頭から全身に鳥肌が立ったあの衝撃を、今でも覚えている。
それは大学1年生の時。
朝青朝大委員会・軽音楽団による新入生歓迎公演での出来事だった。
「あんな小さな体で声量のある声を出せるなんて…」。
その日は、ベットに横になり目を閉じるも、彼女の歌声が耳元に鳴り響いてなかなか寝付けない。
さて、これは困ったと耳を塞いでみるが、口元にはなぜか笑みが浮かんでいる。
胸が高鳴るのをどこか楽しんでいる自分に呆れる夜だった。
あれから6年。
彼女の歌をまた聴けるチャンスに恵まれる。
独特のオーラと、耳をくすぐられる優しい声色にうっとりすることが安易に想像できる。
また、どこかでそれを期待していたのは確かな事実であった。
早く聞きたい。
取材当日、彼女に会うなり私は、6年前のことを、目をらんらんと光らせて告白した。
彼女は優しく微笑む。
取材の撮影中、実際に彼女の歌声を披露してもらえることに。
待ってましたとばかりに、カメラを構えた。
ピアノが鳴り響き、弾き語りが始まる。
予想的中。
私は、またもや彼女の歌の虜となった。
シンガーソングライター、fasun。
今年7月に初のワンマンライブを大成功に収めた張本人であり、私の心を掻き乱した「先輩」である。
思わず聞き入ってしまうメロディーに、シャッターを切る指も、そのリズムにつられて動き出す。
詳しくは、「セセデ」12月号をお楽しみに。