Amebloの「宮間あやちゃん大好き」(ヒロさん)の
「プロとしてやらせてもらってて良かった」 2018.03.15
https://ameblo.jp/527maruhiro/entry-12360596881.html
を拝読させてもらいました。
 
スペインリーグ、サラゴサに所属する千葉望愛選手、
日テレ・ベレーザに所属していた小林弥生さんのお金やプロ化にまつわる話が、
書いてありました。
 
また、プロ化の効果、佐々木元なでしこJAPAN監督がインタビュー(https://www.soccer-king.jp/news/japan/20180309/725870.html)で語った「スペシャルなリーグ」にも触れておられます。
 
では、どの程度の経営状況・選手待遇になれば
女子サッカー界のプロ化ってスペシャルになれるのか、
私の知っているお金にまつわる情報について、まとめます。
 
結論から書けば、なでしこリーグを世界でスペシャルなリーグ戦にするには、
残念ながら、遙かに遠い状況と言えます。
また、現状の世界のTOPの女子サッカーチームでも、
自立して健全なプロチームと言えるのはアメリカNWSLの
ごく一部のチームだけのようです。
 
1. 世界のTOPチーム(フランスD1:Lyon PSG)の選手待遇はギリ健全
 
日本の会社員係長級くらいはもらっている。
 
① 基本データ
 リヨンやPSG(パリ・サンジェルマン)の予算は5~6億円/年
 出典:Yahoo 松原渓2017/1/9
「ヨーロッパ女子クラブの発展と近年の世界大会に見る、女子サッカーのトレンド(1)」
 https://news.yahoo.co.jp/byline/matsubarakei/20170109-00066237/
 
  余談:健全性の限界ライン
   ちなみに、5~6億円の予算というと、おそらく、このくらいが、
   ”健全なプロ”チーム”と呼べる限界ラインになるのだと思う。
   JリーグだとJ3(平均3.8億円)の上位くらい
   Bリーグ(バスケット)で自立しているといわれる栃木の総収入も約6億円。
 
② 年俸状況(推定)
 ここから想像:大体40%が人件費なので、総年俸が約2億と見られるので、
 23人在籍でチームスタッフも考えると、平均年俸は500万円余りか?
 
自己採算での経営状況:なでしこリーグ以下で、自立出来ていない
 さすがに、リヨンvsPSG戦は入場者数7050ですが、
 他のD1リーグ2017年11節を見ると2番手が293人で、
 100人とか104人なんて試合も見られます。
 
 LyonやPSGも他の節の対戦を見れば、1000程度しか集客がありません。
 チーム運営費用は男子チームの収益から大半が回されていると見るべきでしょう。
 
2. アメリカ:ほぼ全チーム自立できているが選手は苦しい。
 
①チーム運営状況
 
NWSLは2013年8チームから始まって、2016年には10チームになったが、2018年は9チームに減って、この辺が分相応で、落ち着きどころなのでしょう。
各チーム自立出来ていて、ポートランドのホームゲームは余裕で1万人以上入りますので、J2のTOPレベルの経営状況が想像できます。自立した”立派な”プロチームと呼べます。
また、ナショナルチームはリオ・オリンピックで負けても、親善試合に2万人以上入場する人気コンテンツです。
 
ただし、サラリーキャップ制で選手年俸はクラブの意思だけでは決められない。
と言うより、「チームの自立→リーグの安定」を優先し、選手の年俸は抑えられているというべき状況です。
それでも2017年は1000(人/試合)そこそこの入場者しか無かったカンサスシティーとボストンが撤退(ユタが新規参入)ということです。
 
② 年俸状況
 
FWで日本戦でも得点を取った美人で有名なモーガン選手は年収約2億円でも、サッカー選手としては年俸約2000万円と報じられています。
  https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2015/07/04/kiji/K20150704010664580.html
一方、代表選手を除く一般NWSL選手のサラリーキャップは日本の若手派遣社員並と言うところでしょう。
  NWSL HPより
  「2018 Roster Rules」https://www.nwslsoccer.com/2017-roster-rules
   (おそらく近日リンクが変わります。)
  Team Salary Cap(総年俸): $350,000.  18-20 Player Roster
  Minimum Salary: $15,750. Maximum Salary: $44,000.
  (約166~470万円)
  開催期間 3月下旬開幕・10月上旬プレーオフ
 
ただ、選手たちの生活は楽では無いようです。
  Seattle Times  2017.07.10
  「Why making a living as women’s pro soccer player is no
   easy task, especially in high-priced Seattle」
   概要:元シアトルレイン・ウィンタース選手曰く、
   代表にいた時はやってられたが、シアトルは物価が高く、
   チームからの年俸だけではやっていけない。
   スクールのコーチをしたり、長いオフ期間に復業しないと選手活動は不可能。

3. なでしこリーグの現状
 
2017年のなでしこリーグで、最も観客数が多いAC長野の年間入場者は33,058。次ぐI神戸が28,157。これは、J3で秋田・福島・鳥取くらいの数字。
佐々木監督の言う「スペシャルなリーグ」
https://www.soccer-king.jp/news/japan/20180309/725870.html
とは、何なのかは不明ですが、
チームとして自立しながらヨーロッパのTOPチームの「予算規模→年俸状況」に並ぶには、J3栃木、J2の山口・群馬クラスの動員が必要と思われる。すなわち、8万人/年の集客は必要で、AC長野やI神戸すら、約3倍の集客が必要ということになります。
残念ながら、今のままでは、遙かに遠い状況と言えます。
 
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出典:デロイテ・トーマツ 2017.09.28
「Jリーグ マネジメントカップ 2016 Jリーグ所属クラブチームをビジネスマネジメントの側面でランキング」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/consumer-and-industrial-products/articles/sb/j-league-management-cup-2016.html
データブック:Appendix16・18より抜粋
 
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NadeshikoLeague HPより独自集計 
 
以上です。
 
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