第9節が変則スケジュールで後周しになり、先に第10節。

1つ目、9月12日の試合で、伊賀FC@浦和駒場スタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=LcF6fFtv7WA


浦和は、2019年ホーム最終戦:対伊賀FCを落として、リーグ優勝が実質的に無くなった。
伊賀FCの前プレスをことごとく躱して、試合をコントロールしていたが、

6乃一選手に決められた1点で、シーズン優勝の希望を終わらせてしまった。
浦和にとっては思い出したくも無い試合の再戦。



 

浦和はC大阪堺に敗れた後、4連勝と順調に勝ち点を積み上げている。
が、いずれも1点差で、内容的に圧倒しているわけでもない。
前節ノジマ戦は拮抗した試合だったが、自陣でのボールロストが多く、ショートカウンターを浴びていた。
この試合は、前節と同じ先発メンバーだが、11清家選手をTOPに上げた4-4-2でスタート。
前節後半開始時もこの形だった。
試合中のシステム変更・ポジションチェンジが頻繁に行われる浦和。

この試合も状況を見ながら、変えている。


伊賀FCは昨年のようには前プレスが決まらず、なかなか勝ち点も積み上がらない。
前節は10杉田選手のフリーキック直接ゴールの1点で、マイナビに勝ったが、
内容的には押されていて、エリア内シュートを8本も浴びている(私的集計:近距離でブロックされたシュートも含む)。
この試合は前節と同じメンバーでスタート。
GKは23井指選手がこの3試合連続登録外、1藤田選手が先発。




試合はしっかり繋ぐ浦和と、手早く縦に出す伊賀FC双方の特徴が出た。
拮抗した内容だったが、最後に浦和が決めて勝利。


浦和はしぶとく勝ち点3を拾ったが、不満が残る内容だろう。
試合開始直後は、押されっぱなしだったし、GK池田選手には珍しいミスキックも有った。
が、システムにオプションの多い浦和は、11清家選手を定位置の右SBに下げ、8猶本選手をTOPに上げて空気を変える。
それによって中盤を作れるようになって、以降は優勢気味に進めた。

が、セットプレー以外で、ゴールに迫れた回数が少ない。
ボールを支配している割に、シュートに至らず、公式スタッツ上でも差のない戦いになっている。
ちょっと大事に行き過ぎじゃないかと思う。

ミドルシュートを積極的に打ったり、ドリブルで仕掛けたり、変化が足りないのではないか?と思う。



一方の伊賀FCは勝ち点を拾えない。

そもそも、9道上選手にとって、体格差がさほどない3南選手2長船選手の両CBは厄介で、拠点になりにくい。すなわち戦略的には、浦和戦は相性が良くない。
 

それを補うのが、前プレスだろうが、この試合では、そこそこ、うまく行っていて、
ライン際へ追い詰め、取り囲むところまでは良かった。
が、そこで浦和の各選手にテクニックですり抜けられたり、ボールを引っかけた後のイーブンボールを拾えないことも多く、攻撃に繋げられなかった。
とはいえ、空回り気味だった伊賀FCのプレスは、取り所がやや明確になって、少し上を向いてきているように思う。



得点:

41分(40:16 ポインタ53:55) (FK25m正面)8猶本選手(シュート)

67分(66:43 ポインタ1:36:25) (右CK)6乃一選手(10mニアポスト前)9道上選手(ヘディングシュート)

90分(88:59 ポインタ1:58:39) (60m左サイド)17遠藤選手(~22鈴木選手カワシ25m左→15m右ポスト前)10安藤選手(シュート)GK藤田選手(ファインセーブ→2m左ポスト前)9菅澤選手(シュート)

~:ドリブル

 YouTube ポインタ操作 前半:+13:39 後半+29:42


その他主なチャンス
  SB:Shoot Block SC:Shoot Cut S:Save FS:Fine Save B:Bar P:Post 
  F:Free(GKと1対1など) 


浦和
FK20:11~,CK20:53~,CK22:17~,CK27:04~,CK27:39~,CK29:38~,30:17~S,CK33:00~SB,CK34:45~,41:53~S
FK53:07~,55:30~,FK59:06~SB,75:35~SB,77:50~,79:57~

伊賀FC
CK05:49~,06:52~S,07:45~,09:04~FS,CK09:46~,31:23~S,44:14~,FK45:21+~SB
47:36~,50:05~,71:48~,72:59~,74:58~S,82:43~



では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく。



(1)両チームのディフェンスシステム

浦和はマンツーマン中心で2人のゾーン配置固定。

伊賀FCはゾーンディフェンス。
2畑中選手を9菅澤選手のマークに付け、10杉田選手が、ニアへ走る選手を捕まえるちょっと高度なシステムで守った。



ちなみに。先発選手を身長順に並べると以下のよう。

浦和  GK1池田168
  3    2      9     11    19      4        8     16     6    18
 南 長船 菅澤 清家 塩越 佐々木 猶本 水谷 栗島 柴田
172 170   168  166   166    160    158   158  156   155

伊賀FC GK1藤田164
  9      2     6      11      3       13     8    17   10    19
道上 畑中 乃一 小川 松久保 宮迫 作間 森  杉田 安齋
169   166  166   166     164    163  158  158  156  153

浦和やや有利なマッツアップだが、大きな差ではない。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
浦和のCKは公式記録上8本ですが、7本のはずです。

               浦和    伊賀FC
コーナー本数                3
得点(1次攻撃)               1


センタリング→シュート         1/0
センタリング→パス            0
ルーズボール                  0

クリアー           1/2     2/0
キーパーパンチ      0/1      0
キーパーキャッチ     0/1      0
 * フリー/競り合い
オフェンスファール             0
ディフェンスファール            0
キックミス                  0
ショートコーナー不発           0
時間つぶし                  0
直接ゴール                  0
オウンゴール                  0


フリーになった選手           1/1
    (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む         1/0
     (成功/失敗)


(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.浦和のコーナーキック

a)体制

キッカーは8猶本選手(右利き)
受け手側は、以下のように始まった。

・ニアへ: 9菅澤選手3南選手
・正面からファー:11清家選手2長船選手
・GK脇:19塩越選手
・ショートコーナー:18柴田選手
・コボレ狙い: 6栗島選手16水谷選手
・セーフティー: 4佐々木選手


b)結果概要

1本目 (20:53) 右CK 8猶本選手11清家選手ヘディングシュート。その前に19塩越選手がファール。
2本目 (22:17) 左CK 8猶本選手→抜けてGラインを切る。GK。
3本目 (27:04) 左CK 8猶本選手→GK藤田選手パンチング、Gラインを切る。再CK。
4本目 (27:39) 右CK 8猶本選手→11小川選手ヘディング→17森選手クリア。 
5本目 (29:38) 右CK 8猶本選手→9道上選手ヘディングクリア→16水谷選手回収2次攻撃を失敗。
6本目 (33:00) 右CK 8猶本選手→9道上選手ヘディングクリア→11清家選手シュート→3松久保選手→シュートブロック。
7本目 (34:45) 左CK 8猶本選手→GK藤田選手キャッチ。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

このところ、対ゾーンディフェンスについて書くことが多いが、

この試合での浦和の攻撃には不満を感じる。


2畑中選手がマークに付いている9菅澤選手はともかくとして、
2長船選手・3南選手・11清家選手・19塩越選手の4人は、正面からファーに上がったボールに対して、早くにボール落下点に入ってスタンディングジャンプで競りに行っている。

各選手体格的に勝ち目があるので、そうしているのだと思う。
でも、ゾーンディフェンスには、ランニングジャンプで最高点で叩くヘディングをしてもらいたい。

特に3南選手は、なでしこジャパンで海外の180cmを越える選手にも勝ってもらいたい選手なのだ。

そのためには「点で合わせる」技術を、是非とも身につけて欲しい。



B.伊賀FCのコーナーキック

a)体制

キッカーは6乃一選手と10杉田選手(右利き)。
受け手は以下の体制で始まった。

・ニアへ:9道上選手・3松久保選手
・正面からファー: 2畑中選手・11小川選手
・GK脇: 17森選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 10杉田選手・19安齋選手
・セーフティー:13宮迫選手・8作間選手

b)結果概要
 

1本目 (05:49) 右CK 6乃一選手→(9道上選手空振り?)18柴田選手クリア。
2本目 (09:46) 左CK 6乃一選手→9菅澤選手ヘディングクリア。
3本目 (66:43) 右CK 6乃一選手→9道上選手ヘディングシュート。ゴール!



c)全般的な印象と特記すべきプレー

伊賀FCが得点を決めた3点目は、クロス(2-4:リンク参照)が生じていて、
9道上選手のヘディングシュートが決まっている。

間隔を取ってマークしていた3南選手の直前を、22鈴木選手が10安藤選手を引き連れて横切った。
3南選手10安藤選手の走路を空けるために一歩下がり、また、10安藤選手が通過するまでボールに対応できなくなっている。
結果、9道上選手との間隔を詰め切れずに、フリーのヘディングシュートを許すことになっている。
偶然の産物だと思うし、効果もわずかだが、この得点の重要なキーになっている。

動画リンク:キック5秒前から始まります。

https://www.youtube.com/watch?v=LcF6fFtv7WA&feature=youtu.be&t=5780

 

 


 以上です。

*********


ブログ内関連記事


目次 1.概要(アメブロ版)

2-4 局面的な技術:パターン② クロス 2015/12/06



*********


関連記事など、外部リンク

YouTube なでしこチャンネル
【公式】第10節フルマッチ:浦和 vs 伊賀 2020プレナスなでしこリーグ1部 2020/9/12 浦和駒場スタジアム
https://www.youtube.com/watch?v=LcF6fFtv7WA


浦和_HP
20.09.12 2020プレナスなでしこリーグ1部 第10節 vs 伊賀FCくノ一三重 試合後 監督・選手コメント
https://www.urawa-reds.co.jp/ladies/ladies_news/2020%e3%83%97%e3%83%ac%e3%83%8a%e3%82%b9%e3%81%aa%e3%81%a7%e3%81%97%e3%81%93%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b01%e9%83%a8-%e7%ac%ac10%e7%af%80-vs-%e4%bc%8a%e8%b3%80fc%e3%81%8f%e3%83%8e%e4%b8%80%e4%b8%89/

伊賀FC_HP
2020プレナスなでしこリーグ1部 第10節 試合結果
https://www.igafc.jp/?p=24838