
電気のお医者様も少しずつ有名になって、ついに診療所を作れるようになりました。
今朝もお客様から往診の依頼です。
「もしもし、電気のお医者様ですか」
「はい、どうされました」
「最近、テレビがフッと黒くなることがあるのです。それに、扇風機が全然回らなくなって、微風しか送ってこないのです。まあ、他の器具もどこか調子が悪くて、電気屋さんはどの器具も異常ありませんと言われるばかりで」
「分かりました。午後にはお伺いできると思います」

「こんにちは」
「お待ちしてました、よろしくお願いします」
「どんな状態なのですか」
「うちの電気器具が、全て言って良いほど調子が悪いのです。太陽パネルも蓄電池設備も使ってないのですけど」

「そうですか、ではまず器具の状態を見ますので」
一通り電気器具の点検を終えてから、今度は電気を引き込んでいる分電盤の処を見ました。
分電盤は壁に設置されていて、直射日光が当たっているところでした。
分電盤パネルを開くとムッとする熱気が出てきました。

「これは、電気の熱中症ですね」
「熱中症」
「ええ、電気もみんな日差しの中に置かれていたら、熱くなって熱中症の電気しか流れないので、扇風機は弱い風しか起こせないというか、モーターが電圧不足で早く回らないのですよ。テレビも低電圧なのでたまに暗くなると言ってましたよね」
「はい、テレビがフッと暗くなるのです」
「みんな熱中症の症状なので、まず分電盤に日傘を設置して涼しくしてあげましょう。それに今日一日は点滴もしなければならないですね」
「点滴ですか」
「はい、結構重傷ですよ。何日も放置していたのではありませんか」

「はい、最初はそんなに気にならなかったので」
「ダメですね。電気も生き物ですから、いたわってあげて下さい」
電気のお医者様は分電盤設備に大きな日傘を掛けましした。
次に大きな水タンクを設置して分電盤のパネルを開けて腕くらいの太いコードに点滴の針を刺していったのです。
「これで大丈夫ですから、点滴の設備は明日にでも取りに来ますから」と言って診療は終了です。
一日の仕事を終えた電気のお医者様が診察室で椅子に座って一休みです。
「お疲れ様でした、今日も忙しかったですね」
「ああ、静可君も大変だったね。大型免許持ってるおかげで大きな電気設備も運べて助かってるよ」
「いえいえ、それより最近、熱中症の電気が多いですね」
「ああ、遠く離れた山や海からこの町まで長い電線の中を走ってくるのだから、電気も大変だよ。強い日差しに照らされた電線の中来るのだから街に来るまでに汗ダクダクなのにおまけに日差しの強い分電盤では、それだけでもう熱中症になっちゃうよ。もう少し電気の身にもなって欲しいものだね」
「電気だけに、もう出ん気だったりして」
「ここ笑うとこ ?」電気のお医者様は苦笑いしてるだけでした。

