている。

まあ、もっとも、難しい技術だと思う。
WEリーグでちゃんと状況把握しているストーン役の選手は少なくて、

毎回よく見ているなと思うのは、浦和の9菅澤選手くらいのモノ。
新加入選手は、こう言う実戦での苦い思いを、次に活かせるようにしてもらいたい。



B.AC長野 のコーナーキック


a)体制

キッカーは、18伊藤め選手(右利き)。

受け手は、以下のようだった。
フォーメーションプレーなので特殊なケースだし、新加入選手も入っているが、配置的には違和感の無いパターン。

・ニアへ:3五嶋選手33久保田選手
・正面からファーへ:32岩下選手30國澤選手14泊選手
・GK脇:-
・ショートコーナー: 6大久保選手
・コボレ狙い:  10瀧澤千選手2肝付選手
・セーフティー:  35太田選手


b)結果概要

ポインタはYoutubeの時間です。


1本目 (18:29 ポインタ 26:55) 左CK フォーメーションプレー 18伊藤め選手35太田選手シュート。GK黒沢選手キャッチ。




c)全般的な印象と特記すべきプレー

1本だけだったが、フォーメーションプレーを見せている。

30國澤選手32岩下選手をループ(2-6:リンク参照) して、33久保田選手がニアへ回る。

マークの6宮川選手を剥がしてフリーになっている。
18伊藤め選手の出したゴロボールをシュート、枠を捉えたが、GK黒沢選手がキャッチした。



動画:キック5秒前から始まります。
https://www.youtube.com/watch?v=sRTsX1Xqdng&feature=youtu.be&t=1610

なかなか練られたプレーだ。

3五嶋選手がニアへ走って、9植木選手をブロックし、スペースを確保している。
マークの2清水選手も着いてくるのだが、ボールとのタイミングが合っていたので、

2清水選手9植木選手両方とも、シュートブロックへ行けていない。
なお3五嶋選手がダッシュでマーカーを引き離すと逆効果で、ボールに食い付かれる。
2清水選手に、キッチリマークしてもらえるという「信頼感がある」のが前提なのかも。
 

10瀧澤千選手も大外からループしており、コボレの対応をしている。
もしかしたら、33久保田選手のマタギからのシュートを狙っていたのかも。
2段構えの作戦だった可能性も有る。
 

③新加入の選手にフィニッシャーを任せたことから、「暖めてきた」臭いがする。
左CKだったので、フィニッシャーが左利きの33久保田選手になったのだろう。
早くから33久保田選手の起用を考えて練習してきたと言うこと。
周到な準備をしたと言うことは、勿論右サイドのプレーも準備しているだろう。
近いうちに見せてくれるのか、忘れられる頃まで待つのか、今回だけでは無いだろう。

どこに食らわせるか、楽しみで有る。



 以上です。

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目次 1.概要(アメブロ版)

2-6 局面的な技術:パターン④ ループ 2015/12/18

 

4-150 なでしこリーグ 日テレ 2-1 AC長野 2018/10/30

4-181 なでしこリーグ AC長野 0-0 日テレ 2019/05/31

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関連記事など、外部リンク


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サッカーデータと順位表 › 日本 › WEリーグ › 日テレ・ベレーザ vs AC長野パルセイロ・レディース
https://footystats.org/jp/japan/ntv-beleza-vs-ac-parceiro-nagano-women-h2h-stats#1557653


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2021-22Yogibo WEリーグ 第12節 - 日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs AC長野パルセイロ・レディース マッチレポート
https://www.verdy.co.jp/beleza/match/info/12022030510/report

AC長野_HP
2021-22 Yogibo WEリーグ 第12節 3.5 SAT 14:00KICKOFF VS日テレ・東京ヴェルディベレーザ AWAY 味の素フィールド西が丘
https://parceiro.co.jp/ladies/matches/detail/278