いよいよ2020年、なでしこの試合が始まりました。
この時期は、以前はアルガルベカップに参加していたが、なかなか良い結果が出ていない。
① 風が強くて苦労していた。
 アメリカのSheBelieves Cupに呼んでもらえるのは、その面では有り難いことだ。
② 選手達のコンディションが上がっていないので、不甲斐ないパフォーマンスもしばしば。
 今年は2月中旬から合宿をしているが、このSheBelieves Cupでの仕上がりは?


スペイン代表の攻撃陣は、ほぼフランスW杯の主力メンバーそのまま。

守備陣は、だいぶ入れ替わっている。

 

なでしこJAPANは、13池尻選手3南選手が入っているが、昨秋E-1選手権などから、十分予想きるメンバー。


シーズン中のスペインに対し、なでしこJAPANは、この時期はオフ明けで難しいのだろう・・という毎度のパターンになった。
守備陣のつまらないミスから失点を重ね、3失点で良いところ無し。
攻撃も繋がらず、8岩渕選手のミラクルシュートの1点だけ。
非常に寒い内容だった。

 

特にビルドアップも良くなかった。ほとんど形を作れない。
この試合のスペイン代表程度のプレスに追い込まれているようでは、

次のイングランド代表戦やアメリカ代表戦は、不安でしか無い。

やはり、今のなでしこJAPANのプレーには、共通で認識されている形やパターンがなく、

選手のアドリブに頼りすぎていように思う。


愚痴を並べても、気が滅入るだけなので、左SBの1点だけ。

19遠藤選手の守備は、及第点にほど遠い。持ち味の攻撃力をほとんど見せることも無く、Hタイムで交代になった。
が、19遠藤選手にとって、守備の経験を積めるのは、実質上なでしこJAPANの試合しか無い。
辛抱せずに代えたと言うことは、本番に左SBでは使わないと高倉監督は決断したのか?
また、代わって入った16宮川選手で安定したかと言えば疑問だし、そもそも、まだ、海外の厳しいプレッシャーを受けた経験は少ないはず。
あと2試合注目したい。
鮫島選手が試合に出なくなって、約4ヶ月たった。復帰見込み次第では、左SBは大問題。

 


得点:
08分(07:27~) (65m右)20ペレイラ(45m右ポスト前)11プテジャス(20m右サイド)

 9カルドナ(19遠藤に競り勝ち~10m右サイド→10m右)10エルモソ(5m正面)

 11プテジャス(ボレーシュート)

 

44分(43:26~) (50m右)4熊谷(40m右ライン際)2清水(15m右)8岩渕(ボレー・ループ・シュート)

 

48分(47:22~) (25m正面)4熊谷(20m右ポスト前)17Lガルシア(カット~2m右シュート)

 

78分(77:38~) (55m右ライン際)16宮川(65m右ライン際) 14トレシージャ(25m正面)

 17Lガルシア(4熊谷に競り勝ち~GK山下躱し~10mポスト前・シュート)

 

~:ドリブル

 

 

その他主なチャンス

  SB:Shoot Block SC:Shoot Cut S:Save FS:Fine Save B:Bar P:Post
  F:Free(GKと1対1など)


スペイン代表
01:55~SB,CK02:34~,CK11:56~,16:55~,32:10~FS,CK32:52~,34:07~,FK36:38~
46:46~F,CK60:02~,60:29~SB_FS,CK61:04~,66:39~FS,68:35~,71:36~SB,

 74:20~S,76:33~,82:34~F

 

なでしこJAPAN
13:42~FS,CK14:53~,15:11~SB,CK16:05~SC,CK16:29~SB,22:27~
FK46:04~,50:08~,65:30~,73:28~SB,81:34~,83:40~SB,CK84:22~,CK84:44~,

 85:57~FS,89:38~S

 

では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく。

 


(1)両チームのディフェンスシステム

 

スペイン代表は、9人守備で、マンツーマンディフェンス中心、2人のゾーン配置。
なでしこJAPANも、9人守備で、マンツーマンディフェンス中心、2人のゾーン配置。

 

ちなみに。先発選手を身長順に並べると以下のよう。

 

11 プテジャス   Alexia PUTELLAS        175    4 熊谷  173
10 エルモソ     Jennifer HERMOSO      174    5 南     171
14 トレシージャ Virginia TORRECILLA   173    9 菅澤 168
12 ギハロ        Patri GUIJARRO          170   19 遠藤 167
 2 バリャ          Ona Batlle                  165   13 池尻 165

 5 アンドレス     Ivana ANDRES            164    6 杉田 162
 8 カルデンティ Mariona CALDENTEY   164     2 清水 160

20 ペレイラ      Andrea PEREIRA          164    7 中島 158
 7 コルデラ      Marta CORREDERA      162   10 岩渕 156

 9 カルドナ      Marta Cardona             160   17 三浦 156
GK ガルドラ     Dolores GALLARDO     171   GK 山下 170

 

なでしこJAPANが不利ではあるが、まずまず戦える相手。

 


(2)統計

 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。

 

            スペイン代表 なでしこJAPAN
コーナー本数                
得点(1次攻撃)               


センタリング→シュート         1/1
センタリング→パス            
ルーズボール          1       
クリアー           1/1     2/1
キーパーパンチ      1/0      
キーパーキャッチ     2/0      
 * フリー/競り合い
オフェンスファール             
ディフェンスファール           
キックミス                  
ショートコーナー不発           
時間つぶし                  
直接ゴール                  
オウンゴール                  


フリーになった選手          1/3
    (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む        2/0
     (成功/失敗)

 


(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー


A.スペイン代表のコーナーキック

 

a)体制

 

キッカーは10エルモソ選手(左利き)
受け手は以下のパターンで始まった。その後もほぼ固定。
・ニアへ:9カルドナ選手14トレシージャ選手
・正面からファー:11プテジャス選手12ギハロ選手
・GK脇:8カルデンティ選手
・ショートコーナー: -
・コボレ狙い: 7コルデラ選手20ペレイラ選手
・セーフティー: 2バリャ選手5アンドレス選手

 

b)結果概要

 

1本目 (02:34) 左CK 10エルモソ選手6杉田選手クリア。
2本目 (11:56) 左CK ショート 10エルモソ選手8カルデンティ選手10エルモソ選手クロス

 →GK山下選手パンチング。
3本目 (32:52) 右CK 10エルモソ選手GK山下選手キャッチ。
4本目 (60:02) 左CK 10エルモソ選手→ルーズボールを17三浦選手クリア。
5本目 (61:04) 左CK 10エルモソ選手5南選手ヘディングクリア。再CK。
6本目 (61:24) 左CK 10エルモソ選手GK山下選手キャッチ。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

 

特記すべき内容は無かった。
高さや、マークを引き離す技術で特別な選手が居ないのに、工夫は無かった。

走り込む位置もほぼ固定で、見せ場は作れなかった。

 

 

B.なでしこJAPANのコーナーキック

 

9菅澤選手が居ると形になる。」と、再確認した試合だった。

 

a)体制

 

キッカーは左CKを7中島選手、右CKを19遠藤選手が蹴った。共にインスウィング。
受け手は以下のパターンで始まった。その後もほぼ同じ。
・ニアへ:9菅澤選手4熊谷選手(15田中選手3三宅選手)
・正面からファー:6杉田選手5南選手(23上野選手)
・GK脇:8岩渕選手(10籾木選手)
・ショートコーナー:-
・コボレ狙い: 13池尻選手7中島選手or19遠藤選手
・セーフティー: 17三浦選手2清水選手

 

b)結果概要

 

1本目 (14:53) 右CK 19遠藤選手12ギハロ選手ヘディングクリア。
2本目 (16:05) 左CK 7中島選手8岩渕選手ヘディングシュート→7コルデラ選手シュートカット→再CK。
3本目 (16:29) 左CK 7中島選手9菅澤選手ヘディングシュート→14トレシージャ選手ブロック
4本目 (84:22) 左CK 7中島選手7コルデラ選手ヘディングクリア。再CK。
5本目 (84:44) 左CK 7中島選手2バリャ選手ヘディングクリア。

 


c)全般的な印象と特記すべきプレー

 

前半、9菅澤選手4熊谷選手をブロッカーに使って、3本とも形になった。
ただ、残念なことに、シュートを打てたのが3本目だけ。最もマークに食い下がられた状態だったため、シュートを近距離ブロックされている。

 

下図は2本目。8岩渕選手がヘディングでフリックして、ゴール目前だったプレー。
私がこの約4年半の中で、初めて見た(?)8岩渕選手の素晴らしいヘディングシュート。
その後ろで、9菅澤選手4熊谷選手の外側を回って約2mディフェンスのマークを外していた。

おそらく9菅澤選手は「自分が行き過ぎてから走り込んで!」と頼んでいたのだろう。
3本とも4熊谷選手は、マークマンとの駆け引きをしているだけで、ブロックは打っていない。

そこに、9菅澤選手がマークの12ギハロ選手を誘導・ぶつけている。

ラッシュ&ピックB(2-3:リンク参照)が、成立している。

 

その後に4熊谷選手が、9菅澤選手とは逆側に開いたのも良かった(ピック&ロール)。

もし、12 ギハロ選手が単独で走り込む9菅澤選手に食い付けば、フリーになれる。

 


 以上です。

 

ブログ内関連記事

 

2-3 局面的な技術:パターン① ラッシュ&ピックB 2015/11/29

 

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関連記事など、外部リンク

 

 

YouTube FutureSports

【ハイライト】なでしこジャパン×スペイン SheBelieves Cup

https://www.youtube.com/watch?v=cdT_Niyr-HM

 

JFA_HP

なでしこジャパン、スペインとの大会初戦は1-3で敗戦~2020 SheBelieves Cup

https://www.jfa.jp/nadeshikojapan/2020_shebelieves_cup/news/00024631/?utm_source=jfa&utm_medium=kv/

 

USWNT_HP

SPAIN DEFEATS JAPAN 3-1 TO OPEN 2020 SHEBELIEVES CUP

https://www.ussoccer.com/stories/2020/03/spain-defeats-japan-3-1-to-open-2020-shebelieves-cup

 

FOOTBALL CHANNEL 2020/03/06

なでしこジャパンは途轍もなく弱い。攻守に組織力は皆無、高倉監督の責任が問われるべき完敗

https://www.footballchannel.jp/2020/03/06/post365802/

 

FOOTBALL CHANNEL 2020/03/06

スペイン戦、守備崩壊で3失点完敗。熊谷紗希はじめDF陣に低評価、課題山積みのゲームに【なでしこジャパンどこよりも早い採点】

https://www.footballchannel.jp/2020/03/06/post365739/

 

SoccerDigestWeb 2020/03/06

「1ミリも対抗できなかった」エース岩渕真奈も認めた完敗…なでしこJに渦巻く失望感のもとは何なのか?【現地発】

https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=70583