フリーメイソン ‐‐「秘密」を抱えた謎の結社 (角川oneテーマ21)/荒俣 宏

¥780
Amazon.co.jp

テレビなどでのコメントが知的好奇心を刺激する荒俣氏の本を初めて読んだ。

しかし、もともと鳩山政権が発足した時に騒がれた「フリーメイソン」をきっかけに、秘密結社とされているこの団体に興味を持っただけなので、オカルト的な側面には興味がなかった。なので、途中からは読むのが苦痛になってしまった。やはり、もともとサブカルチャーに興味がある人が読んだ方がこの本の魅力がわかるのだと思う。

不確かで情報の少ない所から想像力を膨らませて話を展開するのは好みでないため、フリーメイソンについての内容自体があわなかったのだと思う。逆に、これだけ秘密主義の団体に関して調べ上げた荒俣氏の根気と好奇心には感心した。

民主主義が一度もなかった国・日本 (幻冬舎新書)/宮台 真司

¥840
Amazon.co.jp

この本は鳩山政権が発足し、これから民主党の活動が本格的になる09年11月に発行されており、私が本書を読んだ10年8月とは状況が変化してしまっていて、時期を逸してしまったと思っていた。

それでも有意義だと思ったのは、政治というものはそんなに短期間で変化をしないという事を改めて実感した事だった。トップは入れ替わっても、ねじれ国会になっても、依然民主党が政権を握って、マニフェストを実行していることにかわりはないからだ。そして、読了後は「やはり自民党の長期政権が終わってよかった」という実感だった。それは、民主党になってよかったという事ではなく、長い間に培われた慣習を壊す意味でという事であって、民主党になってよかったかどうかは、まだ判断する時期ではない。

この共著の良い所は、現政権の中枢に居る外務副大臣・福山氏の立場から言いにくい事を、宮台氏が代弁している点だ。もちろん、福山氏自身も、新聞やテレビなどのマスメディアで発言したらあげ足をとられそうな強気な発言も、この本の中では話している。

この本は、前政権や旧体制を非難するばかりでなく、メディアの低レベル化についても、具体的な例を挙げて厳しく追及している。情報発信者と受信者をつなぐのがメディアの役割だが、特に報道に関しては監査の機能も期待されている。しかし、今のテレビや新聞に監査機能を期待する事がもはや出来ないことを、この本の具体例で実感してしまった。私自身もテレビの報道の在り方には違和感を感じており、すでにテレビを置く事も止めてしまったが、新聞・テレビを介さない新たなメディアであるtwitterやyoutubeが重宝されるようになったのは自然の成り行きだと思った。ただし、このメディアに触れる場合、受信者側に「この情報は正しいかどうか」という高いレベルの知識があるかどうかが疑問である。まさにこの本の中にある「『おまかせ政治』の歴史のおかげで、日本の有権者は政策論議について素人です。」という指摘につながっている。

テレビや新聞で、あげ足取りとしか思えないような、本来の政策とはかけ離れた指摘を聞いていて、ぼんやりと感じていた「ばかばかしさ」が幻想ではなかった事がこの本を通じてよくわかった。新聞の文字数の限られた薄っぺらい社説を読むよりも、この本を読んだ方が、与党政治家が書いた本とはいえ、よっぽど政治を見る目が養われる。

で、結局タイトルと内容の一致はしてるのかなぁ。私の読解力の問題。。。?でしょうか。
危機の宰相 (文春文庫)/沢木 耕太郎

¥600
Amazon.co.jp


人への好奇心、それが歴史的人物だけでなく、一般には知られていない裏方の人物へも同様の好奇心を持って追求する取材姿勢が、沢木作品の特徴と言える。
著者自身が言う「義侠心」が、彼の作家活動のモチベーションの一つになっているのがよくわかる。

強者がもてはやされがちなこの世の中で、弱者にも視線を向け、理解しようとする義侠心を感じ、ほっとする人の温かみを思い出させてくれた。

著者自身は、「一人称と三人称が混在」した点に不満を抱いていて、次作となる「テロルの決算」では完全な三人称で作品を完成させたようだ。
しかし読者からすれば、一人称が混在していた事が沢木耕太郎自身の人柄を存分に表わしていて、30代の清々しい感性と、
文中で語っている「良きルーザー(敗者)」たちに向けた優しいまなざしが伝わり、心を温かくしてくれた。

政治家の言葉は形骸化して、心まで届かない事が多い。
公人の立場にありながら、池田勇人元首相が読んだ弔辞や、銀婚式での挨拶を引用した部分は、
初めて目にする人の心をも打つような友情の言葉に溢れ、それを目にする事ができただけでもこの本を読んでよかったと思う。