４－２２６　コーナーキックの事情　　国際親善試合　なでしこＪＡＰＡＮ　０－１　イングランド代表

SheBelieves Cupの第2戦は、フランスＷ杯のグループリーグで完敗したイングランド代表。

なでしこＪＡＰＡＮは、第1戦から６人入れ替え。
逆に言うと、現時点で連続出場の５人は代わりかいないと言うこと。
特にボランチ２枚の選手層は厳しい。

イングランド代表は、実績のあるバックス陣と、若いアタッカー陣で先発を組んできた。

不満が溜まる一方の試合だった。

結果は、終盤に3三宅選手のパスを引っ掛けられて失点。
またしても、守備陣のミスから敗戦となった。

失点のシーンだけで無く、02:42～のピンチに始まって、守備陣の乱れが目立った。

攻撃に関しても、ビルドアップが相変わらず覚束ない。
前戦でのアイデアや積極的な仕掛けもほとんどない。
イングランド代表の守備を崩してからのシュートは、１本も打てなかった。

また、終盤になって、ホワイト選手ら主力のアタッカー陣が入ってきたら、圧倒されてしまった。
得点差以上にチーム力の差を感じさせられた。

残り１試合はアメリカ代表だが、本気で来られたら、今のなでしこＪＡＰＡＮは蹂躙されるだろう。
ただ、この試合内容からすれば、アメリカは、Bチームで来るような気もする。

ＷＥＢ上の記事でも酷評が目立つ。

このままでは、手ぶらで帰国することになりそうだ。

ともかく、何でも良いから「灯り」を見つけてもらいたい。
ひょっとすると新型コロナウイルスで、オリンピックまで試合が組めないかも知れないのだから。

得点：
８３分(82:43～) (30m正面)6杉田(20ｍ右)3三宅(25m右)11ダガン(ｶｯﾄ･15m右→7m正面)18ホワイト(ｼｭｰﾄ)

～：ﾄﾞﾘﾌﾞﾙ

その他主なチャンス

　　SB:Shoot Block　SC:Shoot Cut　S:Save　FS:Fine Save　B：Bar　P:Post
　　F:Free(GKと１対１など)

・なでしこＪＡＰＡＮ
00:11～,06:36～,09:14～FS_P,CK09:50～,10:50～,CK16:58～,27:29～SB,CK28:26～,33:44～F,37:23～SB,CK38:11～
FK47:37～,54:46～～,66:12～,66:57～SB,69:11～S,CK72:26～,89:30～S

・イングランド代表
02:42～FS,CK03:29～,12:40～FS,14:43～,25:08～SB,29:22～,30:56～S,31:26～
48:46～SB,CK49:20～,CK50:47～,55:54～,CK57:53～S,FK61:37～,FK74:34～,79:20～,FK81:16～,81:38～,CK82:12～,84:03～S

では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく。

(1)両チームのディフェンスシステム

なでしこＪＡＰＡＮも9人守備で、マンツーマンディフェンス中心、２人のゾーン配置。

イングランド代表は２－３－２（＋２）のゾーンディフェンス。
３列目は、走り込んで来そうな選手を適宜捕まえるマンマークをしてきた。

ちなみに。先発選手を身長順に並べると以下のよう。

なでしこＪＡＰＡＮ　　　イングランド代表

3 三宅 165 6 ブライト Millie Bright 178
15 田中 164 5 ホートン Steph Houghton 174

22 土光 164   22 ケリー         Chloe Kelly        168
  6 杉田 162     2 デイリー      Rachel Daly       167
2 清水 160     4 ワォルシュ   Keira Walsh        167

16 宮川 160    9 イングランド Bethany England 166
7 中島 158   20 ヘンプ        Lauren Hemp       163
8 岩渕 156   16 スタンウェイ Georgia Stanway 162
17 三浦 156   10 ノブス          Jordan Nobbs     159
10 籾木 153   12 ストークス    Demi Stokes       159

GK 池田 168 GK ローバック Ellie Roebuck 174

なでしこＪＡＰＡＮとしては、苦しいマッチアップ関係。

(2)統計

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。

　　　　　　　　　　なでしこＪＡＰＡＮ　イングランド代表
コーナー本数　　　　　　　　５　　　　　　　５
得点（１次攻撃）　　　　　　０　　　　　　　０

センタリング→シュート　　　０　　　　　　０／１
センタリング→パス　　　　　０　　　　　　１／１
ルーズボール　　　　　　　０　　　　　　０
クリアー　　　　　　　　　　　４／０　　　　１／０
キーパーパンチ　　　　　　　０　　　　　　　０
キーパーキャッチ　　　　　　０　　　　　　１／０
＊　フリー／競り合い
オフェンスファール　　　　　０　　　　　　　０
ディフェンスファール　　　　０　　　　　　　０
キックミス　　　　　　　　　　　１　　　　　　　０
ショートコーナー不発　　　　０　　　　　　　０
時間つぶし　　　　　　　　　０　　　　　　　０
直接ゴール　　　　　　　　　０　　　　　　　０
オウンゴール　　　　　　　０　　　　　　　０

フリーになった選手　　　　０／１　　　　１／０
　　　（ボール受け／ボール来ず）
ピックプレー：推定含む　　　０　　　　　　　０
　　　（成功／失敗）

(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー

コーナーキックでも、非常に内容の乏しい試合だった。

Ａ．なでしこＪＡＰＡＮのコーナーキック

ａ）体制

キッカーは右CKを10籾木選手、左CKを7中島選手。共にインスィングで蹴った。
受け手はだいたい以下のパターン。
・ニアへ：3三宅選手
・正面からファー：15田中選手･22土光選手
・GK脇･ショートコーナー： 8岩渕選手
・コボレ狙い： 17三浦選手・10籾木選手or7中島選手
・セーフティー： 16宮川選手･2清水選手

ｂ）結果概要

１本目 (09:59) 右CK 10籾木選手→6ブライト選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞｸﾘｱ。
２本目 (16:58) 左CK 7中島選手→2デイリー選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞｸﾘｱ。
３本目 (28:26) 左CK 7中島選手→6ブライト選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞｸﾘｱ。
４本目 (38:11) 右CK 10籾木選手→6ブライト選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞｸﾘｱ。
５本目 (72:26) 左CK 7中島選手→直接Gﾗｲﾝを割る。

ｃ）全般的な印象と特記すべきプレー

なでしこＪＡＰＡＮは、コーナーキックでも何も出来なかった。
高身長のチームがゾーンディフェンスを組んでくると、今のなでしこＪＡＰＡＮには攻め手が無い。
特にこの試合のように、ショートコーナーを露骨にケアされると、本当に手も足も出ない。

次のアメリカ戦もゾーンディフェンスだろう。
ミドルシュートを打つパターンを何通りか仕込んでおかないと、また、見せ場は無いと思う。

セーフティーの選手を上げて来るとか、大外を使うとか、やってくれることを願う。

Ｂ．イングランド代表のコーナーキック

a)体制

キッカーは左CKを16スタンウェイ選手(17スタニフォース選手)、右CKを22ケリー選手が蹴った。

全員右利き。
受け手は以下のパターンで固定。
・ニアへ：9イングランド選手
・正面からファー：5ホートン選手・6ブライト選手
・GK脇：2デイリー選手
・ショートコーナー：20ヘンプ選手・10ノブス選手
・コボレ狙い： 22ケリー選手or16スタンウェイ選手
・セーフティー： 12ストーク選手・4ワォルシュ選手

ｂ）結果概要

１本目 (03:29) 左CK 16スタンウェイ選手→8岩渕選手ｸﾘｱ。
２本目 (49:20) 左CK ｼｮｰﾄｺｰﾅｰ 16スタンウェイ選手→20ヘンプ選手→16スタンウェイ選手ｸﾛｽ→5ホートン選手→15田中選手ｸﾘｱ。
３本目 (50:47) 右CK 22ケリー選手→GK池田選手ｷｬｯﾁ。
４本目 (57:53) 右CK ｼｮｰﾄｺｰﾅｰ 22ケリー選手→20ヘンプ選手→22ケリー選手ｸﾛｽ→9イングランド選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞｼｭｰﾄ→GK山下選手ｷｬｯﾁ。
５本目 (82:12) 左CK 17スタニフォース選手→6ブライト選手ﾍﾃﾞｨﾝｸﾞ→22土光選手ｸﾘｱ。

ｃ）全般的な印象と特記すべきプレー

ショートコーナーの受け手を２人出して来る工夫を見せてはいるが、それで終わりのようだった。

主力のメンバーがベンチスタートだったので、入り口だけのプラン。ゴールまでたどり着く図は無かったと思う。

フランスＷ杯のようなしっかり仕込んだモノでは無かった。

以上です。

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